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群馬県犯罪被害者等基本計画
平成19年10月15日に群馬県犯罪被害者等基本計画を策定しました。
内容は、各課題を所管する所属の施策を取りまとめておりますので、どこへ問い合わせて良いか分からない方は、群馬県人権男女・多文化共生課までご連絡ください。
このページは、WEB用に修正を加えたものです。冊子をご希望の方は、群馬県人権男女・多文化共生課までご請求ください。
- 問い合わせ先・請求先
群馬県人権男女・多文化共生課(人権同和係)
電話:027-226-2906 Fax:027-220-4424
〒371-8570 前橋市大手町1-1-1
目次
第1章 犯罪被害者等の現状
第2章 計画の基本的な考え方
第3章 重点課題
第4章 主な被害分野への対応と施策
- 身体犯(殺人・傷害等)による被害
- 性犯罪による被害
- 被害少年の保護
- 配偶者等からの暴力(ドメスティック・バイオレンス/DV)による被害
- ストーカー事案による被害
- 悪徳商法等による被害
- 暴力団犯罪による被害
- 交通事故(危険運転致死傷、ひき逃げ)による被害
コラム
第1章 犯罪被害者等の現状
1 犯罪被害の現状
(1) 群馬県の犯罪発生状況(交通人身事故を除く)
本県の刑法犯認知件数(※注1)は、平成14年から急増し、以後平成16年の42,643件をピークに減少に転じ、平成18年は32,060件と平成16年に比べ24.8%減少しました。
しかし、人口10万人当たりの刑法犯認知件数は1,584.0件であり、全国で12位の高い水準にあります。【図1参照】
なかでも、被害が深刻な事態となる重要犯罪の認知件数は、平成17年に5年ぶりに300件を下回りましたが、平成18年の重要犯罪を見ても殺人が13件、強盗91件、放火28件、強姦16件、強制わいせつ93件で、合計241件にのぼっており、依然として多くなっています。【図2参照】
【図1】群馬県の刑法犯認知件数の推移
群馬県警察本部調べ
【図2】群馬県の重要犯罪認知件数の推移
群馬県警察本部調べ
(※注1)刑法犯認知件数:殺人、強盗、窃盗など「刑法」等の法律に規定する犯罪を警察で認知した件数をいいます。交通事故(業務上過失致死傷・危険運転致死傷等)は、含みません。
(2) 犯罪等に関する県民の意識
県が平成18年1月に実施した「犯罪等に関する県民の意識調査」によると、犯罪の発生状況について、「多くなった・非常に多くなった」と感じている方が8割と高く、体感治安(※注2)に不安を持つ方が多いことが判りました【図3~5参照】
(※注2)体感治安:人が主観的に感じる治安の度合い。犯罪発生件数や検挙率などの客観的な指数に比していう。
(平成18年、群馬県総務局治安回復対策室調べ)。
【図3】
〈1〉 最近の群馬県における犯罪(交通事故を除く)の発生状況をどのように感じますか。
※ 「多くなった」(61.4%)の割合が高く「非常に多くなった」(16.1%)との合算値は約8割(77.5%)を占める。一方「非常に少なくなった」は1件もない。
【図4】
〈2〉 今後、犯罪(交通事故を除く)発生はどうなると思いますか。
※ 「増加する」(67.6%)の割合が高く、「大幅に増加する」(10.2%)との合算値は約8割(77.8%)を占める。この傾向は最近の犯罪発生状況(図3)と同様である。
【図5】
〈3〉 最近の犯罪(交通事故を除く)の発生状況から、あなた自身又はご家族が犯罪被害に遭いそうな不安を感じたことがありますか。
※ 「たまにある」(57.2%)の割合が高く、「よくある」(9.2%)との合算値は約7割(66.4%)を占める。一方「ほとんどない」(26.9%)の割合も比較的高い。
2 犯罪被害者等の置かれた状況
犯罪(※注3)の被害者やその家族(犯罪被害者等(※注4))は、生命、身体、財産上の直接的な被害だけでなく、事件に遭ったことによる精神的ショックや身体の不調、医療費の負担や失職・転職などによる経済的な困窮、捜査や裁判の過程における精神的苦痛や時間的負担、周囲の人々の無責任なうわさ話や配慮に欠けた対応によるストレス、不快感など、被害後生じる様々な問題に苦しめられます。このような問題は「二次的被害」といわれ、多くの犯罪被害者等がこのような被害を被っていると言われています。
(※注3)犯罪: 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。(犯罪被害者等基本法第2条第1項)
(※注4)犯罪被害者等: 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。(犯罪被害者等基本法第2条第2項)
《被害直後の精神状態》
平成14年に犯罪被害実態調査研究会が行った「犯罪被害者実態調査」報告書によると、被害直後の精神状態については、被害者遺族及び性犯罪被害者の9割以上が「不安だった」と回答するなど、多数の犯罪被害者等が深刻な精神的被害を受けていることが明らかになっています。
また、事件から数年が経過した後でも、事件のときの場面がいきなり頭に浮かんできたり、事件のことを思い出させるものには近づけないなど、長期にわたって精神的に苦しんでいる実態が報告されています。【図6参照】
【図6】被害直後の精神状況
(注) 平成14年の犯罪被害実態調査研究会
「犯罪被害者実態調査報告書」による。
《二次的被害の状況》
図7は、被害後に受けた二次的被害の状況を示しています。どのような被害を受けたかにより二次的被害の内容も異なっていますが、殺人事件等の遺族や性犯罪の被害者についてみれば、約9割の方が「精神的ショックを受けた」と回答しており、財産犯被害者と比べるとその比率が非常に高いことがわかります。
こうした二次的被害は被害の一部であり、被害に遭ったことによる直接的な被害ばかりでなく、二次的被害も深刻な問題であることがわかります。【図7参照】
【図7】二次的被害の状況
(注) 平成14年、犯罪被害実態調査研究会 「犯罪被害者実態調査報告書」による。
3 犯罪被害者等支援の経緯
(1) 国際的な動き
1985年(昭和60年)国連総会において「犯罪及び暴力濫用の被害者のための司法の基本原則宣言」が採択されました。
宣言では、
- 被害者は、その尊厳に対し共感と敬意をもって扱われるべきであること
- 被害者に対して、訴訟手続における被害者の役割や訴訟の進行状況、訴訟結果等に関する情報を提供する必要があること
- 被害者が必要な物質的、医学的、精神的、社会的援助を受けられるようにし、その情報を被害者に提供すべきこと
- 各国政府は、警察、裁判、医療、社会福祉等の関係機関の職員に十分な教育訓練を行い、司法上・行政上の敏速な対応を進めるため適切な制度整備等を行うこと
などが盛り込まれ、犯罪被害者等支援は国際的な潮流となっています。
(2) 我が国の動き
犯罪被害者等のための施策については、昭和20年代はどちらかといえば治安対策や交通政策に位置付けられて始まり、昭和49年8月30日のいわゆる三菱重工ビル爆破事件を契機に制度の確立を求める遺族、マスコミ等からの声の高まりにより制定された「犯罪被害者等給付金支給法」(昭和55年5月法律36号)から公的な保障制度が確立しました。
その後、平成3年に開催された「犯罪被害者給付制度発足10周年シンポジウム」において、特に精神的援助の必要性が被害者自身によって強く指摘され、これを契機として更なる犯罪被害者等支援のための検討が始まりました。
警察庁では、平成8年2月、被害者対策に対する基本方針を取りまとめた「被害者対策要綱」を制定し、全国に通知したほか、平成11年6月には、警察官が捜査活動の際に守るべき心構えや捜査方法、手続き等を定めた犯罪捜査規範を改正し、犯罪被害者等に対する配慮及び情報提供、犯罪被害者等の保護等に関する規定を整備しました。
