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群馬県犯罪被害者等支援条例

更新日:2021年3月26日 印刷ページ表示

 犯罪等により被害を受けた方及びその家族、遺族(以下、「犯罪被害者等」といいます。)は、生命や身体への危害などの直接的な被害に加えて、周囲の偏見や心ない言動等による精神的な苦痛や私生活の平穏の侵害といった「二次被害」にも苦しめられています。

 犯罪被害者等が被害から早期に回復し、または被害を軽減して、地域社会での安心な暮らしを取り戻すためには、関係する機関が連携協力して犯罪被害者等に寄り添った支援を行うとともに、周囲の人々が犯罪被害者等の置かれた状況を理解し、社会全体で支援していくことが必要です。

 そのため、群馬県では、犯罪被害者等一人ひとりに寄り添う社会を目指して「群馬県犯罪被害者等支援条例」を制定しました。

群馬県犯罪被害者等支援条例(令和3年3月26日条例第9号)

 目次

 前文

 第1章 総則(第1条~第11条)

 第2章 犯罪被害者等支援に関する基本的施策(第12条~第24条)

 附則

前文

 県民の生命、身体及び財産の安全は、県民生活の全ての基礎であり、誰もが安心して暮らせる犯罪のない社会の実現は、全ての県民の願いである。
 しかしながら、多くの方々が思いもよらず、ある日突然、犯罪等の被害者及びその家族又は遺族となっている。犯罪被害者等の苦しみは、犯罪等による直接的な被害にとどまらず、その後の心身の不調や経済的な問題、周囲の偏見や無理解による心ない言動、インターネット等を通じて行われる誹(ひ)謗(ぼう)中傷などによる二次被害も平穏な生活を取り戻す障壁となっている。
 また、被害者の属性や被害の態様によっては、自ら被害を訴えることが困難で、そのために支援の手が行き届いていない方々が存在している。
 このような状況にある犯罪被害者等が、地域社会で再び安心して日常生活を営むことができるようにするためには、関係するものが相互に連携協力し、犯罪被害者等に寄り添ったきめ細かい支援を途切れなく提供するとともに、県民や事業者等の周囲の人々が犯罪被害者等の置かれた状況を理解し、社会全体で支えていくことが必要である。
 こうした認識のもと、犯罪被害者等一人ひとりに寄り添う社会を目指して、この条例を制定する。

第1章 総則

目的

第1条 この条例は、犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、県、県民、事業者、市町村及び民間支援団体の責務及び役割を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等の支援を総合的かつ計画的に推進し、もって犯罪被害者等が受けた被害の早期回復又は軽減及び犯罪被害者等の権利利益の保護を図るとともに、誰もが安心して暮らすことができる社会の実現に寄与することを目的とする。

定義

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 一 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
 二 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族をいう。
 三 二次被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の偏見や無理解による心ない言動、インターネット等を通じて行われる誹謗中傷、報道機関による過剰な取材等により、犯罪被害者等が受ける精神的な苦痛、身体の不調、名誉の毀損、私生活の平穏の侵害、経済的な損失等の被害をいう。
 四 犯罪被害者等支援 犯罪被害者等が、その受けた被害を回復し、又は軽減し、地域社会で再び安心して日常生活を営むことができるようにするための取組をいう。
 五 民間支援団体 犯罪被害者等早期援助団体(犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号)第23条第1項の団体をいう。)その他犯罪被害者等支援を行うことを主たる目的とする民間の団体をいう。

基本理念

第3条 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等の個人の尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されることを旨として推進されなければならない。
2 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が犯罪等により受けた被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われるとともに、二次被害が生ずることのないよう十分に配慮して行われなければならない。
3 犯罪被害者等支援は、犯罪被害者等が安心して暮らすことができるよう、必要な支援が途切れることなく提供されることを旨として行われなければならない。
4 犯罪被害者等支援は、国、県、市町村、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係するものが相互に連携し、及び協力して行われなければならない。

県の責務

第4条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国、市町村、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係するものとの適切な役割分担を踏まえ、犯罪被害者等支援に関する施策を総合的に策定し、及び計画的に実施する責務を有する。
2 県は、市町村が犯罪被害者等支援に関する施策を策定し、及び実施しようとするときは、情報の提供、助言その他の必要な協力を行うものとする。
3 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を実施するに当たり、二次被害を生じさせることのないよう十分に配慮し、これを防止するよう努めるものとする。

県民の役割

第5条 県民は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、二次被害を生じさせることのないよう十分配慮するとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

事業者の役割

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、二次被害を生じさせることのないよう十分配慮するとともに、犯罪被害者等である従業員に対して必要な支援を行うほか、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

市町村の役割

第7条 市町村は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、その施策を行うに当たっては、二次被害を生じさせることのないよう十分配慮するとともに、住民に対して必要な支援を行うほか、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

