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第35回群馬県行財政改革評価・推進委員会

更新日:2024年4月30日 印刷ページ表示

開催日時

​令和6年3月15日(金曜日) 10時00分~11時15分

場所

Web会議

出席者

佐藤徹委員長、新井委員、佐藤英夫委員、塚本委員、堀口委員、本木委員(欠席:木村委員、西部委員)

県側出席者  知事戦略部戦略企画課2名、デジタルトランスフォーメーション推進監、知事戦略部業務プロセス改革課4名

次第

  • 開会
  • あいさつ
  • 議事
    1. 個別テーマ審議(エビデンスに基づく政策立案)
    2. 次期行革大綱 策定スケジュール等について
  • 閉会

議事概要(主な意見等)

1.個別テーマ審議「エビデンスに基づく政策立案」

戦略企画課から資料1により説明。

審議の観点

  • 職員がEBPMに取り組みやすい環境を整備するために必要なこと
  • 仮説思考の政策立案やデータ分析スキルを持った人材育成のために必要なこと

主な意見等

(堀口委員)
 EBPM基盤サイトに124名の職員が登録しているとのことだが、職員全数から見るとかなり少ないのではないか。登録者を増やすための方法は検討しているのか。

(戦略企画課)
 ご指摘のとおり登録者はまだ少ないと考えている。EBPM研修をきっかけにサイトに登録する職員が多いことから、年度当初に研修動画を周知して視聴を呼び掛けたいと考えている。また、アイディア段階であるが、県庁内の様々なデータをまとめたデータベースを基盤サイトに置くことや、データ分析結果を基盤サイトで披露して別の職員との意見交換を行う取組を作り、「自分の業務に関連がありそう、ちょっと参加してみよう」という意識付けをしていきたい。
 これまであまりサイトのPRができていなかったが、モデル事業の実施等を通じて発信内容も増えてきたため、来年度当初からPRしていきたい。

(堀口委員)
 研修を通じて呼びかけるのであれば、研修開催を増やすのも有効だと思う。
 (独)経済産業研究所の関沢先生のコラムにおいて、EBPM推進の重要なポイントとして「効果が大きいものでないとやる意味がない」という話が挙げられていた。効果が小さいものを検証しても時間の無駄になってしまう。県が保有する膨大なデータを県職員が簡易的に閲覧できるところがあると、効果の大きさを事前に把握するのに有効だと思う。
 また、きちんと訓練を受けていないと、有意性のある統計データでなく自分に都合のいいデータを使用してしまい、結論ありきの分析となってしまう。その点でも研修の機会を増やすことが良いと考える。

(塚本委員)
 EBPMは中央省庁の審議会でも話は聞くが、非常に盛り上がっているという感じでもないため、自治体の中で推進しているのは素晴らしいと思う。職員側は、強制力もなくモチベーションが上がらないと思うので、EBPMを広めるためには、お祭り的に自分事にするような仕掛けがあるといいと思う。例えば、県民から意見をもらい、一定期間内に一定数の賛同があったら必ず答えなくてはいけないという仕組みの中で、県民の提案の中からいくつか選んでEBPMをやってみるなどもあると思う。県全体で盛り上がるものだと、県民にも職員にも関心を持ってもらえるのではないか。

(戦略企画課)
 県庁内で進めているフリーアドレス化の効果検証をEBPMのモデル事業として取り組んでおり、実証方法として職員アンケートを考えている。回答する職員がこのアンケートがEBPMに繋がると知ることで自分事としてとらえられるのではないかと感じている。県全体でのお祭り的な取組についてはまだ具体的なアイディアがないが、県だけではカバーできない市町村のデータや、EBPMに取り組む他県との連携もできるのではないかと考えている。