平成12年5月には、いわゆる犯罪被害者保護のための二法、「刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律」及び「犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続きに付随する措置に関する法律」が制定され、刑事手続きの中で犯罪被害者等の心情に配慮するとともに、証人への付き添い、遮へい措置の導入、ビデオリンク方式(※注5)等の導入等による証人の負担の軽減、公判廷における犯罪被害者等の意見陳述、公判優先傍聴、公判記録の閲覧及び謄写などが規定されました。
また、同年には、少年法改正等により、少年保護事件に犯罪被害者等の申し出による意見の聴取制度等が導入されました。
平成13年4月には、「犯罪被害者等給付金支給法」が抜本的に改正され、法律の名称を「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」と改め、給付対象障害等級の拡大、重傷病給付金の新設、遺族給付金への医療費負担額の付加、給付金支給額の引き上げが行われるとともに、警察本部長は、犯罪被害等の早期の軽減に資するための措置として、犯罪被害者等に対し、情報の提供、助言及び指導、警察職員の派遣その他の必要な援助に努めることや、犯罪被害者等早期援助団体(コラム1参照)の指定が新設されました。
その後も、平成14年4月1日には、国家公安委員会が「警察本部長等による犯罪の被害者等に対する援助の実施に関する指針」を定めるなどの取り組みにより、一定の評価を得た一方で、依然として多くの犯罪被害者等が困難に直面し、苦しんでいる現状から、これを打開し、その権利利益を図っていくため、犯罪被害者等のための施策に府省庁が横断的に取り組み、総合的かつ計画的に推進していく基本構想を示した「犯罪被害者等基本法」が平成16年12月8日に制定され、平成17年4月1日に施行されました。
また、平成17年12月27日には、犯罪被害者等基本法第8条に基づき、総合的かつ長期的に講ずべき犯罪被害者等のための施策の大綱等を盛り込んだ「犯罪被害者等基本計画」が閣議決定されました。
なお、このほか、平成11年5月に「児童売春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」、平成12年5月に「ストーカー行為等の規制等に関する法律」、及び「児童虐待の防止等に関する法律」、13年4月に「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定されるなど、特定の犯罪に係る被害者保護のための法的整備も進んでいます。
(※注5)ビデオリンク方式:性犯罪被害者等が、刑事事件の証人として法廷で証言することが大きな精神的負担となるような場合、その負担を軽減するために証言は個室に在席し、法廷と別室をケーブルでつなぎ、モニターを通して尋問を行う証人尋問の方法です。
第2章 計画の基本的な考え方
1 計画策定の趣旨
犯罪被害者等の支援については、国においては、平成17年4月施行の「犯罪被害者等基本法」及び同年12月に閣議決定した「犯罪被害者等基本計画」に基づき、各種支援施策を推進しています。
「犯罪被害者等基本法」では、国、地方公共団体、国民に対しそれぞれ責務を定め、県に対しては、地域の状況に応じた施策を策定し、実施する責務を定めています。
国の犯罪被害者等基本計画に基づく取組は、まだ始まったばかりであり、犯罪被害者等の支援という視点で、本県における現行施策及び今後に向けた基本的な方向性と課題を整理・体系化した計画を策定することは重要なことと考えています。
そこで、県として犯罪被害者等支援施策を総合的かつ計画的に推進するため、「群馬県犯罪被害者等基本計画」を策定するとともに、犯罪被害者等にとって相談と具体的な支援を担う地方公共団体の役割は、極めて重要であることを踏まえ、相談・支援体制の一層の充実・強化に努めます。
なお、県としては、今後とも国の動向等も勘案し、支援施策が円滑に推進できるよう体制整備を図り、切れ目のない支援が可能となるよう努力していくものです。
2 計画の目標
県民一人一人が犯罪被害者等の置かれている状況を理解し、その尊厳を重んじるとともに犯罪被害者等支援施策が途切れることなく、円滑かつ的確に推進されることにより、誰もが安心して暮らすことができる社会の実現を目指します。
3 計画の性格
この計画は、県、市町村及び警察等関係機関が行う諸施策の中で、犯罪被害者等の支援に関する取組の方向性を示すとともに、これら犯罪被害者等支援施策について県民、報道機関及び企業等への理解を求めていくものです。
また、この計画は、「犯罪被害者等基本法」(平成16年法律第161号)第5条の規定に基づく計画とします。
※犯罪被害者等基本法(第5条)
地方公共団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
4 重点課題
本計画では、犯罪被害者等の支援に関して、群馬県の状況に応じた施策を実施及び検討していくこととし、また国の犯罪被害者等基本計画との整合性を図るため、以下の5つの重点課題を設定します。
- 損害回復・経済的支援等への取組
- 精神的・身体的被害の回復・防止への取組
- 刑事的手続への関与拡充への取組
- 支援等のための体制整備への取組
- 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組
5 計画期間
計画期間は、平成19年度から平成23年度までの5年間とします。
ただし、計画期間内であっても、国の動向や社会情勢等の変化を踏まえて随時、見直しを行うものとします。
6 計画の推進
計画内容は、犯罪被害者等支援施策が日常生活全般に関わり、その支援内容も広範囲にわたっていることから、県はもとより、国の関係機関、市町村、企業・事業所、地域などが一体となって取り組んでいくことが必要です。
具体的には、次のような取り組みを行います。
(1) 群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会における連携
行政機関と関係機関とが共通認識にたち、相互に協力するとともに緊密な連携を図って取り組みを進めるために組織されている「群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会」において、犯罪被害者等に対する支援や再被害防止対策が効果的に推進されるよう連携協力を図ります。
(2) 国の関係機関等との連携
犯罪被害者等支援施策を司法の立場から推進する前橋地方検察庁、裁判所や日本司法支援センター群馬地方事務所(法テラス)等と連携を図りながら支援に努めます。
また、必要に応じ、他の国の機関との連携も図ります。
(3) 市町村との連携
犯罪被害者等支援施策を第一線で担う市町村担当者に対する会議・研修会の開催や、犯罪被害者等支援に関する各種情報等を提供することにより、市町村と緊密な連携を図るとともに市町村が行う取り組みを支援します。
(4) 民間被害者支援団体等との連携及び活動支援
犯罪被害者等の支援については、行政のみならず犯罪被害者等への支援を行っている民間被害者支援団体等が果たす役割が重要であることから、これらの団体と連携を図りつつ支援施策に取り組むほか、犯罪被害者等早期援助団体の指定促進に努めます。
また、支援施策の推進に当たっては、民間被害者支援団体等の意見も伺い、その反映に努めます。
(5) 庁内関係課・室との連携
庁内の関係課・室及び警察で組織したワーキンググループにおいて、必要事項を協議するとともに、相互に連携協力して支援施策に取り組みます。
なお、計画策定後、庁内関係課・室からなる推進組織を設置し、計画の着実な推進に努めます。
(6) 県民及び報道機関、企業等に対する理解の促進
広報啓発活動を通じ、犯罪被害者等に対する県民意識の醸成を図るほか、報道機関や企業等に対し、二次的被害防止等への理解に努めます。
(7) 施策の透明性及び検証
支援施策については、県及び警察本部のホームページ等により情報提供に努めるとともに、関係支援施策の推進に当たっては、必要に応じフォローアップを行うなど、施策の検証を行いつつ取り組みを進めます。