民間支援団体の役割

第8条 民間支援団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性についての理解を深め、犯罪被害者等支援を行うに当たっては、専門的知識及び経験を活用し、迅速かつきめ細かな支援を行うとともに、県が実施する犯罪被害者等支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。

総合的支援体制の整備

第9条 県は、国、市町村、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係するものと相互に連携し、及び協力して犯罪被害者等支援を推進するための体制を整備するものとする。

犯罪被害者等支援に関する計画

第10条 知事は、犯罪被害者等支援に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、犯罪被害者等支援に関する基本的な計画(次項において「基本計画」という。)を定めるものとする。
2 基本計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。
 一 犯罪被害者等支援に関する基本方針
 二 犯罪被害者等支援に関する具体的な施策
 三 前2号に掲げるもののほか、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な事項

財政上の措置

第11条 県は、犯罪被害者等支援に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

第2章 犯罪被害者等支援に関する基本的施策

相談窓口の設置、情報の提供等

第12条 県は、犯罪被害者等のための相談窓口を設置して、犯罪被害者等が、その受けた被害を早期に回復し、又は軽減し、日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

心身に受けた影響からの回復

第13条 県は、犯罪被害者等が心理的外傷その他犯罪等により心身に受けた影響から回復できるようにするため、その心身の状況等に応じた適切な保健医療サービス及び福祉サービスが提供されるよう必要な施策を講ずるものとする。
2 犯罪被害者等が18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者であるときは、前項の施策に協力する当該犯罪被害者等の養育、養護、教育、福祉等に関係する者は、当該犯罪被害者等が心身に受けた影響及び心身の状況を適切に理解し、その発達段階に応じた十分な配慮を行うよう努めるものとする。
3 前項の場合において、犯罪被害者等支援を行うものは、当該犯罪被害者等の養育、養護、教育、福祉等に関係する者と連携し、及び協力して支援を行うものとする。

安全の確保

第14条 県は、犯罪被害者等が更なる犯罪等による被害及び二次被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、一時保護、施設への入所による保護、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適正な取扱いの確保その他の必要な施策を講ずるものとする。

居住の安定

第15条 県は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等について居住の安定を図り、並びに更なる犯罪等による被害及び二次被害を受けることを防止するため、県営住宅(群馬県県営住宅管理条例(昭和35年群馬県条例第32号)第2条第1号に規定する県営住宅をいう。)への入居における特別の配慮その他の必要な施策を講ずるものとする。

雇用の安定

第16条 県は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るとともに、職場における二次被害を防止するため、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等支援の必要性に関する事業者に対する啓発その他の必要な施策を講ずるものとする。

経済的負担の軽減

第17条 県は、犯罪等による被害又は二次被害に起因する犯罪被害者等の経済的負担の軽減を図るため、経済的な助成に関する情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

大規模事案における支援の実施

第18条 県は、犯罪等により死傷者が多数に上る事案その他の重大な事案が県内で発生した場合において、当該事案による犯罪被害者等に対して直ちに支援を行う必要があると認めるときは、市町村、民間支援団体その他関係機関と協力して、当該事案に対応するための支援の体制を整え、必要な支援を行うものとする。

県内に住所を有しない者等に対する支援

第19条 県は、県内に住所を有しない、又は居住していない者が県内で発生した犯罪等により被害を受けた場合には、民間支援団体その他関係機関と連携して、当該犯罪等による犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。
2 前項の施策は、当該犯罪被害者等が住所を有し、又は居住する都道府県及び当該都道府県に所在する民間支援団体と連携して講ずるものとする。

県民の理解の増進

第20条 県は、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性、二次被害の防止の重要性等について県民の理解を深めるため、広報、啓発、教育の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。

学校における教育

第21条 県は、学校において、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等支援の必要性、二次被害の防止の重要性等について理解を深めるための教育が行われるよう、必要な施策を講ずるものとする。

支援に従事する人材の育成

第22条 県は、犯罪被害者等支援の充実を図るため、県及び市町村の職員、民間支援団体その他の犯罪被害者等支援に関係するものに対し、研修の実施その他の必要な措置を講じ、犯罪被害者等支援を担う人材の育成に努めるものとする。

支援に従事する者に対する支援

第23条 県は、支援に従事する者が犯罪被害者等支援を行うに当たって犯罪被害者等と同様の心理的外傷を受けることを防止するため、支援に従事する者に対する相談、支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

民間支援団体の活動に対する支援

第24条 県は、民間支援団体が適切かつ効果的に犯罪被害者等支援を推進することができるよう、犯罪被害者等支援に関する情報の提供、助言その他の必要な施策を講ずるものとする。

附則

施行期日

 この条例は、令和3年4月1日から施行する。