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平成26年度ぐんま緑の県民基金市町村提案型事業の評価

更新日:2019年11月8日 印刷ページ表示

 今年度は事業開始から3年目の箇所(平成26年度開始箇所)を第三者機関である「ぐんま緑の県民税評価検証委員会」に評価していただきました。
 評価因子として、2つの視点(実績アンケートと効果アンケート)から補助事業者と市町村にアンケートを行いました。

アンケートについて

アンケートの種類について

1.実績アンケート

 事業を実施した年度ごとに、補助事業者に対して行うアンケートで、事業が採択された計画どおりに実施されたかを尋ねています。
 今回は、平成26年度と平成27年度に実施した箇所についてアンケートを実施しました。

2.効果アンケート(公共性と効果の可視化)

 同一箇所の3年目に行うアンケートで、補助事業者と市町村に対して行いました。
 公共性の判断のために事業の効果が地域に対して利益があったかを尋ね、効果の可視化により事業の波及効果があったかを尋ねています。

アンケートの集約方法について

 アンケートは点数評価の(5段階評価と3段階評価)合計により、A判定、B判定、C判定に分類すると共に、自由に記載できるコメント部分を設け、判定因子としています。

  • A判定:取組が特に優れており、模範となり得る
  • B判定:現状の取組が充分である
  • C判定:現状の取組には課題があり、改善が必要

アンケート結果による判定結果

アンケート結果による判定結果一覧表
事業名 箇所数 アンケート結果による判定 備考
内訳 A B C 判定不能
荒廃した里山・平地林 31箇所 箇所数 17箇所 13箇所 0 1箇所 アンケート回答無しによる判定不能
構成比% 55% 42% 0% 3%
荒廃した里山・平地林
【刈払機・粉砕機の購入】
10箇所 箇所数 7箇所 3箇所 0 0  
構成比% 70% 30% 0% 0%
貴重な自然環境の保護・保全 6箇所 箇所数 5箇所 1箇所 0 0  
構成比% 83% 17% 0% 0%
森林環境教育・普及啓発 15箇所 箇所数 12箇所 3箇所 0 0  
構成比% 80% 20% 0% 0%
森林の公有林化 3箇所 箇所数 1箇所 2箇所 0 0  
構成比% 33% 67% 0% 0%
独自提案事業 5箇所 箇所数 2箇所 3箇所 0 0  
構成比% 40% 60% 0% 0%
合計 70箇所 箇所数 44箇所 25箇所 0 1  
構成比% 63% 36% 0% 1%

評価結果

市町村提案型事業【総括評価】

 平成27年度は普及啓発の時間が少なかったことから31市町村に留まったが、平成28年度は全県下で取り組まれるようになり、自治体、県民への普及が進んできたようにとらえられる。
 事業の内訳では、荒廃した里山・平地林の整備が最も多くなっている。ぐんま緑の県民税導入を検討する際、条件不利地の森林整備と共に重点的に里山・平地林の整備の必要性が議論され、事業優先度も高く位置づけられた経緯がある。
 ぐんま緑の県民税によって、県民に身近な里山・平地林と条件不利地の森林整備が並行して進められている状況は、導入を検討する委員会が想定していた通りとなっている。整備後の管理や継続性に課題があるものの、里山・平地林問題は、順当に改善されていると評価できる。
 一方、貴重な自然環境の保護・保全については、これまでの環境保護政策において、必ずもカバーできなかった分野の環境保護を住民主体で進められた点で評価してよい。
 また、森林環境教育・普及啓発は、様々な年齢に応じたレベルで関係団体によって積極的に展開され、県民の森林への認識が深まり、事業全体を高く評価できる。
 森林の公有林化については、当初、想定していた外国資本による水源地の買収防止とは違った使途となっている。
 補助金額が多いものの、公有林化を進めた自治体の評価が高くないことから、その要因を明確にしつつ、ぐんま緑の県民税からの捻出部分と公有化した自治体との役割分担、自治体側の計画立案の範囲について検討する必要がある。
 独自提案型事業についても、鳥獣との緩衝帯を形成するという点では効果を発揮した事業があったが、B評価がA評価を上回った要因については、当該自治体に評価要因を確認するとともに、事業認定を行う際の方法等について評価検証委員会において十分な検討が必要であると思われる。
 ぐんま緑の県民税により展開される事業については、導入を検討する委員会で優先順位を検討しつつ決定したものであったが、評価アンケート結果から事業展開に伴って新たな課題も出てきていることが認識された。
 課題の中には、群馬県全体で検討すべきものと、自治体側で検討すべきものとに分類できるようにも思われる。
 こうした点の検討も含め、ぐんま緑の県民税が有効に使われるようにするためにも、施行期間である5年の間に改善すべき点は改善することが望まれる。
 また、一過性の取り組みに終わらせないようにするためにも、事業の継続性を担保する方法についても、県、市町村それぞれにおいて検討する必要があるようにも考えられる。

