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平成25年2月定例県議会 知事提案説明

更新日:2013年2月18日 印刷ページ表示

2月定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち一言申し上げます。

 昨年末の総選挙の結果を受けて、自由民主党と公明党の連立政権による安倍新内閣が発足いたしました。景気の回復や東日本大震災からの復興など、多くの難しい問題を抱えながら、前に進めない政治から、国民が大きな変化を求めた結果であると考えております。
 安倍新政権は、就任早々から、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「成長戦略」の三本の矢により、日本経済のデフレからの脱却へ向けた取り組みを進めております。その結果、年末から円安が進み、株価も上昇するなど、経済環境の改善が目に見えて現れてきております。
 新政権においては、今後も、国民や地方の意見を真摯に受け止め、将来にわたって安心で、活力ある国づくりを行っていただきたいと考えています。
 特に八ッ場ダム建設については、流域住民の安全安心のため治水利水両面で喫緊の課題であることはもちろん、地元住民にとっては本当に切実な問題でありますので、国の責任において、これ以上の遅れが生じないよう、本体関連工事に一刻も早く着手し、最大限工期短縮に努力して早期にダムを完成させていただきたいと考えております。さらに、ダム湖を前提として進められている生活再建事業の早期完成に全力で取り組んでいただきたいと、強く国に要望いたします。

 さて、私は、昨年の2月定例県議会の提案説明において、古墳に代表される古代東国文化や近代の富岡製糸場など、群馬県の持つ歴史的文化遺産の価値を県民が再認識するとともに、全国に積極的に発信していくと申し上げ、様々な施策を実施して参りました。そうした中、昨年11月19日に、渋川市金井地内の上信自動車道建設に伴う埋蔵文化財発掘調査において、6世紀初頭の甲(よろい)を着たままの成人男性の人骨が発見されました。古墳時代の甲(よろい)が、実際に身につけた状態で出土したのは全国初であります。さらに、古墳時代における火山噴出物の下から被災人骨が発見されたのも初めてであります。
 これらは、過去に例を見ない、歴史的価値の非常に高い資料でありますので、資料の保全及び考古学的な情報の採取には、十二分な体制で取り組み、古代群馬県の姿を明らかにするとともに、今後、群馬県の宝として、その価値の研究と普及・啓発に努めて参りたいと考えています。

 また、「富岡製糸場と絹産業遺産群」は、世界遺産登録に向けて、1月31日に国としてユネスコに正式に推薦書が提出されました。これから本格的に審査が始まりますが、来年度はユネスコの諮問機関であるイコモスの現地調査が予定されておりますので、その対応については万全を期して参ります。また、構成資産周辺の環境整備を行うとともに、全国的な機運醸成を図るため、各種 PR活動を県外においても展開して参ります。

 それでは、平成25年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、併せて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べます。

当初予算編成の基本方針

 平成25年度当初予算の編成に当たっては、「先人から受け継いできた群馬の限りない可能性を大きくはばたかせる」ことを基本理念とする、第14次総合計画『はばたけ群馬プラン』に掲げる3つの基本目標、

  • 「地域を支え、経済・社会活動を支える人づくり」・「誰もが安全で安心できる暮らしづくり」
  • 「恵まれた立地条件を活かした産業活力の向上・社会基盤づくり」

を積極的に推進することを基本方針といたしました。

 本県では、自動車関連産業などで、高い生産水準が続き回復基調に入っている業種もある一方で、農林業などのように原子力発電所事故の影響を今なお受けている業種もあります。また、平成24年12月の有効求人倍率は0.86倍で、前月より0.06ポイント減少するなど、雇用情勢は依然として厳しい状況が続いています。
 このような状況を踏まえ、県内経済の回復の動きをより着実なものとし、その成果が県内の隅々まで及ぶよう、最大限の配慮をしたところであります。当初予算と国の緊急経済対策を活用した平成24年度2月補正予算とを一体として執行することにより、引き続き社会基盤の整備を進めるとともに、特別支援学校整備や障害者雇用の促進、医療先進県ぐんまの推進などにも積極的に取り組み、県民生活の向上を図っていくこととし、『暮らし・活力増進予算』といたしました。