7 施策の体系図
第1 損害回復・経済的支援等への取組 | 1 損害賠償の請求についての支援等 (基本法第12条関係) |
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2 給付金の支給に関する制度の適正な運用等 (基本法第13条関係) |
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3 居住の安定 (基本法第16条関係) |
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4 雇用の安定 (基本法第17条関係) |
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第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組 | 1 保健医療及び福祉サービスの提供等 (基本法第14条関係) |
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2 安全の確保 (基本法第15条関係) |
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3 保護、捜査、公判等の過程における配慮等 (基本法第19条関係) |
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第3 刑事手続への関与拡充への取組 | 1 刑事手続への関与のための犯罪被害者等に対する情報提供の充実 (基本法第18条関係) |
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第4 支援等のための体制整備への取組 | 1 相談及び情報の提供等の総合的支援 (基本法第11条関係) |
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2 調査研究の推進並びに犯罪被害者等の支援に係る人材の養成及び資質の向上等 (基本法第21条関係) |
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3 民間被害者支援団体に対する援助 (基本法第22条) |
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第5 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組 | 1 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組 (基本法第20条関係) |
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第3章 重点課題
第1 損害回復・経済的支援等への取組
基本的な方向性
損害賠償請求についての援助等
犯罪等の被害に係る損害賠償請求が、適切かつ円滑に行われるよう、犯罪被害者等が行う損害賠償の請求についての援助に努めます。
給付金の支給に関する制度の適正な運用等
犯罪被害者等が受けた被害による経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対する給付金支給制度の適正な運用に努めます。
居住・雇用への支援
犯罪被害者等は、様々な理由から、転居や転職を余儀なくされることがあるため、このような方々のために、スムーズな転居や転職のための就労支援に努めます。
1 損害賠償の請求についての支援等(基本法第12条関係)
現状・課題
犯罪被害者等の中には、思いがけない犯罪等により、かけがえのない財産を奪われたり、入院・通院により多額の治療費がかかったり、被害に遭ったために仕事が続けられなくなり失職し、無収入になってしまうなど経済的な困難に直面する方々もいます。
犯罪被害者等が、これらの経済的損害を回復するためには、「加害者による不法行為が原因である」として、加害者に対し損害賠償を請求しなければなりません。
この損害賠償請求は、犯罪被害者等の経済的な回復を図るだけでなく当該犯罪等に係る事件の全容を把握し、犯罪被害者等の名誉を回復するとともに、加害者に謝罪や反省を求めるという重要な意味を持っています。
しかし、犯罪等により、傷つき様々な問題を抱えている犯罪被害者等にとって加害者と向き合わなければならない損害賠償請求は、更なる精神的負担を与えることもあります。
また、一般的に訴訟には、専門的な知識・高額な費用、多くの時間と労力を費やすこととなり、さらには、損害賠償請求をする過程で加害者の所在等の情報が不足していることや加害者に自分の所在を知られてしまうことへの不安等を抱えています。
そこで、犯罪被害者等が必要としている刑事手続や損害賠償請求に関する的確な情報を提供し、各種支援制度の周知及び支援を図る必要があります。
県の取組
(1) 損害賠償請求制度の周知
刑事手続き、損害賠償請求制度について、広報や情報提供を行います。
(2) 広報啓発による各種支援制度の周知
県のホームページの活用、啓発冊子、パンフレットの作成配布等を通じ、各種支援制度の周知に努めます。
(3) 相談窓口に関する情報提供
交通事故相談所や(財)日弁連交通事故相談センターでの無料相談さらには群馬弁護士会等で行う法律相談に関する情報提供に努めます。
(4) 日本司法支援センター等民事法律扶助制度に関する情報提供
法テラスによる民事法律扶助制度等について、広報や情報提供に努めます。
(5) 暴力団犯罪による被害回復への支援
警察において、(財)群馬県暴力追放県民会議等と連携して、暴力団犯罪による被害回復を支援します。
2 給付金の支給に関する制度の適正な運用等(基本法13条関係)
現状・課題
犯罪被害者等が、様々な困難を乗り越えて損害賠償請求の訴訟で勝訴判決を受けたとしても、加害者側に賠償能力が欠如していたり、財産を隠される等、損害回復の目的を果たせない場合も少なくありません。
また、犯罪被害者等の中には、直接的な財産被害のみならず、働き手を失い、あるいは、自らが働けなくなってしまったことで収入がなくなったり、身体的な被害を負い、治療のために費用がかかるなど、長期にわたって、経済的な困難に苦しむ方々もいます。
そこで、このような方々の経済的負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対する給付金(コラム2参照)の支給制度等による各種支援を行っていく必要があります。
県の取組
(1) 給付金の支給に関する制度の適正な運用
通り魔などの犯罪で亡くなった被害者の遺族や障害を負った犯罪被害者等に「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」に基づき、給付金の支給手続を行います。
また、制度の積極的な周知を行い、適正な支給裁定手続に努めます。
(2) その他の公費支出の適正な運用
犯罪被害者及び犯罪により死亡した被害者の遺族等の経済的負担を軽減し、捜査活動への一層の理解と協力を得るため、
- 身体犯被害者に対する診断書料
- 身体犯被害者遺族等に対する死体検案書料
- 性犯罪被害者に対する初診料等
- 司法解剖後の遺体搬送料
等について迅速的確な公費支出に努めます。
(3) 交通遺児支援制度の情報提供
奨学金の給付など交通遺児への支援制度について周知に努めます。
3 居住の安定(基本法第16条関係)
現状・課題
犯罪被害者等のなかには、自宅が事件現場になったことによる家屋の損壊等で暮らすことができなくなったり、精神的な苦痛を受け継続的に居住できなくなり、結果的に転居を余儀なくされる方々も少なくありません。
さらには、配偶者等からの暴力(ドメスティック・バイオレンス/DV)を受けた被害者のように自宅以外の場所に居住場所を探さなければならない場合もあります。
このような犯罪被害者等が再び安定した住居において平穏な生活ができるよう支援を行う必要があります。
