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環境農林常任委員会(農政部関係)(平成25年6月6日)

1.開催日時

 平成25年6月6日(木曜日)10時01分~15時18分

2.開催場所

 403委員会室

3.出席委員

 委員長:舘野英一、副委員長:安孫子哲
 委員:関根圀男、委員:田所三千男、委員:塚原仁、委員:狩野浩志、委員:茂木英子、委員:水野俊雄、委員:桂川孝子、委員:酒井宏明

4.欠席委員

 なし

5.主な質疑

(1)平成24年度一般会計補正予算(第10号)について

水野委員
 第8款農政費 第2項技術支援費 第7目農業環境保全費で、関係団体の解散があったと説明があったが、詳しく説明していただきたい。

吉野生産環境室長
 群馬県有機肥料協会の解散により、補助金の執行残が発生したものである。

水野委員
 同第6項農村整備費に給料・職員手当等の減額補正の記載がないが、なぜか。

飯塚農村整備課長
 増減がないため補正をしなかったものである。

(2)担い手対策について

関根委員
 新規就農者の現状及び就農形態の傾向についてはどうか。

澁谷技術支援課長
 39歳以下の新規就農者数は、目標とする200人を概ね達成しており、21年度は206人、22年度は190人、23年度は195人、昨年度は204人であった。就農形態は、農家子弟が過半数であるが、近年は農外からの新規参入や法人等への雇用就農も増加している。また、農家子弟の中でも、他産業経験後にUターンする人が約7割を占めており、Uターンや新規参入の増加により、新しい考え方や他産業での経験を活かした取組なども行われ、多様な農業展開が進むものと考えている。

関根委員
 離農者についてはどうか。

澁谷技術支援課長
 農家子弟の場合は5パーセント程度の離農率である。新規参入者については、平成22年度は約15パーセントであったが、24年度は6.3パーセントと減少しており、担い手対策の成果が現れてきていると考えている。

関根委員
 新規就農者に対する県の支援体制についてはどうか。

澁谷技術支援課長
 県内14カ所の就農相談窓口を設置して情報の一元化、希望の把握し、就農計画の作成など、確実に就農・定着できるよう支援している。
 また、農業への適性を自身で見極めてもらうことを目的に、平成24年度から「農業体験事業」を始めており、就農が具体的になった場合には、「就農留学事業」により、先進農家での技術修得を支援している。さらに今年度から、就農後の早期経営安定を図るため、「新農業人スタートダッシュ支援事業」により、5年を目途に経営が円滑に進むよう、普及指導員によるカルテを活用した継続的な相談・支援活動に取り組んでいる。

関根委員
 法人化の現状と今後についてどう考えるか。

小林構造政策室長
 平成19年度の品目横断的経営安定対策に合わせ、111の集落営農組織が形成された。県では、水田農業の構造改革を推進する観点から、これら集落営農組織に対して、法人化や収益性の高い「ぐんま型集落営農」の育成を支援してきた結果、平成24年度末までに82組織、62法人が設立され、近県と比較しても進んでいると考えている。19組織が野菜や加工部門を導入しているなど、着実に経営体質の強化が進んでいる。

関根委員
 法人化した中での優良事例、又は失敗した事例はあるか。

小林構造政策室長
 個人経営が集まった経営体でも法人化により、税制優遇、法人として農地の権利設定、経営の分離、対外的な信用力の向上などのメリットがある。認定農業者の中には企業的な感覚で全国的な規模で経営を行っている経営者も現れており、例えば昭和村のグリンリーフの澤浦氏や伊勢崎市のあずま産直ネットの松村氏などがある。失敗例は特に承知していない。

(3)農村女性の起業支援について

関根委員
 女性起業が頑張っている例があるが、起業数はどれくらいか。また、どのような支援をしているか。

澁谷技術支援課長
 県内の農村女性起業は、平成24年3月末現在で286が活動しており、県では、加工技術の習得、経営管理・新商品の開発、ネットワーク化の3点を中心に支援している。加工支援については、普及指導員や農村生活アドバイザーが講師となって研修を開催するとともに、平成25年3月に、県内の加工技術を集大成した「次世代に伝えるぐんまの農産加工」を作成した。経営支援・新商品開発については、ワークショップの開催や消費者ニーズの把握、マーケティング手法を活かしながら、専門家の力も借りて、取り組みを支援している。組織化・ネットワーク化については、現在、88起業が県内でネットワークを作っており、紹介マップの作成、PRを支援している。

