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令和4年度公営企業会計決算審査意見書

更新日:2023年10月11日 印刷ページ表示

群監第131-1号
令和5年9月8日

群馬県知事 山本 一太 様

群馬県監査委員 林 章
群馬県監査委員 石原 栄一
群馬県監査委員 須藤 和臣
群馬県監査委員 伊藤 清

令和4年度群馬県公営企業会計決算審査意見について

 地方公営企業法(昭和27年法律第292号)第30条第2項の規定に基づき審査に付された令和4年度群馬県公営企業会計の決算について審査した結果は、別紙のとおりです。
(以下、別紙)

第1 審査の概要

1 審査の対象

令和4年度群馬県流域下水道事業決算(知事部局所管)
令和4年度群馬県電気事業決算(企業局所管)
令和4年度群馬県工業用水道事業決算(企業局所管)
令和4年度群馬県水道事業決算(企業局所管)
令和4年度群馬県団地造成事業決算(企業局所管)
令和4年度群馬県施設管理事業決算(企業局所管)
令和4年度群馬県病院事業決算(病院局所管)

2 審査の手続

 令和4年度の公営企業会計決算について、決算書類が事業の経営成績及び財政状態を適正に表示しているかを検証するため、財務諸表と関係帳票、証拠書類などを照合するとともに、地方公営企業法その他の関係法規に準拠して作成されているかを審査した。
 また、事業が常に経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されているかどうか、経営の分析を行うとともに、関係職員から説明を求め、定期監査及び例月現金出納検査等の結果も考慮して慎重に実施した。

第2 審査の結果及び意見

1 審査結果

 決算諸表は経営成績及び財政状態を適正に表示しており、その計数は正確である。
 事業の運営に当たっては、経営の基本原則に従って、経済性の発揮と、その本来の目的である公共の福祉の増進に意を用い、おおむね適正に運営されたものと認められた。

2 事業運営に対する意見

(1) 流域下水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は9,772百万円で前年度に比べ244百万円、2.4%減少し、総費用は9,393百万円で前年度に比べ444百万円、4.5%減少した。これは主に、国庫補助金に係る長期前受金戻入の減による営業外収益の減少や、設備の修繕に伴う修繕費の減による営業費用の減少によるものである。
 経常損益は経常利益142百万円となり、前年度に比べ33百万円減少した。
 純損益は、過年度の資産を精査して特別利益に計上したため、純利益379百万円となり、前年度に比べ200百万円増加し、減収増益の決算となった。
 当年度の企業債の発行額は993百万円、償還額は1,438百万円、年度末の残高は17,611百万円であり、前年度末に比べ2.5%減少したが、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 令和4年度の本事業の予定流入水量と実績流入水量は、予定流入水量の74,743,258立方メートルに対して、実績流入水量は74,173,098立方メートルとなった。
 本事業の課題は、全国平均と比較して汚水処理人口普及率が低いこと、人口減少による有収水量の減少が見込まれること、施設の老朽化が進行していることや耐震化・耐水化への対応が遅れていることなどが挙げられる。
 これらの課題に対応するため、「群馬県流域下水道事業経営計画」(令和3年度~12年度)、「群馬県下水道施設長寿命化計画」(平成30年度改定)等に基づき、関係市町村と連携の上、下水道未普及地域解消や汚水処理人口普及率向上に向けた幹線管渠等の施設の整備を進めるとともに、「群馬県汚水処理計画」(令和5年度~14年度)において定められた「汚水処理広域化・共同化計画」に基づき、汚水処理施設の流域下水道接続を推進することなどにより有収水量の増加を図り、収入の確保に努められたい。
 また、今後も引き続き、ストックマネジメントに基づく予防保全的な施設の維持管理や更新を行うとともに、計画的に耐震化や耐水化を進め、適切な施設・設備の機能維持に努められたい。