県の取組
(1) 公営住宅への優先的取扱い及び配慮
ア 犯罪等の被害による後遺障害者を含める障害者や、DV被害者(同居親族要件不要)に対して、県営住宅入居抽選において、一般の入居希望者より当選率を高める優先的な取扱いを実施することとしています(平成20年4月以降の公募から適用予定)。
イ 放火等の犯罪により、自宅が消滅して住み続けることが困難になってしまった犯罪被害者等に対しては、県営住宅への入居について配慮します。
(2) DV被害女性等に対する一時保護(再掲第2-2(1))
DV被害女性等緊急に保護を要すると認められる女性を女性相談所において一時保護し、相談・保護・自立支援等を行います。
4 雇用の安定(基本法第17条関係)
現状・課題
犯罪被害者等は、精神的・身体的被害により、仕事の能率の低下や対人関係に支障が生じたり、治療のための通院、刑事手続き及び裁判出廷等のため職場を欠勤せざるを得ない場合が多々あります。
しかし、雇用主、上司及び同僚等の犯罪被害者等への理解や配慮の不足から仕事を辞めざるを得ない場合もあります。
そこで、犯罪被害者等が安心して仕事を続けられるよう事業主に対する理解の促進を図るとともに犯罪被害者等に対する各種就労支援を行っていく必要があります。
県の取組
(1) 各種就労支援
ア 犯罪被害者等の立場について事業主等の理解の増進を図るため、ホームページの活用や各種セミナー等の機会を設けるよう努めます。
イ 35歳未満の若者に対して各種就労支援(若者就職支援)を行います。 (コラム3参照)
ウ 35歳以上の就職、転職を希望する方に対して就労支援(中高年再就職支援)を行います。(コラム3参照)
エ 犯罪等の被害により障害を負ってしまった後遺障害者に対して、就労支援を行います。
オ 高崎と太田の県立産業技術専門学校内に設置している「就職能力サポート室」において、就職に関する様々な相談を受け付けるとともに、就職活動に役立つアドバイスや情報提供を行います。
カ 犯罪被害者等と雇用主の間で生じた労働問題について相談を受ける各種相談窓口の周知を図ります。
キ 県立高校における進路指導(進学・就職)の際、国の機関である群馬労働局・ハローワーク(公共職業安定所)等との連携を強化し、情報交換等を通じ就職支援を行います。
第2 精神的・身体的被害の回復・防止への取組
基本的な方向性
保健医療及び福祉サービスの充実等
犯罪被害者等が再び平穏な生活を取り戻すために、適切な保健・医療・福祉等のサービスを受けることができる体制づくりを目指します。
安全確保の充実等
犯罪被害者等を再被害から守り、再被害に対する不安への解消に努めます。
保護、捜査、公判における配慮の充実等
犯罪被害者等に対して、二次的被害を与えないよう配慮し、精神的負担の軽減に努めます。
1 保健医療及び福祉サービスの提供等(基本法第14条関係)
現状・課題
一般的に、身体に被害を受けた犯罪被害者等の多くは、長期にわたる治療を余儀なくされたり、重篤な後遺症により常に看護や介護が必要になる場合があります。
また、生命を奪われた遺族はもとより、身体に被害を受けた被害者及びその家族等の方々も深刻な精神的被害を受けることもあります。
さらに、身体的な被害はなくても犯罪等により精神的な被害を受けた犯罪被害者等も多数にのぼると考えられ、重度のPTSD(外傷後ストレス障害)等、長期にわたり精神的後遺症に悩まされる方も少なくありません。
こうした犯罪被害者等の精神的被害に関しては、犯罪被害者等に接する関係者をはじめ、周囲の人々の理解や配慮が何よりも大切です。
そこで、犯罪被害者等が受けた身体的・精神的被害を早期に回復するため、保健医療サービス及び福祉サービスが適切に提供される体制をつくっていく必要があります。
県の取組
(1) 精神保健福祉相談
こころの健康センター、保健福祉事務所において被害後の精神的ケアの相談を行います。
(2) 救急医療体制の確保
ア 地域差のない迅速かつ適切な救急医療の提供に努めます。
また、夜間体制の確保、メディカルコントロール体制(※注6)の整備により、救急医療体制の充実に努めます。
イ 各種医療機関における情報の周知により、犯罪被害者等への配慮ある対応を目指します。
ウ 犯罪被害者と思われる負傷者を治療した際の適切な対応に努めます。
(3) 医療機関における情報管理の徹底
ア 医療現場における犯罪被害者等の情報漏洩防止に努めます。
イ 犯罪被害者等の被害状況に応じた医療機関に関する情報の周知に努めます。
(4) 生活支援
生活に困窮している犯罪被害者等への経済的な支援や自立支援を行います。
また、生活福祉資金による支援を行います。
(5) 民生委員・児童委員との連携
民生委員・児童委員を通じて、地域社会と連携して犯罪被害者等への支援を行います。
(6) 児童の健全育成
加害者の子どもも含め、精神的に不安定になりがちな児童・生徒に対し、健全育成を推進します。
(7) 各種子育て支援
問題を抱えた犯罪被害者等の家族に対し、地域の(主任)児童委員との連携等により各種子育て支援を行います。
(8) ひとり親家庭自立支援
犯罪被害を受けた結果、ひとり親家庭に対し自立のための各種支援を行います。
(9) 高次脳機能障害者(※注7)支援
交通事故などにより高次脳機能障害者となられた方やその家族に対する相談支援を行います。
(10) 障害者に対する経済的支援・福祉サービスの提供
ア 特別障害者手当の給付等生活安定のための支援を行います。
また、相談体制、ホームヘルプサービス、グループホーム等の在宅福祉サービスの充実に努めます。
イ スポーツ・文化活動や情報化支援、コミュニケーション支援などの充実を図り、障害者の社会参加を推進します。
(11) 障害者110番による支援
障害のある方が、犯罪被害等のトラブルを抱えた場合に、「障害者110番」において、相談支援を行います。
(12) 聴覚及び言語障害者の安全確保
ファックスやメールでも110番を受理できる体制を整備して、聴覚及び言語に障害のある方のためのサポートを引き続き行います。
(13) 児童虐待への対応
児童福祉施設への入所や里親(※注8)への委託等により、被虐待児童への支援(保護・ケア・自立支援等)を行います。
(※注6)メディカルコントロール体制:救急現場から医療機関に搬送されるまでの間において、救急救命士等が行う救急医療活動について、医師による指示、指導・助言、事後検証を行い、その質を保障する体制。
(※注7)高次脳機能障害者:交通事故や脳血管性疾患などにより、脳に生じた後遺症のこと。記憶障害や注意障害といった認知障害や、社会的な行動障害などをきたす。
2 安全の確保(基本法第15条関係)
現状・課題
反復継続的に行われる児童虐待、ストーカー行為、配偶者等からの暴力(DV)をはじめとし、暴力的な犯罪等により被害を受けた犯罪被害者等は、加害者側から再び危害を加えられるのではないかと深刻な不安を抱いています。
このような不安から、犯罪被害者等は、被害の届出・申請を躊躇したり断念するケースも多々あります。
そこで、犯罪被害者等を再被害から守り、再被害に対する不安を解消する取組をしていかなければなりません。
県の取組
(1) DV被害女性等に対する一時保護(再掲第1-3(3))
DV被害女性等緊急に保護を要すると認められる女性を女性相談所において一 時保護し、相談・保護・自立支援等を行います。
(2) 児童相談所等一時保護施設の運営
児童相談所及び母子生活支援施設における一時保護については、被保護者が安心して滞在できるよう努めます。
(3) 児童虐待防止
ア 「群馬県子ども虐待防止ネットワーク推進協議会」の運営により県域の関係機関等の連携を図るとともに、市町村における「要保護児童対策地域協議会」の設置を促進し、各地域における児童虐待防止に努めます。
イ 児童相談所における警察・学校等の関係機関との連携により、児童虐待の早期発見、再発防止に努めます。
(4) 児童虐待への対応
ア 児童相談所において、被虐待児童への迅速な安全対策を講じます。また、施設入所や里親委託等により被虐待児童への支援を行います。