(4)畜産バイオマスのエネルギー利用について

関根委員
 群馬県、群馬大学、株式会社キンセイ産業で開発を進めている家畜のふん尿の低温ガス化技術によるバイオマス発電について、畜産農家の反応や評価はどうか。

糸井畜産課長
 研究開始当初は畜産農家もこの技術に期待していたが、低温ガス化技術によるバイオマス発電については、平成25年度事業として経済産業省へ申請中であり、現時点では農家からの評価はつかんでいない。

関根委員
 県としてはどのように取り組んでいくのか。

糸井畜産課長
 畜産バイオマスエネルギー利用については、まだ、コストが高い等普及できる段階にはない。技術開発の進捗状況や他県の状況等を踏まえつつ、関係機関と連携しながら、畜産現場への導入の可能性について検討して行きたい。

(5)今後の本県農業の担い手について

関根委員
 農業の担い手・人材確保は、農政の最重要課題であると思うが、見解はどうか。

茂木農政部長
 本県は、野菜や畜産を中心に多彩な農業生産が行われており、新規就農者、農業の中核を担う認定農業者、集落営農組織、法人、地域で活動する農村女性、他産業から参入した企業など、多様な担い手に支えられている。担い手という農政の普遍的な課題にしっかりと向き合い、本県農業の担い手の多様性をバランスよく維持しながら、TPPも含め5年後、10年後を見据え、農業の足腰を強化して参りたい。

(6)内水面漁業について

田所委員
 コクチバスなどの外来魚の状況とそれに対する対応の現状はどうか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 コクチバスは、平成11年に奥利根湖で生息が確認されて以降、駆除を行っているが、最近では平野部の河川でも生息が確認されたので、駆除事業の範囲を拡大した。県予算を、今年度は414万8千円に増額して駆除していく。

田所委員
 コクチバス駆除は継続して取り組む必要があるのではないか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 撲滅を目指して、今後とも関係者の協力を得ながら駆除に取り組んで参りたい。

田所委員
 コクチバス駆除を兼ねた釣り大会の開催など新しいアイデアで取り組んではどうか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 バス類は釣りの対象魚として違法放流されて拡散したと考えられることから、これ以上の拡散を防ぐために、違法放流防止をPRするなど、色々な対策を考えていきたい。

田所委員
 利根大堰下流の採捕禁止区域の拡大は、どうなっているか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 先の2月議会の環境農林常任員会で答弁したとおり、サケの密漁対策の実効をあげるため、漁業調整規則を改正し、利根大堰下流の採捕禁止区域を200メートルから500メートルに拡大したいと考えており、今後、国と協議を始める予定である。

(7)水不足の状況について

狩野委員
 水不足で、田植えができないと切実な報道がされているが、県内における状況はどうか。

川端普及指導室長
 4月の下旬後半以降、年間降水量が例年の30パーセントと非常に少なく、みなかみ町の新治・月夜野地区の一部では、田植えができないなど、移植が遅れている。また、吾妻地域においても移植が2週間程遅れている地区があり、懸念している。

(8)農政部所管の未利用地の活用について

狩野委員
 旧境町トレーニングセンター跡地、農業技術センターの旧前橋研究拠点について、活用すべきと思うがどうか。

宮崎農政課長
 旧境町トレーニングセンターについては、平成16年の高崎競馬廃止後、一部の調教師等から「当該施設を活用して競走馬育成事業を行いたい」旨の嘆願書が県及び県議会等に提出され、生活再建支援にも寄与することなどから、馬場や厩舎など競走馬育成事業に必要な部分を、境共同トレーニングセンター株式会社に貸し付けている。
 農業技術センターについては、昨年、伊勢崎市の本館が整備され、環境部門を移転し、稲麦研究センターのみが前橋に残っている。西ほ場4.5ヘクタールと本館周辺3.3ヘクタールが未利用となっているが、西ほ場は国庫事業の受益地となっており、農業利用を考えている。本館周辺については、県有財産利活用推進会議で検討していきたい。

狩野委員
 農政部の予算は非常に少なく、未利用地を処分して財源にするなど、積極的な活用を考えてはどうか。

茂木農政部長
 今残っている未利用地は課題が多い。旧境町トレーニングセンターは、当面、管理のあり方を検討しながら、解体工事を並行して進めて参りたい。

桂川委員
 競走馬育成事業者への賃貸料と民有地の賃借料がマイナス収支となっている。今後の維持管理をどう考えているか。

宮崎農政課長
 旧高崎競馬場と旧境町トレーニングセンターを一体的に維持管理しており、全体ではプラスである。今後のあり方については、地権者、公有地を共有する高崎市、地元の伊勢崎市、競争馬育成事業者等を交え、検討していかなければならないと考えている。