(2) 企業局事業

ア 総括意見

 企業局所管の5事業全般にわたる収支の状況をみると、総収益は18,835百万円で前年度に比べ2,076百万円、9.9%減少した。これは主に、電気事業における電力販売料が1,107百万円増加した一方で、団地造成事業における分譲収益が3,137百万円減少したことなどによるものである。総費用は13,691百万円で前年度に比べ2,982百万円、17.9%減少した。これは主に団地造成事業における造成原価が2,517百万円減少したことなどによるものである。
 経常損益は経常利益5,140百万円となり、前年度に比べ592百万円増加した。
 純損益は純利益5,144百万円となり、前年度に比べ905百万円増加し、減収増益の決算となった。
 令和3年度に策定された「第2次群馬県企業局経営基本計画」(令和3年度~12年度)では、経営の基本方針として「収益力の向上」「効率的な運営」「変化の時代における柔軟な対応」の3つを定めている。
 今後も引き続き、この基本方針に基づき、企業局の目指す将来像の実現に向け、経営の健全性を維持し、各事業を着実に推進することが望まれる。
 なお、事業別の審査意見は次のとおりである。

イ 事業別意見

(ア) 電気事業

 事業収支の状況をみると、総収益は9,803百万円で前年度に比べ1,102百万円、12.7%増加し、総費用は6,430百万円で前年度に比べ109百万円、1.7%減少した。これは主に、電力会社との売電契約の見直しに伴う販売電力料収入増による営業収益の増加や、関根発電所浸水事故に伴う除却処理が済んだことにより特別損失が減少したことによるものである。
 経常損益は経常利益3,395百万円となり、前年度に比べ1,124百万円増加した。
 純損益は純利益3,373百万円となり、前年度に比べ1,211百万円増加し、増収増益の決算となった。増収増益となった主な理由は、降雨量の増加に伴う発電電力量の増加や八ッ場発電所の供給電力量が目標に比べ大幅に増加したことなどによるものである。
 本事業の課題は、運転開始から50年以上を経過している水力発電所が12箇所あるなど施設の老朽化が進行していることである。
 また、再生可能エネルギーの地産地消や活用拡大を推進することが期待されているとともに安定的な収益の確保を図ることが求められている。
 なお、令和元年度に定期点検のミスにより浸水事故を起こした関根発電所は、復旧工事に多額の経費を要する上、運転停止に伴う騒音等が発生し、地元住民の生活に影響が生じていることから、これを早期に解消する必要がある。
 今後の事業運営に当たっては、引き続き日頃からの保守管理や点検を徹底しつつ、施設の計画的な改修、修繕を行い、電力の安定供給に努められたい。
 また、県営水力発電所で生み出した再生可能エネルギー電力を県内事業者に提供するため、令和5年度に新たに創設した「地産地消型PPA(群馬モデル)」等、公営電気事業者として国内最大規模の水力発電を活用した未来への投資につながる新たな取組を積極的に推進されたい。
 さらに、電気事業を取り巻く経営環境は、原油等の燃料価格や卸売市況等により大きく影響を受けることから、引き続きその動向を注視し、将来的な影響を分析した上で、更なる安定した収益の確保に努められたい。