イ 学校において、地域医療機関・警察等の関係機関や市町村との連携の強化により、児童虐待に適切に対応します。
(5) 被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲第3-1(3)/第4-1(14))
一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、捜査活動に支障のない範囲で、事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供を行い、各種支援制度の案内及び必要に応じた付添等の支援に努めます。
(※注8)里親:児童福祉法に基づき、保護者のいない児童又は保護者に監護させることが不適当であると認められる児童を養育することを希望する者であって、都道府県知事が適当と認める者。
3 保護、捜査、公判における配慮等(基本法第19条関係)
現状・課題
犯罪被害者等は、犯罪等による被害を受けた後、再被害から逃れるために保護施設に入所したり、捜査や公判過程において協力を求められたり、あるいは医療機関で治療を受けたりと様々な関係機関の担当者等と接することになります。このような過程で、関係者の理解不足から二次的被害を受けていることもあります。
そこで、犯罪被害者等に接する関係機関の職員等に対して二次的被害を与えないよう配慮を求め、犯罪被害者等の精神的な負担軽減に努めていく必要があります。
また、外国籍犯罪被害者等への対応や暴力団関係者による「お礼参り」等への再被害防止も必要となっています。
県の取組
(1) 女性警察官等の効果的な活用
性犯罪捜査に対応するため、女性警察官等の活用に配慮します。
(2) ビデオリンク等の保護措置の周知
犯罪被害者等を保護するため公判廷におけるビデオリンク等の保護措置について周知に努めます。
(3) 警察施設における環境改善
犯罪被害者等の事情聴取に当たっては、安心して聴取に応じられるよう、その心情に配意し、応接セットを備えたり、照明や内装を改善した部屋を利用するなど施設の改善に努めます。
(4) 外国籍犯罪被害者等への対応
外国籍の犯罪被害者等の被害申告時、通訳人の確保や母国と異なる日本での司法手続きについて説明する等、個々の実情に応じた適切な対応に努めます。
(5) 暴力団等からの被害防止
暴力団等からの再被害を防止するため、警察において「保護対象者」の指定等を行い、各種保護対策を図ります。
第3 刑事手続への関与拡充への取組
基本的な方向性
刑事手続における各種情報提供の充実
犯罪被害者等の裁判への参加の検討や現行の刑事手続及び少年保護事件の手続等の司法制度改正等に関する情報提供を通じ、犯罪被害者等が刑事手続等に参加できる機会の周知に努めます。
1 刑事手続への関与のための犯罪被害者等に対する情報提供の充実(基本法第18条関係)
現状・課題
「事件の当事者」である犯罪被害者等は、常に事件の真相を求め続けており、その捜査や公判等の刑事に関する手続、少年保護事件の調査や審判等の手続に関し重大な関心を持っています。
このため、犯罪被害者等が自らこのような手続に関わっていくことを望む場合も少なくありません。
こうした状況を踏まえ、平成12年に刑事訴訟法の改正が行われ、犯罪被害者等の意見陳述制度が導入されたり、検察審査会への申立権者の範囲が拡大されています。
また同じく平成12年に改正された少年法では、家庭裁判所による犯罪被害者等の意見聴取の制度が導入されています。
しかし、犯罪被害者等からは未だに「事件の当事者」としてふさわしい扱いを受けていないとの声もあり、今後とも、刑事手続及び少年保護事件の手続に関する情報提供を行う必要があります。
県の取組
(1) 「被害者の手引」(※注9)の活用
事件の態様に応じ、犯罪被害者等に対して、「被害者の手引」を配布し、犯罪被害者等のニーズに応じた情報提供に努めます。
(2) 各種刑事手続における適切な説明、情報提供等
公判記録の閲覧・謄写、不起訴記録の弾力的開示等に関する現行制度の周知に努めます。
(3) 被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲第2-2(5)/第4-1(14))
一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、捜査活動に支障のない範囲で、事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供を行い、各種支援制度の案内及び必要に応じた付添等の支援に努めます。
(4) 検視及び司法解剖時における適切な説明
検視、司法解剖を行う際には、遺族等への適切な説明を行い配慮に努めます。
(5) 交通事故捜査体制の強化等
科学的捜査のための研修の実施及び各種資機材の効果的な活用等交通事故捜査体制の強化に努めます。
(※注9)「被害者の手引」:殺人や傷害、強姦など身体犯の事件や交通事故の被害に遭われた方、遺族の方のために、必要な情報を包括的に分かりやすく解説したパンフレット。
第4 支援のための体制整備への取り組み
基本的な方向性
総合的支援及び情報提供の充実
精神的にも大きなショックを受けている犯罪被害者等を支えていくため、公的な各種サービスの適切な情報提供及び支援により、途切れのない支援を目指します。
現状把握及び関係者の資質の向上
犯罪被害者等の置かれた現状把握に努めるとともに、犯罪被害者等支援に携わる職員等の資質の向上を目指します。
民間被害者支援団体への援助
犯罪被害者等の支援に関して重要な役割を担う民間被害者支援団体への支援に努めます。
1 相談及び情報の提供等の総合的支援(基本法第11条関係)
現状・課題
犯罪被害者等は、被害直後から、様々な場面に遭遇し、次々と対応していかなければなりませんが、精神的にも大きなショックを受けている犯罪被害者等にとって、 こうした対応は非常に困難であることから、対応が円滑、適切に行われるよう相談体制を充実して行くことは大変重要なことです。
これまで、犯罪被害者等の相談については、警察の相談窓口がその機能を担ってき ましたが、相談者のニーズは多様であり、さらに時間の経過に伴い求める支援も変わってくることから、犯罪被害者等が直面する各般の問題について専門的に相談に応じることができる相談窓口の整備とともに、県や市町村における総合的な対応窓口の設置やインターネットを通じた情報提供等、誰もがいつでも相談し、情報を入手できる体制を構築していくことが課題です。
しかし、犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、 必要な支援を途切れることなく受けることができるようするためには、今後、関係機関による支援チームの編成や、支援計画の策定等について検討していく必要があります。
県の取組
(1) 犯罪被害者等支援総合窓口(人権男女共同参画課)による情報提供
群馬県ホームページの「犯罪被害者等施策」について、随時情報を更新し、広く県民に情報提供を行います。
(2) 相談支援体制の充実強化
相談支援体制の充実強化を図るため、犯罪被害者等の相談・支援に携わる相談支援員の充実に努めます。
(3) 各種広報啓発資料の作成・配布
各種広報啓発資料の作成・配布に努めます。
(4) DV被害者等に対する情報提供、相談支援
DV被害者が、情報を容易に入手できるよう広報啓発に努めるとともに、女性相談所においてDV被害女性等への相談支援を行います。
(5) 児童虐待への的確な対応
児童虐待に対して、必要な時に的確に対応できるよう、児童相談所における夜間休日の連絡体制や相談体制を確保します。
(6) 子育てに関する相談支援
犯罪被害者等は、様々な状況から子育てに悩みを抱えることがあります。そこで、子育てに関する相談窓口として、ぐんまこども相談センター(中央児童相談所の附置機関)における24時間、365日対応の電話相談により、相談体制を充実します。
また、児童心理司等によるカウンセリングを行います。
(7) 少年被害者相談