(新井委員)
 県全体でのお祭りのような形にというのはすごく面白いと感じた。県職員だけでなく、県民も意見を聞いてもらえると嬉しい。群馬県でも、官民共創による政策実現プラットフォームを取り入れているが、質問が曖昧で県民としては意見を出しづらい。こども家庭庁では子育て世代に刺さる具体的な質問をしており、聞き方が上手だと感じる。こういった問いは、話題を呼ぶような、ターゲットに深く刺さるようなものにして、県民と双方向のやり取りができたというポジティブな側面が成功体験として広がっていくと良いと思った。
 また、行政で推進しているPDCAサイクルは、Pの部分に時間をかけているうちに状況が変わってしまうことがよくある。不確実性が高くて予測がつかないVUCAの時代には、観察をして状況の変化にすぐ対応していくOODAの考え方を取り入れるとよいと感じた。
 審議の観点に関する意見としては、一点目のEBPMに取り組みやすい環境を作るためには、管理職向けの研修を必須にするなど、管理職の理解を深める取組を進めるとよいと思った。
 二点目、人材育成のために必要なことについて、少し前にGoogleが国際女性デーを記念してデータアナリティクスの資格が取れる講座を5,000アカウントまで無料で提供していたが、このような情報があることを発信していくとよいのではないか。基盤サイトの相談件数の増加にもつながると思う。

(戦略企画課)
 県民との双方向のやり取りについて、来年度に向けて新たな県民向けアンケートを設計しているところである。Planで意見を聞く時、そしてDoで実践した後にCheckの時にまたアンケートを使わせていただくという形で、一連の過程の中で、EBPMを実践していることが県民の方に伝わるとよいと思った。
 また、Planに重きを置くというご指摘について、従来、行政全体のマインドとして失敗が許されないというところがあったと思うが、最近は、計画に続く実践の中で改善する、ということが許される雰囲気もできつつある。計画の実行後にもきちんと効果を検証しながら進めていくという流れを作ることで、Planにかける時間を短くすることにも繋がると考え、そこをEBPMが手伝えればと思う。

(堀口委員)
 EBPMの有意性の効果検証、仮設の検証は非常に難しいと思うが(例えば、メタボ健診の効果検証では元々健康意識が高い人ほど受診するため、実際よりも健診の効果があるような結果が出てしまう)、どのように検証を行っているのか。

(戦略企画課)
 ロジックを一段階ずつ確認していくことを意識している。
 また、例えば、モデル事業として取り組んでいる職場のフリーアドレスの効果を測定するために、導入済・未導入の集団の両方に対して、定点観測的に年4回アンケートを実施することで、フリーアドレスを導入しなくても発生した効果を排除するなどの工夫をする予定。

(堀口委員)
 偏った結論に至る可能性を排除しながら進めていることは理解した。

(新井委員)
 フリーアドレス導入済・未導入を比較するのはとても良いと感じた。以前、国家公務員の男性育休の取得率についてEBPMによる検証を提案したことがある。研修受講により育休取得が増えるという仮説を検証する目的で、半分は父親学級として研修を受講、もう半分は研修を受講しないというやり方を提案したが「職員の平等に反する」とのことで実現に至らなかった。そういった面が公務員の皆さんがEBPMを推進していくハードルになるのかと感じたので、それを乗り越えて比較をしている点については素晴らしいと思う。
 事前アンケートにおいても、ロジックモデルの作成時においても「これで検討すべき材料は足りているか?」という前提の下、多様な問いを全員で出し切ることが重要だと思う。分析だけでなく、問いを設定するスキルも大事にしていただきたい。
もう一つ、大きいPDCAサイクルの中に小さなPDCAサイクルを入れていくことが必要であり、うまくいかない気配を感じたときに瞬時に軌道修正できるようにしていただきたいと考える。

(戦略企画課)
 問いを立てるスキルは非常に重要と考える。
 今までの行政のやり方では、既定路線の上での立案が多かったが、様々な仮説を立てつつ、本当に今の事業に効果があるのかに立ち返るような、ゼロベースで考えるところが広がるといいなと思っている。問いを立てるスキルの向上に係る取組もできればと思う。