(イ) 工業用水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は1,911百万円で前年度に比べ90百万円、4.5%減少した。これは主に、前年度特別利益として計上した受水企業からの契約水量減量に伴う負担金収入が皆減となったことによるものである。総費用は1,741百万円で前年度に比べ111百万円、6.8%増加した。これは主に、電力料金の高騰に伴う動力費の増などにより営業費用が増加したことによるものである。
 経常損益は経常利益170百万円となり、前年度に比べ96百万円減少した。
 純損益は純利益170百万円となり、前年度に比べ201百万円減少し、減収減益の決算となった。
 当年度の企業債及び他会計借入金の借入額は285百万円、償還額は590百万円、年度末の残高は6,347百万円で、前年度末に比べ4.6%減少したが、令和5年度から電気事業からの借入金の償還が始まるなど、今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 令和4年度の工業用水道の契約水量及び給水実績は、施設処理能力合計が90,702,500立方メートルに対して、年間契約水量が72,034,368立方メートル、給水実績が44,870,366立方メートルであった。
 本事業の課題は、工業用水道の供用開始から40年以上経過しているため、設備の老朽化が進行していること、また、東毛工業用水道の施設処理能力に対する契約水量及び給水実績の割合が低いことなどが挙げられる。
 当年度は、東毛工業用水道において漏水事故が発生し、工業団地への給水が停止されるなど影響が生じた。今後はこれまで以上に、施設設備の保守管理を徹底するとともに、耐震化の推進やアセットマネジメントを活用した計画的な修繕や更新・改良を行い、強靱な工業用水道を構築することにより、良質な工業用水の安定供給を図られたい。
 また、東毛工業用水道については、工業用水道の供給区域内における産業団地への誘致企業に対する新規受水契約の獲得に向けた取組や、既に立地している企業に対する地下水利用からの転換による新規受水契約や契約水量の増量提案を積極的に行うことにより、施設能力に見合った契約水量及び給水量を確保し、収入確保に努められたい。

(ウ) 水道事業

 事業収支の状況をみると、総収益は4,759百万円で前年度に比べ47百万円、1.0%減少し、総費用は3,678百万円で前年度に比べ73百万円、1.9%減少した。これは主に、繰上償還補償金の皆減により営業外費用が減少したことによるものである。
 経常損益は経常利益1,082百万円となり、前年度に比べ27百万円増加した。
 純損益は純利益1,082百万円となり、前年度に比べ26百万円増加し、減収増益の決算となった。
 当年度の企業債の償還額は964百万円、年度末の残高は6,438百万円で、前年度末に比べ13.0%減少した。今後も長期間にわたって償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 令和4年度の水道の給水状況は、給水能力合計が92,436,250立方メートルに対して、給水計画量が65,536,480立方メートル、給水実績量が65,536,480立方メートルであった。
 本事業の課題は、県央第一水道の供用開始から30年以上経過し、設備の老朽化が進行していること、また、県央第二水道の施設能力に対して給水計画量及び給水実績の割合が低いことなどが挙げられる。
 今後も引き続き、デジタルトランスフォーメーションの活用推進などにより、施設設備の保守管理を徹底するとともに、耐震化の推進やアセットマネジメントを活用した計画的な修繕や更新・改良を行い、施設の強靱化を進め、県民のライフラインである水道水の安定供給を図られたい。
 また、令和5年度から県央第一水道事業と県央第二水道事業が統合され群馬県水道用水供給事業とされたが、県央第二水道施設については、引き続き施設能力に見合った給水量の確保や事業規模の適正化を検討されたい。
 加えて、令和4年度に策定された「群馬県水道広域化推進プラン」に基づき、より効率的な事業運営に向け、県関係機関や市町村水道事業者と連携し、水道広域化に向けた取組を推進されたい。