犯罪等の被害を受けた少年に対して、相談窓口や各種治療のための専門家、施設について情報提供をします。
(8) 医療機関における情報提供
医療機関に訪れた犯罪被害者等が、円滑な支援が受けられるよう、パンフレット等を配備するなど、適切な情報提供に努めます。
(9) 無料交通事故相談の実施
交通事故相談所において、専門の相談員や弁護士が交通事故で悩んでいる方の相談に応じます。
(10) 公立学校における関係機関との情報の共有
公立学校では、関係機関や関係団体と連携して、情報を共有することにより、犯罪被害者等である児童・生徒の相談体制の整備に努めます。
(11) 「子どもと親の相談員」及び「スクール・カウンセラー」制度の活用
県内の小学校に配置されている「子どもと親の相談員」及び県内の中学校、県立高校に配置されている「スクール・カウンセラー」による相談支援の中で、犯罪被害者等である児童・生徒の相談に応じます。
(12) 問題を抱える子ども等の自立支援事業の活用
犯罪被害者等である児童・生徒が不登校や問題を抱えるに至った場合、自立に必要な支援を行い、学校復帰を図ります。
(13) 犯罪発生状況の情報提供(再掲第5ー1(11))
犯罪被害者等の個人情報に配慮した、犯罪発生状況等の情報発信活動に努めます。
(14) 各警察署による各種相談業務の活用
ア 各警察署における被害者相談窓口については、各種広報媒体等を活用し、広報に努めるとともに、相談者等へ配慮した相談室等の環境整備に努めます。
イ 警察において相談等管理システムにより、適切な管理を行い、相談内容に応じて部内外の専門窓口へ支援の確実な引継ぎが行われるよう引き続き努めます。
(15) 被害者連絡制度による適切な情報提供(再掲第2-2(5)/第3-1(3))
一定の事件に関する犯罪被害者等に対して、捜査活動に支障のない範囲で、事件の捜査状況や加害者の処分状況等に関しての情報提供を行い、各種支援制度の案内及び必要に応じた付添等の支援に努めます。
(16) 被害者対策推進責任者等指定制度の適正な運用
事件発生当初における被害者やその遺族の心情を考慮した危機介入的な支援を図るため、警察署及び高速道路交通警察隊における被害者対策推進責任者等を指定し、引き続き犯罪被害者等に対する適切な支援に努めます。
2 調査研究の推進並びに犯罪被害者等の支援に係る人材の養成及び資質の向上等(基本法第21条関係)
現状・課題
犯罪被害者等の相談や支援に携わる者は、様々な制度の知識をはじめ、犯罪被害者等の心身の状況に応じた専門的な知識・技術が必要になりますが、こうした人材は不足しているのが実状であり、今後、相談員や支援員等の養成や育成が必要です。
また、犯罪被害者等が被害直後から再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、必要な支援を途切れなく受けることができるようにする必要があります。
このようなことから、犯罪被害者等の被害の状況に応じた的確な支援ができるよう関係機関相互の調整をするコーディネーターの育成やその手法を研究することも今後の大きな検討課題です。
さらに、今後の支援施策推進に役立てるため、犯罪被害者等の支援に関する県民意識を把握すること、すべての犯罪被害者等の状況に配慮した的確な支援体制を構築するため、犯罪被害者等のニーズ把握に努めることも求められます。
県の取組
(1) 犯罪被害者等の支援に携わるボランティア等の養成
犯罪被害者等の支援に携わるボランティアの養成及び相談支援員の資質向上を図るための研修等を実施し、支援活動の充実強化を図ります。
(2) 児童虐待防止のための事例検証
児童相談所、市町村、保健福祉事務所等の関係者により、児童虐待死亡事例等の検証を行い、児童虐待の防止に活用します。
(3) 児童虐待予防・虐待防止のための子育て支援人材育成事業(再掲第5-1(7))
児童虐待予防や防止のため、子育て支援の関係者に対して研修を行うとともに、児童虐待をテーマとした県民講座を開催し、防止のための啓発を行います。
(4) 一時保護所の職員研修
女性を一時保護する公的施設において、犯罪被害者等と接する際の適切な対応に関し研修等を行い犯罪被害者等に配慮した対応に努めます。
(5) 教職員研修の充実
教職員が、犯罪被害者等である児童・生徒の相談等に的確に対応できるよう研修等を行い、資質の向上を図ります。
(6) 各種相談業務の向上
警察等相談窓口設置機関において、適切な相談ができるよう、引き続き職員教育を行うほか、事例の紹介等を通じて資質向上に努めます。
(7) 犯罪被害者等支援担当者の資質の向上
警察現場で犯罪被害者等に直接関わる犯罪被害者等支援担当者に対する研修を行い、資質の向上を図ります。
(8) 犯罪被害者等支援に関わる県職員の資質の向上
犯罪被害者等支援に関わる県職員に対する研修等を通じ、資質の向上を図るとともに二次的被害の防止に努めます。
(9) 市町村職員への研修機会の提供
犯罪被害者等に対する理解を深めるため、市町村職員に対する各種研修の機会を提供するとともに二次的被害防止への広報・啓発に努めます。
3 民間被害者支援団体に対する援助(基本法第22条関係)
現状・課題
民間被害者支援団体(コラム4)は、犯罪被害者等がいつでもどこでも必要な支援が受けられるためには必要不可欠な団体です。
現在、全国には様々な団体があり、そのほとんどが犯罪被害者等の 支援に対する必要性が高まる中で設立されてきたものです。
さらに、民間被害者支援団体に、自らも犯罪被害の経験がある方が参加することにより、犯罪被害者等のニーズに沿った支援が可能となっています。
民間被害者支援団体の活動は、善意の寄付やボランティアに支えられています。犯罪被害者等の支援に際し重要な役割を果たしている団体の活動について、広く県民の皆さんにご理解をいただくよう努めます。
県の取組
(1) 民間被害者支援団体等への支援の充実及び連携・協力関係の強化
ア 犯罪被害者等の相談支援に当たる民間被害者支援団体に対する支援の充実に努めるとともに、連携・協力関係の強化を図ります。
イ DV被害者支援のため、民間シェルターへの助成等を行います。
(2) 交通遺児支援団体への補助等
交通遺児に対して奨学金を給付する(財)佐藤交通遺児福祉基金に対し、運営費補助や募金活動への協力など運営を支援します。
(3) 群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会の活性化
群馬県犯罪被害者等支援連絡協議会における関係機関との連携を強化し、支援体制を整備します。
第5 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組
基本的な方向性
県民への理解の増進
犯罪被害者等支援への関心が高まる一方、偏見やうわさ話等に悩む犯罪被害者等も依然多いため、犯罪被害者等に対する正しい理解の増進に努めます。
1 県民の理解の増進と配慮・協力の確保への取組(基本法第20条関係)
現状・課題
ここ数年、犯罪被害者等への関心が高まるにつれ、多くの県民の方々が犯罪被害者等の支援に対して積極的な意思を持ち、ボランティア活動に参加したいと考えている方が増えてきています。
しかし、犯罪被害者等からは、被害後に「近所の人や通行人に変な目で見られた」、「友人、会社の同僚等周囲の人との関係が変化した」等の意見も多数あり、周囲の人々の誤解、偏見による悩みや苦しみも被害の一部であると言えます。
犯罪被害者等への関心が高まっている現状と周囲の人々の誤解や偏見に悩まされている実態とのギャップは、犯罪被害者等が本当に必要としている支援に対する理解不足から生じるものと考えられます。
このギャップをなくし、周囲の人々の目を気にしながら生活している犯罪被害者等の負担を解消するには、日頃から、犯罪被害者等の置かれている状況や犯罪被害者等が望んでいることを知る機会を持つなど、犯罪被害者等について正しく理解することが大切です。