当初予算の規模

 平成25年度の一般会計当初予算の総額は、6,663億8,700万円であります。
 平成24年度当初予算に比べて0.2%の増で、地方財政計画の伸び率であるプラス0.1%を上回る規模といたしました。
 制度融資を特別会計に移管した平成20年度以降では、平成23年度に次いで2番目の予算規模としております。
 なお、緊急経済対策を盛り込んだ国の大型補正予算を活用した平成24年度2月補正予算と合算すると、7,190億6,066万円で、平成24年度当初予算と比べて8.1%の大幅増となっております。

当初予算の財源

 次に当初予算の主な財源についてであります。
 まず、県税収入については、依然として厳しい経済状況にありますが、自動車関連産業で回復の動きが続いていることや、県が景気対策を積極的に展開することで、県内経済全体の活力が向上していくものと期待しているところであります。こうしたことから、平成25年度の県税収入は、平成24年度当初予算に比べ5億円多い1,965億円を見込みました。
 その他の財源については、国の大型補正予算により積み増しを行った「経済危機対策関連基金」の取り崩しを増やす一方、財政調整基金など繰り入れ可能な基金を取り崩すこととしております。
 また、県内経済を着実な回復基調に乗せるとともに、県民生活を向上させるなど、将来を見据えた投資的事業を行うため、県債発行を増額することにより、財源の確保を図ったところであります。

3つの基本目標

 それでは、総合計画の3つの基本目標に沿って、重点施策を申し上げます。

人づくり

 基本目標の一点目は、「地域を支え、経済・社会活動を支える人づくり」であります。
 まず、次代を担う人材づくりを進めるため、不登校などの解消に向け、平成25年度から全ての公立小学校にスクールカウンセラーを配置し、既に実施している公立中学・県立高校への全校配置と合わせて、相談体制を充実するとともに、児童生徒による主体的ないじめ防止活動を、私立も含めた県内全ての小・中・高校並びに特別支援学校で行います。
 また、教育環境の向上を図るため、全ての県立女子高校で洋式トイレの割合が50%以上となるよう、改修に取り組みます。
 次に、特別支援学校の整備ですが、富岡甘楽地域では平成25年4月に「みやま養護学校富岡分校」を、平成26年4月には「みやま養護学校藤岡分校(仮称)」を、平成27年4月には「榛名養護学校吾妻分校(仮称)」を開校できるよう整備を進めて参ります。この整備により、平成27年4月には、県内の特別支援学校の未設置地域が解消されることとなります。
 さらに、特別支援学校の生徒の卒業後の自立を支援するため、福祉・介護サービス事業に関する体験型研修会を実施するほか、県庁において生徒の職場実習を受け入れるなど、生徒の就業に向けた取り組みを強化します。
 次に、高齢者が活躍できる社会をつくるため、シニア就業支援センターにおいて、再就職などの相談に対応するとともに、高齢者とその能力を必要とする企業とのマッチング事業を実施します。
 また、経営感覚に優れた農業の担い手を確保・育成するために、就農希望者や、就農後間もない農業者などへの研修を充実し、相談体制を強化するほか、新規就農者に給付金を交付するなど、群馬の飛躍を支える産業人材の育成を推進いたします。
 さらに、地域の安心を支える医療・福祉人材を育成・確保するため、引き続き、医師・看護師の確保対策や介護人材確保対策などに積極的に取り組んで参ります。

