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群馬県虐待から子どもの生命と権利を県民全体で守る条例

更新日:2023年4月1日 印刷ページ表示

次代を担う子どもは、権利の主体として尊重され、守られるべき存在であり、虐待は決して許されるものではなく、虐待の防止は社会全体で解決すべき喫緊の課題です。
虐待をした保護者にも自らの被虐待経験など様々な背景があり、保護者を責めるだけではなく、真の問題解決に向けた支援を県民全体で考えることが重要です。
「年齢や性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、すべての県民が、誰一人取り残されることなく」、幸福を実感できる社会の実現を目指す必要があります。
群馬県では、虐待から子どもの生命を守り、子どもの権利を擁護することに関し基本理念や施策の基本となる事項を定め、子どもの人権が尊重され、かつ、子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的に「群馬県虐待から子どもの生命と権利を県民全体で守る条例」を制定しました。

群馬県虐待から子どもの生命と権利を県民全体で守る条例(令和3年3月26日条例第11号)

前文
第1章 総則(第1条~第8条)
第2章 虐待の未然防止(第9条)
第3章 虐待の早期発見及び虐待通告に係る対応等(第10条~第18条)
第4章 家族及び社会形態に沿った虐待対応等(第19条・第20条)
第5章 市町村事業への支援(第21条)
第6章 虐待を受けた子ども及びその保護者への支援等(第22条・第23条)
第7章 社会的養護の充実(第24条)
第8章 子どもの死因究明等(第25条・第26条)
第9章 雑則(第27条・第28条)
附則

前文

 次代の社会を担う子どもは、あらゆる場面において権利の主体として尊重され、守られるべき存在である。
 子どもへの虐待は、子どもから笑顔や将来の夢、時には生命さえも奪ってしまう。
 虐待は、子どもに対する重大な人権の侵害であり、心身の成長及び人格の形成にも重大な影響を与えるとともに、将来の世代への連鎖が懸念されるため、理由のいかんにかかわらず決して許されるものではない。
 本来、保護者は、子どもにとって最も安心できる存在であり、子どもが心身ともに健やかに成長し、それぞれの能力や強みを生かして前向きに生きる力を獲得し、他者や社会とのつながりが保てるよう支援しなければならない。
 しかし、保護者からの虐待が後を絶たず、多くの痛ましい事件が発生するなど、虐待の防止は社会全体で解決すべき喫緊の課題となっている。
 保護者が虐待をしてしまう背景には、保護者自身の生活上のストレスや解決困難な心身の問題、子どもの育てにくさ、心理的及び社会的孤立に加え、保護者の子ども時代の被虐待経験もその要因の一つとなっていることが指摘されている。
 虐待が発生した場合には、必要に応じて子どもと保護者の分離や親権の制限等に踏み切る必要があるが、社会が、虐待をしてしまった保護者を責めるだけでは、問題の解決をかえって遠ざけることになりかねない。
 困難な状況で育児を行ってきた保護者に寄り添うとともに、真の問題解決に向けた支援の在り方を県民全体で考えることが重要であり、「年齢や性別、国籍、障害の有無等にかかわらず、すべての県民が、誰一人取り残されることなく」、自己実現を達成し、幸福を実感できる社会の実現を目指す必要がある。
 こうした認識の下、県、県民、市町村及び関係機関等が一体となり、虐待から子どもの生命を守り、子どもの権利が十分に尊重される社会の実現に向けて、不断の努力を重ね、もって子ども一人一人の幸福度を向上させるとともに、更にはその結果として、保護者一人一人の幸福度の向上につなげることを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)
第1条 この条例は、虐待から子どもの生命を守ること(以下「虐待防止」という。)及び子どもの権利を擁護すること(以下「子どもの権利擁護」という。)に関し基本理念を定め、県、保護者及び県民の責務並びに市町村及び関係機関等の役割を明らかにするとともに、虐待防止及び子どもの権利擁護に関する施策の基本となる事項を定めることにより、当該施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの人権が尊重され、かつ、子どもが健やかに成長することができる社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 子ども 18歳に満たない者をいう。
二 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護するものをいう。
三 虐待 保護者がその監護する子どもについて行う次に掲げる行為をいう。
イ 子どもの身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
ロ 子どもにわいせつな行為をすること又は子どもをしてわいせつな行為をさせること。
ハ 子どもの心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人によるイ、ロ、ニ又はホに掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
ニ 子どもに対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、子どもが同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。以下同じ。)その他の子どもに著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
ホ 子どもに必要な医療を受けさせないことその他の子どもの利益に反する著しく不適切な養育を行うこと。
四 関係機関等 学校、児童福祉施設、医療機関その他子どもの福祉に業務上関係のある団体及び民生委員、児童委員、学校の教職員、児童福祉施設の職員、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、弁護士その他子どもの福祉に職務上関係のある者をいう。
2 前項各号に掲げるもののほか、この条例で使用する用語の意義は、児童福祉法(昭和22年法律第164号)で使用する用語の例による。