(9)ぐんま農業はばたけプランの数値目標について

塚原委員
 認定農業者数の状況はどうか。

小林構造政策室長
 平成5年に認定農業者制度が発足し、平成24年度末で4,650経営体が認定されている。最近は認定農業者の高齢化などにより、認定数が減少傾向にある。

塚原委員
 エコファーマー認定数も減少しているが、何が原因か。

吉野生産環境室長
 エコファーマー減少の原因は、5年間の認定期間が経過した後、再認定を受けない人がいることにある。再認定を受けない理由としては、生産物の価格が上がるなどの直接的なメリットがないことなどが考えられる。

塚原委員
 新規需要米作付面積の平成25年度目標数値が、24年度実績と比べて減っているがなぜか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 新規需要米については、「ぐんま農業はばたけプラン」策定後に農業者戸別所得補償制度が導入され、プランの目標を大幅に上まわる作付面積となったため、既に目標数値を上まわっている。

(10)GAP(農業生産工程管理)について

塚原委員
 新聞に、安中総合学園高校がGAPに取り組んでいるという記事が出たが、従来の手法とどこが違うのか。

吉野生産環境室長
 GAPは、生産者が各工程を記録・点検し改善策を検討することで、生産過程のリスクを軽減回避できるものである。

塚原委員
 期待される効果は何か。

吉野生産環境室長
 1点目は安全性の確保と品質の向上、2点目は消費者の信頼の確保、3点目は環境負荷の軽減、4点目は経営の改善・労働者の安全の確保である。

塚原委員
 PDCAサイクルを実践するということだが、農業者が自主的に行うのか。誰か指導する者がいるのか。

吉野生産環境室長
 アドバイザー制度があり、産地を支援している。また、普及指導員やJAの営農指導員が地域のリーダーとなって指導している。

塚原委員
 地域の取り組みはどのようなものか。

吉野生産環境室長
 GAPの取り組みは、生産地として自主的に取り組む場合と、実需者からの要請によって取り組む場合がある。実需者からの要請で取り組む場合は、販売面で効果があると聞いている。

(11)耕作放棄地解消に向けた取り組みについて

塚原委員
 耕作放棄地の現状及び増加要因は何か。

小林構造政策室長
 現状は、平成21年が3,983ヘクタール、22年が4,150ヘクタール、23年が4,210ヘクタールであり、解消面積は、21年が303ヘクタール、22年が319ヘクタール、23年が419ヘクタールである。要因は、経営の縮小や、離農するときに農地の引き受け手がいないこと、農産物価格の低迷や収益の上がる作物がないこと、鳥獣害被害によって経営がむずかしいことなどである。

塚原委員
 取り組みとその効果はどうか。

小林構造政策室長
 県に耕作放棄地対策推進会議及びワーキンググループを、各農業事務所にプロジェクトチームを立ち上げ、市町村や関係機関と連携の上、重点推進地区を設置し、国庫・県単事業の活用等により解消を推進している。また、各農業委員会が耕作放棄地所有者へ指導をしている。プランでは毎年250ヘクタール、5年間で1,250ヘクタールの解消を目標とし、目標はクリアしているが、新たな発生面積が解消面積を上回っているため、増加している。
 24年度から人・農地プランの作成により、24年度は地域で中心の担い手となる、「人」の部分を作成し、今後は農地の問題を検討することになるので、その地域内の耕作放棄地も農地集積の対象とするよう推進し、プランの取組みにより、増えないところまで持っていけるようにしたい。

酒井委員
 耕作放棄地解消のための国の耕作放棄地再生利用緊急対策交付金は10アールあたり5万円であるが、これに上乗せしている県単独事業はどのようなものか。

小林構造政策室長
 農用地利用集積促進事業として、認定農業者に5人以上の利用権の設定をした場合は、期間に応じて4千円から6千円を支給している。

酒井委員
 農地集積などのコンセンサスを得るには時間がかかるため、農業委員など関係者の意見を聞く必要があると思うが、どうか。

茂木農政部長
 現在、人・農地プランの取り組みのなかで、農地集積や地域農業のあり方を、関係者を含め、地域での話し合いによって検討されており、県として積極的に支援して参りたい。