(エ) 団地造成事業

 事業収支の状況をみると、総収益は1,530百万円で前年度に比べ3,119百万円、67.1%減少し、総費用は1,255百万円で前年度に比べ2,655百万円、67.9%減少した。これは主に、分譲収益及び造成原価がそれぞれ減少したことによるものである。
 経常損益は経常利益256百万円となり、前年度に比べ583百万円減少した。
 純損益は純利益276百万円となり、前年度に比べ463百万円減少し、減収減益の決算となった。減収減益となった主な理由は、前年度に比べ造成済みの産業用地が減少し、分譲面積が大幅に減少したためである。
 団地の分譲実績は、景気や投資動向に左右されるため、年度ごとにばらつきがみられるが、当年度における産業団地の分譲面積は、前年度に比べ約18.2ha減少し約5.6haで76.5%の減、住宅団地の分譲区画数は前年度の14区画に対し18区画となった。
 本事業の課題は、新規産業団地の整備には計画から造成・分譲開始までに5~7年程度の期間を要することに加え、企業誘致の受皿となる分譲可能な産業用地が減少していることである。
 また、住宅団地の分譲は依然として低調であり、特に板倉ニュータウンについては、東洋大学板倉キャンパスが令和6年4月に移転することが決定しており、分譲環境が更に厳しくなることが予想される。
 今後の事業運営に当たっては、本県の優位性や魅力を生かしながら、市町村や県関係部局と連携し、現在造成中の産業団地の早期完成に努められるとともに、計画的な造成に努められたい。
 また、「地産地消型PPA(群馬モデル)」の活用や、良質で安定した工業用水の供給など、企業局の強みを結集した企業誘致に取り組み、産業団地の早期分譲に努められたい。
 さらに、住宅団地については、板倉ニュータウンにおける新エネルギー活用住宅モデル事業の実施等により、再生可能エネルギーの地産地消及び災害レジリエンスを高めた住宅団地として分譲促進を図るなど、更なる販売強化に努められたい。

(オ) 施設管理事業

a 全体

 事業収支の状況をみると、総収益は832百万円で前年度に比べ77百万円、10.3%増加し、総費用は588百万円で前年度に比べ255百万円、30.3%減少した。これは主に、ゴルフ場事業において令和4年度から企業局納付金が増加し、旧上武ゴルフ場の廃止に伴う原状回復工事等に係る費用計上がなかったことによるものである。
 経常損益は経常利益238百万円となり、前年度に比べ121百万円増加した。
 純損益は純利益243百万円となり、前年度に比べ333百万円増加し、増収増益の決算となった。
 当年度の電気事業会計からの借入金の償還額は164百万円、年度末の残高は919百万円で、前年度末に比べ10.7%減少したが、今後も償還が続くため、償還資金の確保について留意する必要がある。
 今後の事業の運営に当たっては、以下の事業別に記された留意点を踏まえ、取り組むことを望むものである。

b 格納庫事業

 格納庫事業においては、令和3年度末からの入居増減はなかったが、減価償却費の減などにより、格納庫管理費が減少し、25百万円の純利益を計上した。
 事業運営に当たっては、空きスペースへの入庫者確保のほか、さらなる短期利用の促進に取り組むことにより、収益力の向上と効率的な運営を図られたい。

c 賃貸ビル事業

 賃貸ビル事業においては、新規入居に加え、ホールや会議室などの一時利用の増加等により、賃貸収益が4百万円増加したものの、令和4年度は特に光熱水費の増加により公社総合ビル管理費が増加したため、前年度に比べ損失額が4百万円増加し、18百万円の純損失となった。
 営業費用に占める減価償却費の割合が高く、経営が赤字体質となっていることから、事業運営に当たっては、引き続き設備更新等の時期や更新内容等の見直しを行うとともに、損失額の縮小を図りつつ、収支の改善に努め、採算性や公益性を踏まえた今後の事業のあり方を検討されたい。

d ゴルフ場事業

 ゴルフ場事業においては、旧上武ゴルフ場の廃止に伴う原状回復工事等に係る費用計上がなかったことに加え、ゴルフ場指定管理者からの納付金の増加などにより、前年度の純損失97百万円から、純利益237百万円となった。
 また、ゴルフ場の利用者数は、前年度の220,134人から、212,300人とわずかに減少した。今後は、「群馬県営ゴルフ場事業運営方針」に基づき、持続的な事業運営を行うとともに、常に利用者ニーズを的確に捉え、そのニーズに応じたサービスの提供を通じて、「広く県民に親しまれるゴルフ場づくり」を進められたい。
 また、各ゴルフ場の特色を生かした創意工夫により、現在の利用者を大切にしながら、新たなターゲット客層の設定と取込みを図るとともに、サービスの拡充に取り組まれたい。
 さらに、今後のクラブハウスの方向性については、劣化損傷状況や投資採算性に応じて、長寿命化改修または改築による計画的なリニューアルに取り組まれたい。