(基本理念)
第3条 虐待は、子どもの人権を著しく侵害する行為であり、何人も虐待を決して行ってはならず、また、許してはならない。
2 虐待は、社会的要因、経済的要因その他の様々な要因により、いつでも起こり得るという認識の下に、子育て中の家庭が孤立しない社会の実現に向けて取り組まなければならない。
3 子どもを虐待から守るに当たっては、子どもの生命を守ることを最も優先するとともに、子どもを権利の主体として尊重し、子どもの最善の利益を考慮しなければならない。
4 全ての子どもは、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、安心して生きる権利、能力を十分に発揮する権利、虐待を含めた暴力及び搾取から守られる権利、自己の意見を表明し、自己に関することに参加する権利その他の健全な成長及び発達をするための権利を有し、それが尊重されなければならない。
5 県、市町村及び関係機関等は、虐待と配偶者に対する暴力が、一つの家庭で同時に発生していることを想定し、相互に連携して家庭を包括的に支援する視点を持たなければならない。

(県の責務)
第4条 県は、この条例に基づき、虐待防止及び子どもの権利擁護に関する施策を策定し、及びこれを実施するとともに、必要な体制を整備しなければならない。
2 県は、前項の施策を実施するに当たっては、市町村及び関係機関等と連携するとともに、県民及び地域において虐待の防止や子育て支援に関する活動をしている団体等(以下「地域で活動する者」という。)の協力を得るものとする。
3 県は、要保護児童の適切な保護又は要支援児童若しくは特定妊婦への適切な支援を図るため、関係機関等の連携及び協力を確保することを目的として、児童福祉法第25条の2第1項の規定に基づき、要保護児童対策地域協議会(以下「要対協」という。)を設置する。
4 県は、子どもの意見を聴く機会及び子どもが自ら意見を述べる機会の確保その他子どもの権利を尊重するための取組を推進するよう努めなければならない。
5 県は、この条例で定める事項について、言語、文化、国籍、年齢等にかかわらず、本県で暮らす全ての県民の理解を深めるよう啓発活動を行うものとする。

(保護者の責務)
第5条 保護者は、子どもの養育に係る第一義的責任を有することを踏まえ、虐待が子どもに与える重大な影響を認識し、子どもの健全な成長を図らなければならない。
2 保護者は、親権その他子どもに関する一切の権限を濫用してはならない。
3 保護者は、子どもの権利を尊重し、体罰その他の子どもの尊厳を害する全ての行為を行ってはならない。
4 妊娠した者及び乳児又は幼児の保護者は、母子保健法(昭和40年法律第141号)第4条の規定を踏まえ、同法第12条第1項及び第13条第1項の規定に基づき市町村が行う妊産婦又は乳児若しくは幼児に対する健康診査の受診勧奨に応じるよう努めなければならない。
5 保護者は、子どもに医療を受けさせる必要があるにもかかわらず、それを行わない場合には、第2条第1項第3号ホに該当するおそれがあることを理解し、県、市町村及び関係機関等の助言に応ずるよう努めなければならない。