(12)ぐんま農業フロントランナー養成塾について

茂木委員
 状況はどうか。

小林構造政策室長
 24年度から実施しており、農業を振興していくためには、経営改善に意欲的で、地域農業をマネジメントできる人材育成が必要であり、5年間で200名を養成していく。担い手育成コースでは企業的経営や地域農業をマネジメントできる人材を、6次産業化コースでは地域における6次産業化リーダーを養成することとし、昨年度は40名が卒塾した。

(13)県における放射性物質の検査体制について

茂木委員
 直売所への出荷や通信販売をしている農家が個別に県に持ち込んだ場合、検査対象となるのか。

吉野生産環境室長
 検査は、販売を目的とした農産物を対象に検査計画を作成し、国との調整のうえ実施しており、各市町村で最初に流通する農産物について、種類ごとに検査している。

茂木委員
 新たな品目等突発的な要望が出た場合、対応できるのか。

吉野生産環境室長
 検査計画は3か月ごとに作成するが、毎週市町村や農協に確認しており、その時までに調整ができれば、対応することは可能である。

(14)ため池の一斉点検について

茂木委員
 県内のため池約400箇所について一斉点検を実施する旨の新聞報道があったが、目的と進め方について伺いたい。

飯塚農村整備課長
 ため池の多くが明治以前に造られ、耐震性の確認が済んでいないため、今年度、国庫補助が活用できる受益面積2ヘクタール以上の382箇所のため池について一斉点検を行う予定である。なお、2ヘクタール未満については、別途市町村にお願いする予定である。

茂木委員
 市町村が実施する2ヘクタール未満については、補助対象にならないのか。

飯塚農村整備課長
 対象とならないが、簡易な点検であるため、県の支援があれば、市町村で十分に対応可能であると考える。

(15)中山間地域等直接支払制度について

茂木委員
 3期対策になり取組面積が減っている理由は何か。

飯塚農村整備課長
 中山間地域では高齢化の進行により、地域の活動を維持することが難しい集落が多くなっており、結果として取組面積が減少しているものである。

茂木委員
 2期が完了し3期目に入ったが、効果としてはどのようなものがあるか。

飯塚農村整備課長
 アンケート調査によると、地域のつながりが強くなった、共同作業が復活した等聞いている。

茂木委員
 高齢化に伴って事務処理が大変なため改善した方がよいと思うがどうか。また、市町村の状況はどうか。

飯塚農村整備課長
 補助金は公金であるので一定の書類作成が必要であり、これまでも簡素化されてきたが、農家にとって重荷であることも事実である。国の制度なので機会があるごとに、国に要望していきたい。また、市町村では、合併により職員が減り、負担が大きくなっている。

茂木委員
 3期後の対策はどのように考えているのか。

飯塚農村整備課長
 政権交代により、今後制度が変わることも予想されるが、3期目が終了するまでは大幅な変更はないものと考えている。

(16)地元企業とで開発したシカ等被害対策の六角溝について

茂木委員
 シカ等被害対策として渋川農村整備センターと地元企業とで開発した六角溝について、状況を教えてほしい。

飯塚農村整備課長
 県内業者が開発したもので、グレーチングを改良し表面が亀甲状になっていて、平成23年度、24年度で旧赤城村の基盤整備事業に併せて設置したものであり、イノシシ、シカ等に対して90パーセント以上の忌避効果はあるが価格が高いことが課題である。今年度は改良して単価を下げ、利根地域で試験施工する予定である。

(17)新規就農者に対する支援について

桂川委員
 平成20年度以降の農外からの新規参入者の動向はどうなっているか。

澁谷技術支援課長
 新規参入者の推移は、平成20年度7人、21年度11人、22年度29人、23年度19人、24年度22人となっている。

桂川委員
 青年就農給付金の経営開始型における、新規参入した人の内、給付対象となった人の割合はどのくらいか。

澁谷技術支援課長
 過去5年間の新規参入者数から判断すると、8割程度が対象となっていると思われる。

桂川委員
 青年就農給付金の受給要件に、人・農地プランへの位置づけがあるが、地域の人に認められず対象からもれる人はいないのか、また給付金受給者からの評価はどうか。

澁谷技術支援課長
 新規参入者は、大部分が就農相談を経ており、地域の理解を得られているものと認識している。特定の個人を頼ってくる場合も受入れ農家から県に情報が入り、関係機関が連携して支援しているケースが多い。
 給付金受給者からは、就農後の不安定な時期をカバーでき、非常に助かっていると聞いている。