荒廃した里山・平地林の整備についての評価

 荒廃した里山・平地林の整備の評価は、31件中17件がA判定、13件がB判定という結果となった。
 A判定となった事業では、枯損木の伐採後への植林による森林の公益的機能を高めることができたことや、荒廃した森林整備によって道路の通行上の問題が解消されて安全性が高まったこと、野生鳥獣の滞留が解消されたこと、農産物被害が減少し景観も改善したことなど、主に放置による里山・平地林における諸問題が、ぐんま緑の県民税によって徐々に改善されていることが評価に反映されている。
 一方、B判定となった事業では、事業実施者が住民の理解を得るのに苦労されている例や伐採した竹木の処理費の問題、事業継続への懸念などが反映された結果となっている。
 また、刈り払い機・粉砕機を購入した10件については7件がA判定、3件がB判定となっている。機械が購入できたことへの評価は高いが、機械の管理と整備に関する課題も出てきている。
 全般的には、この事業展開によって、これまで政策が入らなかった里山・平地林問題が徐々に改善されてきたと評価できる。

貴重な自然環境の保護・保全についての評価

 6件中5件がA評価、1件がB評価であった。
 A評価を得た事業では、絶滅危惧種を保全するための環境整備を進めることができたこと、大型哺乳類の生態調査と絶滅危惧植物の保全が進めることができたこと、外来種駆除や湿原の環境保全を行うことができたことなどが評価に反映された。
 本事業は、住民に身近な自然環境を保全するという点で、これまでの環境保護政策において、必ずもカバーできなかった分野の環境保護を住民主体で進められた点で評価してよい。
 一方、B評価だった事業では、事業の継続性が課題とされている。
 これはA評価を得た事業でも同様である。
 全般的には、これまで県民が自然環境の保護・保全を必要性としながらも、県民だけでは進められなかった保護・保全に取り組む契機となった点では高く評価できる。
 事業実施者がアンケートに述べているように、自然環境の保護・保全は、継続が重要であり、一過性の取り組みに終わらないように考えていく必要性が高い。

森林環境教育・普及啓発についての評価

 15件中12件がA評価、3件がB評価であった。
 森林環境教育の対象は未就学児と保護者、小学生、中学生、県民と多岐にわたっている。
 未就学児を対象とした森林内での体験活動では参加園から教育効果に対する評価が高く、山村でのホタル観賞を通して林業の必要性を市民に教えることができたこと、身近な里山の自然の存在を教えることができたこと、平地林においても地域の古木の存在を住民に知ってもらえたことなどの効果が報告されて、A評価に反映された。
 B評価は今後の継続性が反映されたものとなっているが、これらは、森林への理解を深めてもらうことを通して、林業への理解を高めることにもなり、県土の約7割が森林となっている群馬県の地域特性を考えるとたいへん重要な事業であり、それぞれの取り組みは高く評価され、事業自体も高く評価される。

森林の公有林化についての評価

 この事業は、水源地の森林を外国資本が買収する動きに対応して設定された。
 今年度の3件は、これに該当していないものの、川場村では、村内を流れる河川上流部の放置林を購入し、管理することによって森林の持つ公益的機能を維持・増進しようとするものであった。
 太田市は平地林の公有化、中之条町は国指定史跡の蚕種貯蔵施設であった風穴周辺の森林を公有化するものであった。
 川場村の事案はA評価であったが、太田市と中之条町はB評価となっている。
 B評価となる理由は、公有化後の整備や管理の費用や方法を検討する必要性にある。
 ぐんま緑の県民税からの捻出部分と公有化した自治体との役割分担について明確にする必要があるように思われる。

独自提案事業についての評価

 5件の事業に取り組まれ、A評価は2件、B評価が3件となっている。
 高崎市では野生鳥獣害被害の低減を図るために、高崎市の里山元気再生事業と連携させて、竹林の伐採・下刈りを行って、鳥獣との緩衝帯を形成する事業であり、地域によって整備の度合いにばらつきがあるものの効果に期待ができるとされA評価となっている。
 また甘楽町の事案もイノシシとの緩衝帯になったと評価されている。
 しかしながら、渋川市、高崎市、邑楽町の3事業は、いずれもB評価に留まっている。
 本事業において、B評価がA評価を上回った要因については、当該自治体に評価要因を確認するとともに、事業認定を行う際の方法等について評価検証委員会において十分な検討が必要であると思われる。

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