(県民の責務)
第6条 県民は、虐待防止及び子どもの権利擁護に関する理解を深めるよう努めなければならない。
2 県民は、県及び市町村が行う虐待防止及び子どもの権利擁護に関する施策に協力し、並びに子育て中の家庭を孤立させないよう地域社会で見守る体制づくりに参画するよう努めるものとする。
3 県民は、虐待を受けた子ども(社会的養護(保護者のいない子ども及び保護者の適切な養育を受けられない子どもを公的責任で保護及び養育をするとともに、養育に困難を抱える家庭への支援を行うことをいう。第24条において同じ。)の下で育ってきた子どもを含む。)が、円滑に社会的自立ができるよう、当該子ども(当該子どもが18歳以上になった場合を含む。)に対して配慮するよう努めなければならない。
4 県民は、虐待を受けたと思われる子どもを発見したときは、速やかに、これを市町村又は児童相談所若しくは県の設置する福祉事務所(以下「児童相談所等」という。)に通告(児童虐待の防止等に関する法律(平成12年法律第82号。以下「法」という。)第6条第1項の規定による通告をいう。以下同じ。)をしなければならない。

(市町村の役割)
第7条 市町村は、県及び関係機関等と連携し、虐待防止及び子どもの権利擁護の推進並びに必要な体制の整備に努めるものとする。

(関係機関等の役割)
第8条 関係機関等は、虐待防止及び子どもの権利擁護に資するよう、県及び市町村の行う施策に協力するとともに、自ら主体的な取組を推進するものとする。
2 関係機関等は、虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、虐待の早期発見に努めるとともに、相互に情報の共有を図りながら連携した対応を行うものとし、また、その専門的知識及び経験を生かし、子ども及びその保護者に対する支援を行うよう努めるものとする。

第2章 虐待の未然防止

第9条 県は、虐待を未然に防止するため、妊娠、出産及び子育てについて相談しやすい環境の整備その他の市町村が実施する切れ目ない母子保健及び子育て支援に関する施策(障害児支援に関する施策を含む。)について必要な支援を行うものとする。
2 県は、若年者に対し、予期しない妊娠に至らないための啓発活動及び妊娠、出産等に関する相談先等の情報提供を行うものとする。
3 県は、市町村及び医療機関と連携し、育児が困難と予想される妊婦又は医療機関で健康診査を受診していない妊婦の把握及びこれらの者に対する必要な支援並びに医療を受ける機会を確保するための啓発活動及び情報提供を行うものとする。
4 県は、家庭内での子どもの状況の変化等に早期に気付き得る立場の者に対し、虐待の見逃しの防止や虐待が疑われた場合の通告を促すための啓発活動を行うものとする。
5 県は、学校その他の子どもの活動場所において、子どもに対し、自身が守られるべき存在であることを認識するための啓発活動及び権利侵害に関する相談先等の情報提供を行うものとする。

第3章 虐待の早期発見及び虐待通告に係る対応等

(早期発見のための環境整備)
第10条 県は、市町村及び関係機関等との連携及び協力を図り、虐待を受けたと思われる子どもを発見した者からの通告を常時受け、及び虐待を受けたと思われる子どもに係る家庭その他の者からの相談に常時応ずることができる体制の整備を図るものとする。
2 県は、通告又は虐待に係る相談を行った者及び子どもの安全確認を行うための措置(以下「安全確認措置」という。)に協力した者に不利益が生じないよう必要な配慮をしなければならない。

(早期対応)
第11条 児童相談所の所長(以下「児童相談所長」という。)は、通告を受けた場合には、直ちにその内容に係る調査を行い、市町村及び関係機関等と連携して、当該通告を受けてから24時間以内に当該通告に係る子どもとの面会、面談等の方法により安全確認措置を講ずるよう努めなければならない。
2 保護者、子どもと同居する者及び関係機関等は、安全確認措置に協力しなければならない。
3 児童相談所長は、安全確認措置を行うに当たっては、近隣住民、児童福祉施設の職員、学校の教職員、子どもが居住する住宅を管理し、又は所有する者等に対し、必要に応じて情報の提供を求めることができる。
4 児童相談所長は、安全確認措置を行った場合は、速やかにその事案の緊急度及び重症度を判断し、当該子どもの安全確保のため必要があると認める場合は、一時保護を行い、又は適当な者に委託して一時保護を行わせなければならない。