(佐藤委員長)
 私からも感想・質問を伝えたい。まず、群馬県でEBPMをここまで推進していたことに驚いた。EBPM推進室という組織があることは知っていたが、取組に関する情報があまり公開されていないように思う。県のホームページを検索しても、EBPMに関する情報や、群馬県EBPM推進方針が見つからなかった。私が委員を務めている内閣府、埼玉県ではロジックモデルも含めて情報を公表している。行政の無謬性から脱却し、隠さずにどんどん公表したらよいのではないか。
 EBPM推進のためには「EBPM推進」のロジックモデルを作るのが良いと思う。戦略企画課が事務局となり、様々な原課と政策議論しながら政策の設計図であるロジックモデルを作り、目的と手段、原因と結果の関係をわかりやすく図式化していく。少なくとも作る過程で議論に参加した方には共有されるため、そういった形でどんどん横展開していけばよい。
 政府の場合は、EBPMを推進するための役職として各府省に政策立案総括審議官というポジションのリーダー的存在がいて政府全体のEBPMを推進している。戦略企画課でよい取組を進めていても、それが強制でもなく任意の取組だとなると、広がりが限定的になり、ある範囲にとどまってしまい、もったいないと考える。
 他の自治体、例えば新潟市では人材育成基本方針において、EBPM推推人材を育成していくことが謳われている。全国各地の大学でもデータサイエンティストを供給していく時代であり、これから入庁する若手職員をうまく活用できる受け皿を整えていく必要があると考える。

(戦略企画課)
 県民向けの情報発信、内部での政策決定に係る内容であったことが大きかったと思うが、発信のところは今後重きを置いて進めていきたい。

(佐藤徹委員長)
 EBPMはツールではなく、エビデンスに基づいて政策を立案・評価したりする意思決定のあるべき状態ではないか。そのためにロジックモデルを活用したりデータ分析を行える人材育成を進めたりすることが重要だと考えている。

(戦略企画課)
 EBPM推進のロジックモデルについては早速取り掛かっていきたい。

2.次期行革大綱 策定スケジュール等について

業務プロセス改革課から資料2により説明。

主な意見等

(佐藤委員長)
 計画期間はいつ確定するのか。

(業務プロセス改革課)
 現時点では3年または5年として検討を進めているところである。今後確定させていく。

(佐藤英夫委員)
 長い間「行政改革大綱」という名前でやっているが、何となく夢がないような気がする。職員は「圧縮・削減」というイメージで捉え、行財政改革をやり続けていることの疲弊感もあるのではないか。前向きな行財政改革方針を作っていただきたいと感じる。

(業務プロセス改革課)
 他の自治体では「行財政改革プラン、方針」などの名称を使っている自治体も多い。前向きに取り組んでいけるよう、名称の変更も検討している。

(業務プロセス改革課)
 行財政改革大綱は平成の中盤に職員の定数を削減する・支出を圧縮するという方針の下で進められてきた。ただ、今後は仕事の進め方の最適化、職員の能力を最大化、行政以外の様々な主体との関わりなど、様々な視点を取り込んでいきたいと議論しているところである。

(佐藤委員)
 多様な人材がいることで多様な意見が出てくると思うので、圧縮基調ではない形で成果を上げていただきたい。

(堀口委員)
 私自身も中小企業の相談を色々と受けているが、地方の民間企業のITの導入はかなり遅れている現状があり、群馬県庁の方が先進的な取組をしている印象を受ける。モデルケースや身近な成功事例があると安心して取り組めるので、大きな組織でIT・DXを推進している事例として、取組を情報発信していただけるとありがたい。