そこで、県民の皆さんが犯罪被害者等についての正しい理解と知識を持ち、犯罪被害者等に対する配慮が可能となるよう、学校教育や社会教育を通じて様々な広報啓発活動等を行うとともに、マスコミや企業等に対し幅広い理解を求めていくことも重要です。
県の取組
(1) 児童・生徒への道徳教育
学校での道徳教育において、「命の大切さ」についての指導を行い、児童・生徒が自他の命を大切にする心を育てるとともに、善悪の判断を身に付けさせることにより、規範意識を高めます。
(2) 学校教育における人権教育の推進
学校での人権教育において、犯罪被害者等の人権問題についての理解を図ります。
(3) 社会教育における人権教育事業の活用
社会教育における人権教育指導者養成講座や指導者の資質向上研修事業において、犯罪被害者等の人権問題を取り上げ、犯罪被害者等の人権についての理解を深めていきます。
(4) 「犯罪被害者週間」にあわせた集中的な啓発事業
犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)に集中的な広報・啓発を実施し、犯罪被害者等の置かれている状況について、県民の一層の理解に努めます。
(5) 特定期間内における集中的な広報・啓発の実施
ア 交通安全運動期間中の啓発
イ 人権週間(12月4日~12月10日)期間中の啓発
ウ 児童虐待防止推進月間(11月)中の啓発
エ 女性に対する暴力をなくす運動(11月12日~11月25日)期間中のDV被害者根絶のための啓発
(6) 民間被害者支援団体との共同による広報啓発活動
ア 民間被害者支援団体が行う各種広報啓発事業を支援し、共同して幅広い理解の促進に努めます。
イ 犯罪被害者等の自助グループ(※注10)が行う啓発活動への支援に努めます。
ウ 配偶者等からの暴力(DV)被害者支援団体が行う啓発活動への支援に努めます。
(7) 児童虐待予防・虐待防止のための子育て支援人材育成事業(再掲第4-2(2))
児童虐待予防や防止のため、子育て支援の関係者に対して研修を行うとともに、児童虐待をテーマとした県民講座を開催し、防止のための啓発を行います。
(8) 県の広報メディアの活用
県の広報メディアを利用して、犯罪被害者等への理解を促進するための情報を積極的に提供します。
(9) 犯罪被害者等に理解を求めるための出前講座実施
出前講座により、犯罪被害者等の立場や支援の在り方等について啓発活動を行います。
(10) 犯罪被害者等に関する個人情報の保護
警察による被害者の実名発表、匿名発表については、犯罪被害者等の匿名発表を望む意見とマスコミによる報道の自由、国民の知る権利を理由とする実名発表に対する要望等を踏まえ、プライバシーの保護、発表することの公益性等の事情を総合的に勘案しつつ、個別具体的な案件ごとに適切な発表内容となるように配慮します。
(11) 犯罪発生状況の情報提供(再掲第4-1(13))
犯罪被害者等の個人情報に配慮した、犯罪発生状況等の情報発信活動に努めます。
(※注10)自助グループ:同じ問題を抱える人同士が集まって意見を交換し、互いに援助しあう活動グループ。
第4章 主な被害分野への対応と施策
1 身体犯(殺人・傷害等)による被害
突然の犯罪等の被害により家族等を失った遺族の方々は、事件による精神的なショックとそれに伴う身体の不調、経済的な困窮、捜査や裁判の過程における精神的・時間的負担、周囲の人々のうわさやマスコミの取材・報道によるストレス等、一度に様々な問題を抱えることになります。
また、自らが負傷するような傷害等の被害者は、負傷したことによる失職・就労困難、治療費の支出、治療のための時間的負担等の様々な問題を抱えています。
このような方々が、早期に被害の回復・軽減ができるよう施策を推進します。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
捜査過程における二次的被害の防止 |
警察本部 |
刑事手続や被害回復手続等の情報提供 |
警察本部 |
指定被害者支援要員制度(※注11)の活用による支援 |
警察本部 |
被害者連絡制度の活用による情報提供 |
警察本部 |
犯罪被害給付金制度による給付金の支給 |
警察本部 |
自立生活支援(各種生活支援・各種子育て支援) |
健康福祉課・青少年こども課 |
こころの健康センター等による相談窓口での配慮 |
こころの健康センター |
ひとり親支援 |
青少年こども課 |
各種就労支援 |
労働政策課 |
(※注11)指定被害者支援要員制度:警察において、指定された警察職員(指定被害者支援要員)が、事件発生直後から犯罪被害者等に付き添い、必要な助言、指導、情報提供等を行ったり、関係機関等の紹介・引継ぎ等の支援をする制度。
2 性犯罪による被害
強姦、強制わいせつ等の性犯罪は、被害者の尊厳を踏みにじり、身体的のみならず精神的にも極めて重い被害を与える犯罪です。
精神的な被害が深刻な性犯罪による被害者に対しては、警察による捜査、刑事手続等において二次的被害を与えない配慮が重要です。
このような性犯罪被害者等の精神的被害の軽減・回復を図り、性犯罪の潜在化を防止する必要があることから、各種支援施策を推進します。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
性犯罪被害相談窓口の充実と対応者の資質の向上 |
警察本部 |
性犯罪捜査での女性警察官による事情聴取の拡大 |
警察本部 |
証拠採取時における配慮 |
警察本部 |
交番等における女性被害相談所の充実 |
警察本部 |
民間被害者支援団体との連携による支援の充実 |
警察本部、民間被害者支援団体 |
刑事手続、損害回復手続等の情報提供 |
警察本部 |
被害者連絡制度による情報提供 |
警察本部 |
こころの健康センター等による相談窓口での配慮 |
こころの健康センター |
3 被害少年の保護
心身ともに未成熟な少年が、犯罪、いじめ、児童虐待等による被害に遭った場合、それによって受ける精神的ダメージは大人に比べて非常に大きく、また、大人のように、苦しい心のうちを言葉などで表現して自由に発散する術を持たないことから、心の傷は大人以上に根の深いものとなりがちです。
また、被害のダメージにより、問題行動等に走ったり、最悪の場合には自殺に追い込まれるなど、その健全な育成を害されるケースが多くあります。
このため、こうした少年の特性に配意しながら、犯罪等により被害を受けた少年の精神的ダメージを軽減し、その立ち直りを支援する必要があります。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
少年育成センターによる組織的な取組 |
警察本部 |
少年の悩み事相談窓口における対応 |
警察本部 |
要保護児童対策地域協議会等の活用による早期対応 |
青少年こども課 |
里親制度の活用 |
青少年こども課 |
児童相談所による保護・支援等 |
青少年こども課 |
児童虐待防止のための学習講座の実施 |
青少年こども課 |
学校における被害少年のサポート・虐待の早期発見 |
義務教育課・高校教育課 |
4 配偶者等からの暴力(ドメスティック・バイオレンス/DV)による被害
ドメスティック・バイオレンス(DV)は、女性を支配し、服従させるため、あるいは自分のイライラを解消するために用いられる暴力で、女性の苦しみや人格を全く無視するものです。
その形態は、身体的暴力だけにとどまらず、精神的、性的、経済的、社会的、子どもを利用した暴力などがあり、複雑に重なり合っています。
更に、夫やパートナーからの暴力は、家庭内で起こることが多く、被害の潜在化も深刻な問題です。
このことから、DV相談等により被害を早期に発見し、被害者の保護や事件化等被害者の心情に配意した迅速・的確な対応を図ります。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
DV相談窓口での的確な対応 |
人権男女共同参画課・警察本部 |
DV被害者等に接する際の再被害防止の為の啓発 |
警察本部・人権男女共同参画課 |
女性相談所による一時保護等 |
人権男女共同参画課 |