(3) 病院局事業

 事業収支の状況をみると、総収益は32,035百万円で、新型コロナウイルス感染症関係補助金は減少したものの、入院収益・外来収益及び光熱費等の物価高騰に係る一般会計繰入金の増加により、前年度に比べ678百万円、2.2%増加した。総費用は31,704百万円で、材料費や給与費、光熱水費等の経費の増加により、前年度に比べ1,536百万円、5.1%増加した。
 経常損益は経常利益386百万円となり、前年度に比べ802百万円減少した。
 純損益は純利益331百万円となり、前年度に比べ858百万円減少し、増収減益の決算となった。
 病院局経営戦略課を除いた病院別では、心臓血管センターは334百万円、がんセンターは114百万円、精神医療センターは96百万円、小児医療センターは1百万円の純利益で、2年連続で県立4病院全てにおいて黒字決算となった。
 しかし、病院局経営戦略課分として計上されている収益・費用を各病院に振り分けると、心臓血管センターは278百万円、がんセンターは39百万円、精神医療センターは68百万円の純利益となるものの、小児医療センターは55百万円の純損失となり、経営環境は厳しい状況である。
 現金預金は前年度に比べて441百万円増加しており、各月末残高の状況についても、全ての月において前年度を上回っていた。
 県立病院は、それぞれの専門分野において高度専門医療を担い、施設整備や高額医療器械導入などの設備投資が行われており、その財源として発行した企業債の残高は11,917百万円となっている。残高は前年度から1,867百万円減少しているものの、今後も多額の償還資金が必要となることに加え、人口減少、光熱水費等の高騰による経費の増加、新型コロナウイルス感染症関係補助金の大幅な減少が見込まれること等により、今後の病院経営は厳しい状況が続くことが予想される。
 「第五次群馬県県立病院改革プラン」(令和3年度~6年度)(以下「第五次改革プラン」
という。)では、県立病院の使命を果たすため、以下の4つの改革の柱が掲げられており、今後の事業運営に当たっては、次の事項を望むものである。

ア 県立病院としての機能強化

 県立病院は、県内における各専門領域の拠点病院として、先進的で質の高い医療を提供している。
 心臓血管センターは、本県心疾患医療の専門病院として、がんセンターは、県内唯一のがん専門病院として、高度専門的な医療を提供している。また、精神医療センターでは、他の医療機関では対応困難な精神症状の患者へ適切な医療を提供している。小児医療センターでは、高度で先進的な周産期・小児医療を提供している。
 小児医療センターは、施設の老朽化等のため、建て替え再整備に向け、令和5年度から「小児医療センター再整備マスタープラン」の策定に着手し、基本構想・基本計画をまとめていくこととしている。県内唯一の小児医療専門病院として担うべき役割や病院機能等について、関係機関等と検討を重ねて方向性を決定されたい。
 今後も引き続き、高度専門医療の更なる充実や地域医療機関との病診連携・病病連携に取り組むとともに、医療安全管理対策の推進により、県民から求められる役割や機能の確保に努められたい。

イ 群馬の医療を担う人材の確保と育成

 先進的で質の高い医療を提供するためには、これを支える人材の確保や育成が必須であるが、医師や看護職員をはじめとする医療従事者の確保は、本県県立病院においても喫緊の課題となっている。このような中、令和5年2月には、県、群馬大学医学部附属病院、県医師会等で構成される「ぐんま地域医療会議」の提案に基づき、高度な新生児医療を担い、24時間、365日体制での対応が必要な小児医療センターの新生児科に対し、群馬大学医学部附属病院から医師2名の派遣が決定されるなど、関係機関との連携による人材確保が進められている。
 人材不足による病院の機能低下を避けるためにも、県や医師会などの関係機関との連携強化に向け積極的に取り組むとともに、県立病院で働く魅力や実習の受入強化などの情報発信を効果的に行うことにより、必要な人材を確保されたい。
 また、高度化・専門化する医療に対応するため、研修の受講や資格取得支援、レジデントの育成などの取組を進め、院内における人材育成を積極的に推進されたい。