(業務プロセス改革課)
 行財政改革大綱は行政の仕事のあり方を決めているものだが、県ではDX加速化プログラムも策定している。そこでは民間のDX人材の育成も論点として掲載しており、これから重点的に進めたい。
また、企業に加えて市町村のDXも重要と感じている。県民に行政のデジタル化を実感していただくためには、最も身近な窓口である市町村のDX化が重要だが、小規模な市町村ではリソースを割けていない現状がある。県庁の専門スキルを持つ職員が応援していくことも考えている。

(新井委員)
 行財政改革においても、働き方改革においても、ありたい姿を定めることが必要である。どんな群馬県にしたいか、そのために県庁がどんなチームを目指すかをきちんと設定し、発信していただくと、県民や職員にとってわかりやすく、納得感も得やすい。
 また、先ほど中小企業のDX化の話が上がったが、働き方改革も同様と考える。群馬県の移住希望地ランキングが上がったのは、子育て環境・住環境の良さが主に評価されているためだと思うが、定住者を増やすためには、都内で働くテレワークの人だけではなくて、県内企業の働き方を魅力的にして、県内企業に転職したい人を増やす必要がある。
県職員の皆さんと県内企業の皆さんが一緒に学ぶ場を作ったり、働き方改革やDXを頑張る企業を入札で加点の対象にしたり、県内企業を巻き込む取組をぜひもっと進めていただきたい。岡山県では勤務間インターバルの導入について、県職員も県内企業も一緒に取り組んでおり、知事は大きな変化を感じているとのことであった。
 県の職員だけじゃなくて、県内企業も一緒にやっていく。それによって定住化する人を増やして県内の魅力を高めるところをぜひ目指していただけると良いと思った。

(業務プロセス改革課)
 総合計画と行革大綱の方向性を合わせて考え、対応していきたい。

(塚本委員)
 現在の行財政改革大綱の中で、既に軌道に乗ったもの、再度目標に挙げるまでもないものはどのくらいあるのか。

(業務プロセス改革課)
 DXによる県民の利便性向上に挙げている「規制緩和・添付書類・押印の見直し」は既に達成済と考えている。またデジタルデバイド対策などは、市町村を支援する形になっていくなど、県の取り組み方のスタンスが変わるものもある。他の項目も、項目再編などを検討したい。

(佐藤徹委員長)
 現行の行財政改革大綱の実施項目14番目のEBPMについては、「県政のデジタル化の推進」の改革のところに位置付けられている。策定時にも伝えたが、EBPMを推進するための手段の1つがデジタル化であって、今の書きぶりは逆ではないかと考えている。政策立案プロセスの改革とかもっと大きな話になってくるのではないか。
 新井委員もおっしゃったように目指すべき姿があって、そこからバックキャスティングして、これまで行ってきた様々な実施項目が、手段として妥当なのかどうか。役目を終えたら削除して、新たな取組を立ち上げることが必要になる。次の行財政改革大綱を策定するプロセスにおいて、関係課と一緒にロジックモデルを作ってみてはいかがかという先ほどの話に帰着する。
 また現在公務員のなり手不足、人材不足が顕在化している。そのような状況において新たな課題が発生し、いろいろなことが行政に求められている中で、業務量のコントロールやカットが大事だと思う。そういう視点が次期大綱に入っているとよいと考える。

(業務プロセス改革課)
 行政において、仕事がプラスされることはよくあるが、引き算はなかなかできていない。業務量のコントロールの意識はこれからも強く持たねば、と思う。公務員を選んでもらえるよう、よい働き方ができる組織にしていきたい。

(新井委員)
 現在の大綱では、BPRと多様で柔軟な働き方の実現が別項目になっているが、本来はセットであるはず。時間の使い方の質が変わっていくことで、豊かなワークライフバランスが実現できたり場所の柔軟性が高まったりするはずである。人材獲得にも繋がる。そのあたりも総合的に考えていただきたい。

資料1 群馬県庁におけるEBPM推進について.pdf (PDF:558KB)

資料2 次期行財政改革大綱 策定スケジュール等について.pdf (PDF:217KB)

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