安全安心な暮らしづくり

 基本目標の二点目は、「誰もが安全で安心できる暮らしづくり」であります。
 まず、医療先進県ぐんまを推進するため、がん対策として、がん検診受診率の向上を目指し、市町村と連携した取り組みを更に進めるとともに、大規模・特殊災害医療体制を整備するため、災害拠点病院のヘリポート整備や、「核・生物・化学」といった特殊な分野の災害や事故に備えるため、前橋赤十字病院が行う医療資機材の整備を支援します。
 また、県立病院では、心臓血管センターにおいて、最先端の心臓手術が行えるよう、ハイブリッド手術室を整備するほか、小児医療センターでは、感染症患者等の受入れに対応するため、外科病棟の増改築を行い、機能の充実を図って参ります。
 さらに、「重粒子線治療施設」を核とした先端分野の医工連携を推進し、将来の医療関連産業の発展を目指した取り組みを進めて参ります。
 次に、誰もが安心して生活できるよう福祉を充実するため、障害者リハビリテーションセンターについて、入所者の処遇向上を図り、先導的リハビリ施設として再編するための整備に着手いたします。また、障害者自立支援法では、補聴器の支給対象外である「軽・中度の難聴児童」の補聴器購入に対し、その費用の一部を助成することとしました。
 安全な暮らしを実現するため、平成24年度中に策定予定の「地震防災戦略」を実効性あるものとするため、県民向けの啓発事業や災害訓練、埼玉県・新潟県と連携した大規模災害発生時に備えた人材育成に取り組んで参ります。
 次に、災害に強い県土を築くため、大規模地震発生時の住宅倒壊による被害を最小限に抑えることを目的に、新たに県と市町村が連携して個人の木造住宅の耐震改修工事に補助することといたします。
 誰もが安心して働ける労働・雇用環境づくりでは、若者から高齢者まで、県民1人1人への就業機会の提供と働く場の確保のため、「ジョブカフェぐんま」や「シニア就業支援センター」における就職支援や、緊急雇用創出基金を活用した新たな雇用創出事業に引き続き取り組みます。
 また、障害者雇用を進めるため、県庁内に「障害者就労サポートセンター」を新設し、労働・福祉・教育など、それぞれの分野における施策を総合的にコーディネートすることで、障害者が個々の適性にあった就職を実現し、自立した生活を送れるよう、支援体制を強化して参ります。さらに、県庁において、文書集配などの業務を担当する非常勤職員として障害者を雇用いたします。
 優れた群馬の環境を守り未来へ継承するための取り組みとしては、日照時間の長さや豊富な水力など、本県の強みを活かした太陽光、水力等による発電をいっそう推進するため、再生可能エネルギー発電設備の県内設置を進める「電源群馬プロジェクト」を本年1月に庁内に立ち上げました。このプロジェクトのもと、上毛カルタに謳われている「電源群馬」の新たな取組として、太陽光発電、水力発電、バイオマス発電、未利用エネルギーの活用に向けた施策を実施して参ります。特に、県自らが、先駆的に、県有施設を活用した新エネルギーによる発電に取り組むこととし、企画部に「新エネルギー推進課」を設置するとともに、「新エネルギー特別会計」を新設いたします。
 また、住宅に太陽光発電設備を設置する個人に対する補助なども継続して実施いたします。
 さらに、汚水処理人口普及率の向上を目指して、単独浄化槽から市町村設置型の合併処理浄化槽への転換を促進するため、市町村に対する補助を拡充するとともに、個人設置型の合併処理浄化槽への転換に対する「エコ補助金」を1年間延長します。
 また、地域住民の生活を支える「地域力」を強化するため、地域住民の活動拠点となる集会施設の新設、建替えに対する補助を引き続き実施します。