「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の適正な運用 |
人権男女共同参画課・警察本部 |
「住民基本台帳閲覧制限等の運用」による支援 |
各市町村、警察本部 |
自立生活支援(各種生活支援・各種子育て支援) |
健康福祉課・青少年こども課 |
県営住宅への優先入居について配慮 |
建築住宅課 |
各種就労支援 |
労働政策課 |
5 ストーカー事案による被害
ストーカー行為は、それ自体、被害者の生活の平穏を害する行為であるとともに、行為がエスカレートし、被害者に対する暴行、傷害、ひいては殺人等の凶悪犯罪にまで発展するおそれのあるものです。
相談受理等による被害の早期発見により「つきまとい等に対する警告」等の行政指導及び事件化等被害者の心情に配意した迅速的確な対応を図ります。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
ストーカー被害者に関する相談窓口の充実強化 |
警察本部 |
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」の適正な運用 |
警察本部 |
「住民基本台帳閲覧制限等の運用」による支援 |
各市町村、警察本部 |
6 悪徳商法等による被害
悪徳商法等の犯罪は、社会や経済情勢を反映し、様々な手口が用いられています。
例えば、社会問題となった高齢者を対象とした悪質住宅リフォーム事案では、屋根、床下、水回りなどと様々な口実で次々と不必要な工事が行われ、被害が拡大している例が多く見られました。
また、ヤミ金融では、預金通帳や引出用カード等を担保にして融資し、定期的に振り込まれる年金から債務の返済を受ける違法な手口が用いられるほか、取り立てに当たっても様々な違法行為が発生しています。
このような被害に遭われた方に対して、警察、県民センター等が連携して情報の共有化を図り、再被害の防止のための積極的に情報を提供する必要があります。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
被害相談窓口の充実強化 |
警察本部・県民センター |
被害の未然防止対策のアドバイス |
警察本部・県民センター |
被害の情報収集と県民への情報提供 |
警察本部・県民センター |
被害者等への情報提供 |
警察本部・県民センター |
7 暴力団犯罪による被害
暴力団犯罪の被害者等は、警察や行政に相談することによって暴力団員から「お礼参り」や嫌がらせ等の不安を抱いている場合が少なくありません。
そこで、相談者が安心して相談できるよう、被害者等の安全の確保を強化し、相談をしやすい体制を整備し、再被害防止に努めます。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
暴力団関係相談受理時の適正な対応 |
警察本部 |
被害回復交渉についての助言 |
警察本部 |
被害回復交渉を行う場所としての警察施設の提供 |
警察本部 |
(財)群馬県暴力追放県民会議との連携による支援の充実 |
警察本部、群馬県暴力追放県民会議 |
8 交通事故(危険運転致死傷、自動車運転過失致死傷、ひき逃げ等)による被害
平成18年中の群馬県における人身交通事故の発生件数は、22,758件で、交通事故による死者数は、前年と比較して3人減少したものの、149人の尊い命が奪われました。
交通事故の被害者等が受ける被害については、従来、主として生命、身体、財産上の被害及び経済的被害が問題とされてきましたが、近年、精神的被害についても深刻であることが明らかとなりました。
このように、他の事件と同様に様々な問題を抱えている交通事故による被害者に対しても、問題の早期解決、被害の回復・軽減を図るための施策が必要です。
施策の項目 |
推進機関等 |
---|---|
交通事故相談の実施と情報提供 |
警察本部、交通政策課 |
被害者連絡制度の活用による情報提供 |
警察本部 |
交通事故捜査時における二次的被害の防止 |
警察本部 |
交通遺児支援制度の周知 |
交通政策課 |
後遺障害者への支援 |
障害政策課 |
ひとり親支援 |
青少年こども課 |
各種就労支援 |
労働政策課 |
コラム
1 犯罪被害者等早期援助団体
「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」に基づき、都道府県公安委員会が、犯罪被害等の早期の軽減に資する事業を適正かつ確実に行うことができると認められる非営利法人を指定します。
犯罪被害者等早期援助団体は、警察本部長に申請し、犯罪被害者等の同意があれば、当該被害者の氏名及び住所その他当該犯罪被害の概要に関する情報の提供を受けることができます。
全国的には、(社)被害者支援都民センターほか、12団体が公安委員会の指定を受けています(平成19年7月現在)。
2 犯罪被害給付制度
故意の犯罪行為(殺人や傷害)により亡くなられた被害者の遺族の方や重傷病を負い又は障害が残ることとなった被害者の方が、加害者から十分な損害賠償を受けることができなかった場合において、国が犯罪被害者等給付金を支給する制度です。
被害者が重傷病を受けた場合 |
被害者に障害が残った場合 |
被害者が死亡した場合 |
---|---|---|
《 重傷病給付金 》 重傷病(加療1か月以上かつ3日以上の入院(精神疾患の場合は、3日以上労務に服することができない程度))を負った場合、医療費の自己負担額(1年を限度)が支給されます。 |
《 障害給付金 》 障害等級1級から14級の障害が残った場合に,等級に応じて支給されます。 |
《 遺族給付金 》 亡くなられた被害者の第1順位の遺族に支給されます。 被害者が死亡前に療養を受けた場合は,療養について被害者の自己負担額を加えた額が支給されます。 |
被害者本人に支給 |
被害者遺族に支給 |
- 犯罪行為によっては被害を受けた場合でも、給付金の全部又は一部を支給されないことがあります。
3 若者就職支援と中高年再就職支援
若者就職支援
若者失業率の高まりやフリーターが増大する中、若者の不安を取り除き、若者が自信とやりがいをもって働き・生活できる元気な群馬県を創るため、若者の主体的な取組を活かして、職業観の形成から就職支援、人材育成までのサービスを一カ所で総合的に提供する『若者による、若者のためのサービスセンター』を運営しています。
中高年再就職支援
中高年の長期失業者や就職困難者等を対象に、自己分析・ライフプラン等の講習、グループミーティング、キャリアカウンセリング、就職のあっせんを通じ、最長4ヶ月間、きめ細やかな就職支援を集中的に実施しています。
4 県内の民間被害者支援団体「特定非営利活動法人被害者支援ネットすてっぷぐんま」について
「被害者支援ネットすてっぷぐんま」は、犯罪被害者等に対して精神的ケアを行うとともに、社会全体の被害者支援意識の高揚を図ることにより被害者に理解と配慮をもって支援し、被害の回復や軽減に資することを目的とした県内唯一の「全国被害者支援ネットワーク」(下記参照)に加盟している民間被害者支援団体です。
主な活動内容
- 弁護士・臨床心理士及び専門的な訓練を積んだ支援者による相談
- 同じような被害にあわれた犯罪被害者等への交流の場の提供や活動の支援
- 要望に応じた病院、法廷への付添い等の直接的な支援
- シェルターの運営による緊急一時保護や生活支援
- 犯罪被害者等支援に関する広報・啓発
- 自立のための資金貸し付け(一定の条件あり)
- 関係機関・団体等との連携を密にした、民間の立場での支援活動
- 相談員・犯罪被害者等支援ボランティア等の人材養成
全国被害者支援ネットワーク
平成10年5月に我が国における犯罪被害者等支援活動を一層充実させることを目的に組織され、平成19年9月現在、全国で43団体が加盟しています。
平成11年5月、公正な処遇を受けられる権利、情報を提供される権利、平穏かつ安全に生活する権利等の7つの権利を盛り込んだ「犯罪被害者の権利宣言」を発表しました。