(児童相談所の調査等)
第12条 児童相談所長は、県の関係機関、県民、市町村及び関係機関等に対し、虐待に係る子ども又はその保護者の心身の状況、家庭環境等に関する情報の提供を求めることができる。
2 児童相談所長は、前条第3項及び前項の規定により情報を収集する場合においては、当該情報の収集が虐待又はその防止等の対応の目的のために特に行うものであることを十分に踏まえ、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、その収集、管理及び利用を適切に行わなければならない。

(情報の共有)
第13条 県は、虐待の早期発見及び早期対応のため、児童相談所、福祉事務所、売春防止法(昭和31年法律第118号)第34条第1項に規定する婦人相談所、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第3条第1項に規定する配偶者暴力相談支援センター、警察その他の県の関係機関相互間並びに市町村、関係機関等及び地域で活動する者との間における虐待に関する情報の共有を図るための連携協力体制の整備に努めるものとする。
2 前項の情報の共有に当たっては、市町村が設置する要対協を活用するものとし、当該要対協は、情報の共有を効果的なものとするため、虐待に関する情報に係る電磁的記録の作成により、当該情報の検索及び蓄積が容易にできるよう努めるものとする。

(転出又は転入時の情報共有)
第14条 児童相談所長は、虐待を受けた子どもが当該児童相談所の管轄区域外にその住所又は居所(以下この条において「住所等」という。)を移転する場合は、移転先の住所等を管轄する児童相談所において必要な支援が切れ目なく行われるよう、当該児童相談所長に対する速やかな引継ぎその他の必要な措置を講ずるものとする。
2 児童相談所長は、虐待を受けた子どもが当該児童相談所の管轄区域にその住所等を移転した場合において、移転前に支援を行っていた児童相談所長から情報の提供を受けたときは、必要な支援が切れ目なく行われるよう、必要な資料等を求めることにより迅速かつ的確に当該子ども及びその家庭の状況その他の子どもの安全の確保に必要な情報を把握するよう努めるものとする。
3 県は、市町村が虐待の防止に係る支援を行っている子どもが当該市町村以外の市町村(特別区を含む。以下この項において同じ。)にその住所等を移転する場合又は当該市町村以外の市町村が虐待の防止に係る支援を行っている子どもが当該市町村にその住所等を移転するという情報の提供を受けた場合に、その移転の前後において必要な支援が切れ目なく行われるための必要な措置を講ずることができるよう、必要な支援を行うものとする。

(警察との連携強化)
第15条 知事は、子どもの安全を確保し適切な保護を図るため、児童相談所が把握した虐待に係る情報について、必要と認める範囲で警察本部長と共有し、虐待防止のため協働するものとする。

(医療機関との連携強化等)
第16条 県は、虐待を受けた子どもがその心身の状況に応じて適切な医療を受けることができるよう、医療機関相互の連携協力体制の整備に努めるものとする。
2 県は、医療機関における虐待の見逃しの防止に資するよう、医師、歯科医師、保健師、助産師、看護師、歯科衛生士その他の医療関係者(以下「医療関係者」という。)に対する虐待に関する専門的な研修の実施並びに県、市町村及び医療機関の連携協力体制の整備に努めるものとする。
3 医療関係者は、健康診査、診療、保健指導その他の子ども及びその家庭に接する機会を通じ、支援が必要な子ども及び家庭の把握及び支援並びに虐待の未然防止及び早期発見に努めるものとし、虐待が疑われる場合は、躊躇なく児童相談所等に通告するとともに、医学的知見に基づき説明を行うものとする。

(地域における活動の推進)
第17条 民生委員、児童委員及び地域で活動する者は、相互に協力し、その活動の推進に努めるものとする。
2 県は、地域における虐待防止及び子どもの権利擁護を推進するため、地域で活動する者の育成、確保その他の必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(人材育成)
第18条 県は、虐待に的確に対応するため、虐待の早期発見及び早期対応その他の虐待の防止に関する専門的な知識及び技術を有する職員を育成し、児童相談所の運営体制の強化を図らなければならない。
2 県は、市町村及び関係機関等における人材の育成を図るため、専門的な知識及び技術の修得に資する研修等を実施するものとする。