産業活力の向上・社会基盤づくり

 基本目標の三点目は、「恵まれた立地条件を活かした産業活力の向上・社会基盤づくり」であります。
 はばたけ群馬の経済戦略についてでありますが、これまで、7つの交通軸などの社会資本整備を進め、本県の優位性を高める努力をしてきた結果、昨年上半期の工場立地面積が全国第1位となりました。
 今後の更なる企業誘致や県内企業の生産拡大につなげるためにも、新たな産業団地の開発・造成を進めて参ります。
 また、高崎競馬場跡地に設置を予定しているコンベンション施設の詳細な仕様や整備手法の検討などに着手するとともに、展示会や国際会議等の誘致に向けた体制整備や機運醸成を行います。
 さらに、今年4月に開設する「上海事務所」を核として、海外からの誘客促進や農畜産物の販路拡大、企業のビジネス展開支援などを進めます。
 また、農業の6次産業化を推進するため、農業技術センターが中心となって、県産品種の生産から加工、販売まで一貫したコーディネートを行います。
 さらに、中小企業への支援として、ものづくりや新技術・新製品開発をしっかりと後押ししていくとともに、「中小企業金融円滑化法」終了後の対策として、制度融資における資金の新設や制度拡充など金融面から支援を行うほか、相談・支援体制の充実を図ります。
 また、ググっとぐんま観光キャンペーンや海外からの誘客などにもしっかりと取り組んで参ります。
 さらに、鳥獣被害対策の充実・強化を図るため、鳥獣被害対策支援センターの組織体制の強化として、「企画研究係」を新設し、日本獣医生命科学大学と連携しながら、被害対策技術の研究や人材育成を行います。また、捕獲奨励金の支給や侵入防止柵設置等に対する市町村への支援など、「捕る」・「守る」・「知る」の各種対策を、引き続き総合的に実施します。さらに、シカによる湿原の踏み荒らしやミズバショウの食害などが深刻化している尾瀬において、シカの集中捕獲を開始するとともに、赤城山エリアにおける鳥獣被害対策に市町村と連携して取り組んで参ります。
 次に、ぐんまのイメージアップでは、「富岡製糸場と絹産業遺産群」について、先ほど申し上げたとおり、世界遺産登録に向けた取組をしっかりと進めて参ります。
 また、「群馬の文化」形成につながる、地域での創造性豊かな文化活動を支援する事業にも取り組みます。
 さらに、東日本最大の古墳大国である本県の歴史文化遺産を県民に再認識していただくとともに、その魅力を全国に発信していく事業に、引き続き取り組みます。
 次に、はばたけ群馬の社会基盤づくりを推進するため、北関東自動車道の全線開通によって完成した県内高速交通網の効果を県内隅々まで最大限に活かせるよう、高速道路へのアクセス道路となる「7つの交通軸」を、引き続き重点的、計画的に整備いたします。
 また、八ッ場ダム建設について、政府予算と合わせた予算を計上し、住民の生活再建に向けた事業を一段と加速し推進して参ります。
 さらに、地域住民の移動手段である市町村乗合バスの路線維持のために、デマンドバス化などの効率的な運行方法への転換を目指す市町村に対し、新たに試験運行費の一部を補助することといたします。

平成25年度関係その他の議案

 このほか、特別会計については、母子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については電気事業会計など6件を提出しております。
 事件議案は、34件を提出しており、このうち、第13号議案は、水源の涵養、災害の防止など、森林の持つ公益的機能に鑑み、県民共有の財産である豊かな森林環境を適切に整備し、保全していくための各種施策に必要な財源を確保するため、県民税の均等割の税率の特例を定めようとするものです。
 第18号議案は、スポーツ行政を総合的に推進するため、教育委員会が所管している生涯スポーツ、及び、競技スポーツの振興等の事務を知事部局に移管しようとするものです。
 また、第21号及び第22号議案は、知事等特別職及び管理職職員の給料を、引き続き減額しようとするものであります。
 第24号議案は、「社会保障・税の一体改革」に係る地方税法の改正に伴い、地方税である「地方消費税」の税率の引上げ、及び市町村交付金の交付基準を定めようとするものです。

平成24年度関係議案

 続いて、平成24年度関係についてでありますが、予算関係では13件を提出しております。
 このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴って各種経済危機対策関連基金の積み増しや公共事業費の増額を行うなど、所要の補正を行うものであります。
 事件議案としては、各種経済危機対策関連基金の事業期間の延長や、回収の見込めない債権の放棄、監査委員の選任など、18件を提出しております。

おわりに

 本県では、ぐんまの魅力を全国に発信する、一昨年の「群馬DC」、昨年の「ググッとぐんま観光キャンペーン」と2年連続で観光誘客に取り組み、非常に大きな成果を上げることができました。従来の取組と異なり、旅行関係者だけではなく、県や市町村、農業団体や商工団体、地域のボランティア団体まで、多くの県民と「オール群馬」の体制で取り組んだことが大きな成果に結びついたものと思います。
 群馬県は、豊かな自然環境に恵まれるとともに、古代東国文化の時代から連綿として続く歴史と文化を備え、さらに交通アクセス面での立地条件にも恵まれるなど、多彩な魅力に満ちた地域であります。
 「群馬DC」のようにオール群馬の体制で臨めば、この魅力が十二分に発揮され、県内のあらゆる産業が更に発展し、県民の暮らしも向上するなど、群馬県は将来に向けて大きくはばたけるはずです。
 そのために、私自身も先頭に立って全力を尽くして参りますので、県議会、県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

 以上、県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、提出議案の大要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。
 なお、第82号議案の監査委員の選任については、事案の性質上、早急に御議決くださいますようお願い申し上げます。