桂川委員
 給付対象者の3割が農家子弟のようだが、給付が必要かどうかの判断をどう考えているのか。

澁谷技術支援課長
 青年就農給付金は、当初、新規参入者を応援するために開始し、農家子弟も重要との現場の声を踏まえ対象に追加された。農家子弟が給付金を受給するには、親の経営を全部又は一部継承、又は独立して部門経営を行うことが条件となっている。

酒井委員
 青年就農給付金の交付実績及び平成25年度交付見込みはどうか。

澁谷技術支援課長
 平成24年度の交付実績は、準備型19人、経営開始型82人、計101人である。平成25年度においては、準備型50人、経営開始型150人、計200人への交付を見込んでいる。

酒井委員
 国の制度では、農家子弟の中には給付金を受けられない農業者が出てしまうようだが、県独自で補完措置を講じる必要があるのではないか。

澁谷技術支援課長
 多くの新規就農者を確保するため、本制度を活用していく考えであるが、一定の要件は必要である。本来、給付金を受給しなくても、経営安定が図られるのが理想であり、技術面・経営面での指導・支援をしっかりと行いたい。

酒井委員
 青年に限らず、中高年齢への就農支援も必要と考えるがどうか。

澁谷技術支援課長
 40歳から55歳までの就農希望者の就農計画を県が認定し、認定就農者として関係機関が一体となって支援するとともに、就農支援資金や「はばたけ!ぐんま担い手」支援事業の対象としている。また、農林大学校において、定年帰農者やIターン・Uターンによる就農希望者を対象に、ぐんま農業実践学校を開設しており、県内4カ所に地域校も設置して支援している。

(18)学校給食における県産品の活用ついて

桂川委員
 学校給食における、県内産の米粉や米、麦の利用割合はどうか。

勅使河原蚕糸園芸課長
 学校給食においては、県産米粉を50パーセント配合した米粉パンを県内の学校給食が実施されている全ての学校で、平成24年度、129万5千食が提供され、米粉用米としての使用量は32.4トンとなっている。この米粉、米飯用の米、うどんで使用している麦は全て県内産である。

(19)農業制度資金について

桂川委員
 金融機関の審査にも関わらず、倒産する人もいると思うが、こういった現状について制度融資を推進する県の考えはどうか。

井上農業経済課長
 返済期間が長期に渡るものもあり、状況変化等により返済が難しくなる借入者もおり、親身に相談にのりながら返済できるよう指導していきたい。

(20)企業の農業参入について

水野委員
 茨城県の牛久市では、イオンが農業へ参入したようだが、情報はあるか。

澁谷技術支援課長
 企業参入にも様々な形態があり、JAや地元の法人と提携して参入するケースもある。

水野委員
 このような形態は推奨されるものか。

小林構造政策室長
 企業参入は県としても担い手の一つとして推進しているが、農業は技術や農地が必要であり、地元をよく知っているJAと連携しながら参入する方法も有効と考える。農地法改正により一般法人でも参入が可能となり、地域との調和のもとに参入するのであれば歓迎したい。

水野委員
 外部の人材や資金などを活用できる道をさらに模索してもらいたいがどうか。

茂木農政部長
 参入してくる企業には、一般的に資金・人材などの資本が集積されており、雇用就農や新たな販路も期待できる。裾野の広い本県農業を展開する中で、多様な担い手の一形態として、県としてしっかり支援して参りたい。

酒井委員
 地域の農業者や集落営農と競合しないか。

小林構造政策室長
 企業参入は地域との調和のもと参入することが前提であり、現在の担い手を追い出すというようなことはないと考えている。

(21)農業研究について

水野委員
 テレビでオランダで自動化されたトマト栽培を見たが、農業技術センター等でIT化の研究はしているのか。

金谷技術調整室長
 IT技術を使った集約型農業研究には至っていないが、先進技術を使った農家が導入できる低コスト化、省力化のための機械や技術の開発を行っており、例として、機械では、キュウリの小型自動選別機、花壇苗用の花きポットトレイ用定量施肥機、コンニャク生子植付機などの開発、栽培技術では、スモモの樹体ジョイント仕立て栽培、畜産では、雌選別精液による受胎率向上技術などの技術開発を行ってきている。

(22)農畜産物の輸出促進対策について

水野委員
 群馬県農畜産物等輸出推進機構とはどのような組織なのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 輸出を志向する県内の団体等で構成する組織であり、国庫補助金の受け皿としての機能などがあり、輸出への取組を有利に進めることができる。

水野委員
 機構を通さずに輸出している企業もあるのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 機構で扱わない企業等の輸出もある。

