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脱炭素社会・新エネルギーに関する提言 脱炭素社会・新エネルギーに関する特別委員会(令和4年3月15日)

 近年、「持続可能な開発目標」と「パリ協定」が採択されるなど、環境を巡る国際情勢は大きく転換している。国は、2021年4月に、2030年度において温室効果ガス排出量46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%削減の高みに向けて挑戦を続けることを表明した。2021年5月には、地球温暖化対策推進法を改正、同年10月には地球温暖化対策計画を改訂し、新たな2030年度目標の裏付けとなる政策・施策を記載し、新目標実現への道筋を描いている。
 本県は、「脱炭素社会」の実現に向けた、豊かで持続可能な群馬県を目指す「群馬県地球温暖化対策実行計画2021-2030」を2021年3月に策定した。ここでは、温室効果ガス排出量の削減目標を2013年度比で、中期(2030年度)には50%、長期(2050年度)には温室効果ガス排出量「ゼロ」にすることを掲げ、様々な施策に取り組んでいる。本県においても、温室効果ガスを削減し脱炭素社会を実現することは、差し迫った喫緊の課題となっている。
 本県において脱炭素社会を実現するためには、資源と資金が域内で循環する地域経済循環を形成し、群馬県のグリーン・イノベーションを実現することが重要となってくる。本県の豊かな水資源や森林資源などを再生可能エネルギーをはじめ多様な形で活用し、エネルギー等の地産地消を進め、資源と資金が域内で循環する経済をつくる必要がある。
 また、産業界では産業構造の転換が、県民にとっては暮らしの変革などが伴うことを理解するとともに、全庁を挙げた組織体制を構築し、市町村とも連携し、全県を挙げて、脱炭素社会の実現に向け、取り組むことが重要となってくる。
 ついては、本県における脱炭素社会の実現及び新エネルギーの推進に当たっては、次の事項に配慮されるよう強く要望する。

家庭等に対する県の取組について

  • 省エネルギー対策として、省エネ家電や家庭用蓄電池等への買い換えを促進する環境づくりに努めること。
  • 脱炭素社会づくりには、各企業の取組と同時に家庭での取組を進めていくことが重要である。「ぐんまエコスタイル」や「COOL CHOICE運動」など家庭でできる取組を具体的に情報発信すること。
  • 県産木材を使用した高断熱・高気密住宅を推進するためにも、高断熱・高気密住宅に係る県の補助制度の創設を検討すること。あわせて、一般住宅を省エネ化することで脱炭素社会の実現に寄与するということを県民に周知すること。
  • 循環型社会の構築において、木の大切さや木を利用することの意義を理解することは重要であるので、木育インストラクター養成講座の充実など、これまで以上に木育に取り組むこと。

事業者等に対する県の取組について

  • ESCO事業を施工できる県内の事業者を育成するとともに、市町村及び民間事業者によるESCO事業の導入を推進すること。
  • 脱炭素社会の実現に向けて、SDGsの考え方を広く普及させることは重要な取組である。一方、SDGsは大企業を中心に取組が進むものの、依然として中小企業等における取組は人的資源の不足等により進んでいない状況があるので、県内企業等に広くSDGs・脱炭素の取組を浸透させるために、事業者向け脱炭素ガイドブック(栃木県事例)等、効果的な情報発信を行うこと。
  • 農家が再生可能エネルギーに取り組むことにより、収益が確保でき、経営安定に寄与するものと考えられるので、再生可能エネルギーの普及を促進するとともに、相談体制を整備すること。また、太陽光発電の用地確保のため、荒廃農地の活用を検討すること。
  • 太陽光発電の促進と並行して、今後大量に発生することが予想される太陽光パネル等の廃棄やリサイクル、リユースのシステムを検討すること。

2050年に向けた「ぐんま5つのゼロ宣言」実現条例について

  • 条例における再生可能エネルギー設備の設置義務を達成するには、事業者にとっての具体的なインセンティブが必要なので、支援策について検討すること。特に、条例によって再エネ設備設置が義務付けられる企業に対しては、負担軽減のための支援策がセットとなるよう検討すること。
  • 条例について、新たに義務が生じるものもあることから、様々な方法により、県民及び事業者に広く周知すること。

再生可能エネルギーの導入・促進等について

  • 再生可能エネルギーを導入・促進するためには、送配電網の強化が重要であり、接続可能量のさらなる拡大を図るよう国や関係機関に働きかけること。
  • 地中熱及び温泉熱等の熱利用を推進すること。
  • 県有施設についても再生可能エネルギーの導入を推進・検討すること。
  • 電気自動車や燃料電池自動車の普及のため、県内各地の道の駅に設置するなど充電ステーション等の設置を具体的に検討すること。
  • 板倉ニュータウンでの実証実験について、水素エネルギーを普及させ、ほかの地域に展開するためにも、早い段階からイニシャルコストやランニングコストなどの収支計画を検討し、事業の見通しを立てること。また、先進的な水素P2Gが前面に出るような仕組みを検討すること。
  • 県では、平成28年度に小水力発電有望地点調査を実施するなどして小水力発電の導入を推進しているが、技術革新が進み小水力でも高効率の発電ができる設備もあることから、積極的に小水力発電の普及に取り組むこと。

プラスチックごみの削減等について

  • 農業関係のプラスチックごみ削減のため、生分解性マルチフィルムの導入促進に向け、有効性を農業者に周知するとともに、流通量を向上させ、利用促進を図ること。
  • ワンウェイプラスチックの使用削減と植物由来のプラスチックの利用を推進しながら、プラスチックの資源循環が進むよう啓発すること。
  • 本県の1人1日あたりの生活系ごみ排出量は5年連続で全国最下位となっており、生活系ごみの排出削減の取組を積極的に推進する必要がある。生活系ごみの排出量を削減するためには、一人ひとりの小さな積み重ねが重要であり、数値目標に対する進捗状況を毎年公表したり、生ごみの減量に力を入れるなど、市町村と連携して、生活系ごみの排出を抑制する取組を積極的に推進すること。

食品ロスについて

  • 食品ロスを削減するための、地域内で農畜産物が地産地消できるような仕組みを検討すること。また、観光地の旅館等から排出される食品ロスは特に多いので、減量する方法を検討すること。

県の推進体制について

  • 脱炭素社会を実現するため、行政の縦割りを排除して、全庁を挙げた組織を構築し、効率的・効果的に施策を実施すること。

 以上、提言する。
 令和4年3月15日

群馬県議会脱炭素社会・新エネルギーに関する特別委員会

 群馬県知事 山本 一太 様


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