ウ 経営の健全化

 令和4年度の決算は、新型コロナウイルス感染症関係補助金の受入れのほか、入院収益及び外来収益の増により純利益となったが、引き続き医業収益の向上や医業費用の削減に向けた取組が求められている。
 また、第五次改革プランでは、病床の効率的運用の取組強化や新たな診療報酬加算の取得、共同購入品目の拡充等の取組を進め、経常収支を黒字化させることを目標としている。
 持続可能な病院経営を目指すためにも、ベッドコントロールの強化や診療報酬加算の確実な取得による収益の向上のほか、価格交渉の強化や共同購入品目の拡充等による費用の削減など、更なる経営の健全化への取組を進められたい。

エ デジタルトランスフォーメーションの推進

 デジタルトランスフォーメーションの推進は、県全体で取り組む重要な課題であり、県立病院においても、電子カルテ入力の負担軽減のための音声入力システムの導入やオンライン資格確認システムの導入等、デジタル化の取組を進めている。
 引き続き、各県立病院のDX推進委員会を中心に、医療現場と経営部門が一体となって病院全体のデジタルトランスフォーメーションを推進し、医療分野や事務分野における新技術の導入や情報共有の円滑化などについて検討を進められたい。
 併せて、今後需要の増加が見込まれる遠隔医療への対応や、AI(人工知能)を活用した画像・映像診断や問診の導入を引き続き検討し、より高度な診断や、ヒューマンエラーによる医療ミス防止につなげるとともに、入力業務や集計業務の自動化を推進し、業務の生産性を高めることにより、医療の質と患者サービスの向上に努められたい。
 また、デジタル化の取組を進めることにより、情報セキュリティの重要性は増している。災害時の対応やサイバーセキュリティ対策等への対処についても進められたい。

(参考)定期監査等における指摘事項等の状況(令和4年度会計)

令和4年度留意改善事項一覧
区分 実施機関数 留意改善事項
指摘事項 注意事項 検討事項
定期監査 18(18) 3(0) 4(7) 0(0) 7(7)
随時監査 1(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0)
19(18) 3(0) 4(7) 0(0) 7(7)

*( )は、前年度の件数

令和4年度留意改善事項(件数・内容)
監査結果 件数 内容
指摘事項
(適正を欠くと認められ、改善を要するもの)
3件
  • 契約(1件)
    • 業務委託の設計積算において、直接人件費並びに業務管理費及び一般管理費の算定に誤りがあったもの(病院局1件)
  • 工事(1件)
    • 工事の設計積算において、共通費の算定に誤りがあったもの
      (病院局1件)
  • その他(1件)
    • 診療費未納者への督促について、決裁責任者の決裁を受ける前に処理を行っていたもの(病院局1件)
注意事項
(軽易な誤りがあり、改善を要するもの)
4件
  • 収入(1件)
    • 納付期限までに納付されていない未払診療費について、群馬県病院局財務規程に定める期限までに督促していなかったもの
      (病院局1件)
  • 契約(3件)
    • 3人以上から見積書を徴して契約すべきところ、見積書を徴しないで随意契約を締結したもの(病院局1件)
    • 3人以上から見積書を徴して契約すべきところ、同一日に2回に分けて、見積書を徴しないで随意契約を締結したもの(病院局2件)​
検討事項
(事務の効率化等の面から検討を要するもの)
0件  

令和4年度群馬県公営企業会計決算審査意見書(全文)(PDF形式)

令和4年度群馬県公営企業会計決算審査意見書(全文) (PDF:3.36MB)

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