水野委員
 本年1月25日に台湾を対象とした輸出促進セミナーを開催したが、なぜ台湾なのか。その目的と反響はどうか。

真下ぐんまブランド推進室長
 台湾ぐんまサポーターズでもある企業の社長を招いて開催した。約140名が参加し、台湾マーケットの事情、求めているものなどを知り、今後の輸出の参考となり、好評であった。

水野委員
 平成27年度の輸出目標額の2億円は達成できると考えているか。

真下ぐんまブランド推進室長
 昨年度の実績が約1億5千万円であり、今後輸入解禁が始まれば達成できると考えている。

水野委員
 当初目的以上に輸出してもらいたいが、台湾以外にも具体的な対策があるのか。

真下ぐんまブランド推進室長
 8月に開催される「香港フードエキスポ2013」に出展し、牛肉、麺類、こんにゃく加工品の販路拡大に取り組む計画である。

(23)ぐんまアグリトライアルファームについて

酒井委員
 どのような事業なのか。

小林構造政策室長
 農業に興味がある、または、就農希望者を対象とし、1区画50平方メートル程度で16名募集する体験農園コースと、1区画500平方メートル程度で6名募集し、近い将来に県内で就農希望がある者を対象とする入門コースがあり、普及指導員OBが農業指導をする予定である。

(24)遺伝子組換えカイコについて

酒井委員
 目的と効果はどこにあるのか。

毛利絹主監
 体外検査薬などに用いられる有用物質生産と、蛍光であるとか極細の高機能絹糸生産など、2つの目的で実用化を進めており、従来の繭に比べて付加価値が期待できる技術である。

酒井委員
 遺伝子組換えの危険性についても注視する必要があり、カルタヘナ法の生物多様性への影響に対して、県としての取り組みはどうか。

毛利絹主監
 遺伝子組換えカイコの飼育は、カルタヘナ法に基づき、大臣確認された施設内において実施されており、県では、養蚕農家研修を開催し、飼育マニュアルを整備するなど安全確保を図っている。また、啓発用小冊子を配布するとともに、公開シンポジウムを3回開催するなど、遺伝子組換えカイコの安全性などについて県民理解と情報提供を積極的に行っている。

酒井委員
 医薬品や化粧品など、遺伝子組換え製品は消費者への表示が義務付けられているが、遺伝子組換えカイコの製品について、表示義務の必要性はどうか。

毛利絹主監
 生産された薬事成分は、薬事法に基づく製品として、安全・安心が担保されている。

(25)TPP参加による影響の試算について

酒井委員
 3月に県が公表した試算は、前回のより影響額が減少しているがなぜか。

藤井農政部副部長
 前回の試算は全世界を対象としたが、今回はTPP交渉参加11か国に限定したため、減少した。

酒井委員
 米麦や畜産などについては影響額が大きいが、野菜・果樹・花きについては試算がないのはなぜか。

藤井農政部副部長
 今回の試算は、政府試算と同様に、関税率10パーセント以上、産出額10億円以上の品目を対象としており、その他については、影響が全くないわけではないが、試算の対象としていない。

酒井委員
 「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」の試算では、農林水産物の減少額が政府試算より5千億円多い3.5兆円、関連産業と合わせると10.5兆円の減少としており、190万人の雇用が喪失されるとしている。県としてもあらゆる可能性を含め、独自の試算をすべきと思うがどうか。

藤井農政部副部長
 試算については前提条件により結果は大きく変わる。大学教員の会の試算では、生産減少が消費の減少へとつながる二次的影響を考慮しているため、政府試算より5千億円多くなっている。雇用についても農業従事者250万人の約6割に当たる150万人減少するとしているが、政府の試算では他の産業に吸収されるとしている。
 明確な前提条件がない中での試算は、かえって混乱を招く恐れもあるため、県として新たな試算は予定していない。今回影響額を算出していないコンニャクについても実際の影響は大きいと考えており、対策について国へも要請しているところである。試算のための試算ではなく、農家への影響を最小限にすることが県の役割であると考えている。

酒井委員
 農林業の持つ多面的機能や食の安全、食料主権の観点からも、交渉撤退を国へ働きかけることが県の姿勢として問われていると思うがどうか。

茂木農政部長
 TPP交渉に関しては、本県のみの問題ではなく国全体の問題として、国が責任を持って国民に説明する必要があると考えている。特に影響の大きい農業分野については、多面的機能を含めしっかり守ることが我々の務めであり、今後も情報収集、国への要望、県独自の対策についてしっかりと取り組んで参りたい。


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