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議第18号議案(令和2年12月15日)

「県有施設のあり方見直し中間報告」に関する決議

 群馬県においては、行財政改革の一環として、県有施設のあり方見直しを進めている。令和2年1月には、専門的な見地や県民の視点による意見を取り入れるため、外部の有識者を構成員とする「県有施設のあり方見直し委員会」を設置し、10施設を対象に検討を進め、同年10月7日には、見直しの方向性を示した中間報告が行われた。
 それに対し、本県議会行財政改革特別委員会では、県有施設としての必要性や方向性を審査するため、見直し対象10施設に対して現地調査を行い、また、参考人を招致して意見聴取を行うなど、一体的、横断的、集中的に、県有施設のあり方について審査を行った(経緯については、別記のとおり)。
 本県議会として、行財政改革を進めることの必要性は理解しており、県有施設も時代に合わせて見直すことは必要であると考えている。一方、収支だけでは測ることができない県有施設としての必要性や県民の思い等も十分考慮しなければならない。
 令和3年2月には、県から最終報告が公表される予定となっているが、本県議会としては、行財政改革特別委員会の審査等を踏まえ、次の事項に留意して、「県有施設のあり方見直し最終報告」を行うよう、強く要望するものである。

群馬県民会館

  • 本県芸術文化活動の大きな拠点である群馬県民会館は、県庁所在地である前橋市に県有施設として設置している意義は大きく、また、本県経済の活性化等を目的としたコンベンション施設であるGメッセ群馬やそれぞれに個性が違う市町村ホールとは役割が大きく異なり、容易に代替できるものではない。加えて、群馬県文化審議会「群馬県民会館のあり方検討部会」での議論や基本設計・実施設計の予算案が本県議会で可決されていることは非常に重いものである。よって、本会館のあり方については、群馬県中期財政見通しや新型コロナウイルス感染症対策による支出を考慮すると、本会館の改修方針からの転換も理解できなくもないが、存続を求める県民世論の高まりに鑑み、性急に結論は出さず、幅広く県民の意見を取り入れて、慎重に検討すること。
  • 収支を改善するために運営方法を見直すとともに、群馬県立図書館等の敷地を含めたエリア全体の活性化について、前橋市及び関係団体等と綿密に協議すること。

群馬県総合スポーツセンター伊香保リンク

  • 群馬県総合スポーツセンター伊香保リンクは、本県スポーツ界で大きな実績のあるスケートとアイスホッケーの拠点施設であり、廃止となった場合には、競技者は練習拠点を失い、県外流出につながりかねないと認識しているが、執行部からの具体的な収支の改善策を見定めないと、存廃などの方向性を審議することができないので、早急に本県議会に対して改善策を示すこと。
  • 「群馬県のスポーツ振興に関する決議」を踏まえ、渋川市及び関係団体等との協議を綿密に行い、県有施設としてのあり方を検討すること。

ぐんまフラワーパーク

  • ぐんまフラワーパークは、赤城南面の観光施設の拠点であり、花き振興をはじめ地域経済に大きく寄与している。民間への移管は、経済性が優先され、赤字になれば廃止も考えられることから、運営方法について、前橋市及び関係団体等との協議を綿密に行い、県有施設としてのあり方を検討すること。
  • 指定管理者制度を継続する場合には、指定期間の拡大や指定管理料の使途の緩和などの改善策を講ずること。

敷島公園(水泳場)

  • 敷島公園(水泳場)は、公共交通環境やPFI導入を視野に入れた整備、駐車場や工事中の代替施設の確保などの課題が見受けられるので、前橋市及び関係団体等との協議を綿密に行い、県有施設としてのあり方を検討すること。

群馬県立図書館

  • 群馬県立図書館は、施設の老朽化による雨漏りや収納庫の不足などの課題が見受けられるので、必要な施設の改修を行うとともに、運営方法について、前橋市及び関係団体等との協議を綿密に行い、県有施設としてのあり方を検討すること。
  • 前橋市立図書館との合築を検討する場合には、本図書館が果たしてきた機能や役割が損なわれることがないよう、十分配慮すること。

群馬県立妙義青少年自然の家

  • 群馬県立妙義青少年自然の家については、関係市町村及び関係団体等との協議を綿密に行い、県有施設としてのあり方を検討すること。
  • 自然体験等の活動は、青少年の健全育成に重要であり、利用者への影響が最小限となるよう、十分配慮すること。

ぐんま総合情報センター

  • ネット上での情報発信や物販だけでなく、実際に商品を手に取ってもらうための物販機能は必要であり、また、実店舗があることにより、マスコミ等に扱われる素材もあり、パブリシティ活動にとっても重要な役割を担っていることから、ぐんま総合情報センターを在京常設で設置する意義は認められる。同時に、物販売上高等の成果を鑑みるに、今後継続していくために改善すべき課題も多い。よって、本センターのあり方については、性急に結論は出さず、幅広い意見を取り入れて、慎重に検討すること。
  • 令和5年3月まで契約期間があるものに対して、あり方見直しの議論をしていることが公表されているが、委託先への影響を十分考慮して最終報告を行うこと。

群馬県憩の森・森林学習センター

  • 群馬県憩の森・森林学習センターについては、渋川市及び関係団体等との協議を綿密に行い、県有施設としてのあり方を検討すること。
  • 観光地に近接していることから、観光やワーケーション等のコンテンツとしての活用についても検討すること。

緑化センター・附属見本園

  • 緑化推進の拠点施設である緑化センターと附属見本園が併設されていることは、本施設の強みである。その点も十分考慮し、運営方法について、邑楽町及び関係団体等との協議を綿密に行い、県有施設としてのあり方を検討すること。

群馬県ライフル射撃場

  • 群馬県ライフル射撃場は、ライフル射撃競技の県内唯一の施設であり、廃止となった場合には、競技者は練習拠点を失い、県外流出するだけでなく、群馬県ライフル射撃協会としての活動も困難となる。また、他県にとってライバルである本県選手の他県施設利用は、大きな制約が想定されることから、県有施設としてのあり方を慎重に検討すること。
  • 競技の振興や競技者の育成は、本県のスポーツ振興にとって重要であり、収支のみで本施設のあり方を考えることは適当ではない。「群馬県のスポーツ振興に関する決議」を踏まえ、国体競技種目であるライフル射撃の競技者の視点に立ち、整備を検討すること。

見直し対象施設共通

  • 県有施設で働く職員に不利益が及ばないようにすること。
  • 県有施設のあり方見直し委員会の名簿の公表と選任理由を明らかにすること。

以上、決議する。

令和2年12月15日
群馬県議会

別記

県議会での経緯

令和2年3月 県議会総務企画常任委員会

  • 執行部から、あり方見直し対象施設及び今後の予定について説明が行われる。

同年5月~6月 県議会行財政改革特別委員会

  • 同委員会が設置され、「県有施設のあり方の見直し及び管理運営の効率化に関すること」が付議事件の1つとされる。
  • 中間報告の提出を受けた後、あり方見直しについての審査を実施することとなる。

同年10月 県議会行財政改革特別委員会

  • 執行部から「県有施設のあり方見直し中間報告」が提出され、その必要性及び方向性が示される。
  • 中間報告の提出を受け、見直し対象10施設の現地調査を実施(延べ5日間)

同年10月~12月 県議会行財政改革特別委員会

  • 参考人からの意見聴取(1回、5名)及び委員会審査(3回)

同年12月 県議会

  • 「県有施設のあり方見直し中間報告」に対する決議