第4章 家族及び社会形態に沿った虐待対応等

(虐待への対応及び配偶者に対する暴力への対応の連携強化)
第19条 児童相談所等及び関係機関等は、虐待への対応及び配偶者に対する暴力への対応が連携して行われるよう、情報の共有を推進するものとする。
2 児童相談所等及び関係機関等は、前項の連携により、虐待又は配偶者に対する暴力の被害を受けた子ども及びその保護者に対し一体的な支援ができるよう、一時保護(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第3条第3項第3号に規定する一時保護を含む。)その他の必要な措置を講ずるものとする。

(社会の変化への対応)
第20条 県は、虐待への対応において、対面によりその家庭を支援することを原則としつつ、子ども及び保護者の利便性の向上並びに児童相談所の業務の効率化を図るため、インターネットを利用したサービスその他の情報通信技術の活用等により社会及び地域の変化に対応し、その時々の新たな常識、習慣及び生活様式に適応した相談体制を整備するものとする。

第5章 市町村事業への支援

第21条 県は、市町村が設置する要対協の円滑な運営の確保及び活性化のため、必要な助言その他の支援を行うものとする。
2 県は、虐待の未然防止に資するため、乳児家庭全戸訪問事業、養育支援訪問事業その他の市町村が行う子育て支援に関する業務について必要な支援を行うものとする。
3 県は、市町村における虐待への対応が適切に行われるよう、児童相談所に配置している市町村支援児童福祉司(児童福祉法施行令(昭和23年政令第74号)第3条第1項第3号に掲げる業務を行う児童福祉司をいう。)による専門的見地からの支援を行うものとする。

第6章 虐待を受けた子ども及びその保護者への支援等

(虐待を受けた子どもへの支援)
第22条 県は、虐待を受けた子どもが再び虐待を受けることなく、家庭又はできる限り良好な家庭的環境において養育されるよう、市町村及び関係機関等と連携し、必要な措置を講ずるものとする。
2 県は、一時保護をした子どもに対し、児童福祉法その他の関係法令に基づき、良好な家庭的環境を提供するとともに、当該子どもの権利を尊重した支援を行うものとする。
3 県は、虐待を受けた子どもの心身の健康の回復を図るため、当該子どもに対し、保健、医療、福祉、教育等の専門家の連携により、年齢、心身の状況等を十分考慮した支援を行うものとする。
4 県は、子どもが虐待から逃れ、自らの安全を確保できるよう、市町村及び関係機関等と連携し、子どもに対し教育、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
5 県は、虐待を受けた子どもが将来保護者となったときに、良好な家庭環境を形成するよう、当該子どもに対し、その成長の過程において必要な支援を行うものとする。

(保護者への支援)
第23条 県は、保護者の子育てに対する負担感その他の虐待が発生する要因を明らかにし、虐待を防止するため、市町村及び関係機関等と連携し、保護者の抱えている心理的及び社会的問題の把握に努め、情報の提供、相談の実施その他の必要な支援を行うものとする。
2 県は、市町村及び関係機関等と連携し、虐待を行った保護者が良好な家庭環境を形成し、再び虐待を行わないようにするため、当該保護者に対し、家族の再統合に向けた支援プログラムの実施その他の必要な支援を行うものとする。
3 県は、虐待を受けた子どもの心身の健康の回復を図るため、当該子どもの保護者に対し、必要な支援を行うものとする。

第7章 社会的養護の充実

第24条 県は、子どもの社会的養護の充実を図るため、里親制度の啓発活動、里親の養育充実のための支援及び里親等への委託の推進並びに乳児院、児童養護施設等の確保並びにこれらの施設における家庭的な養育環境の整備及び施設職員の資質向上に取り組むものとする。
2 県は、社会的養護の対象であった子どもに対し、円滑な社会的自立のため、必要な支援及び広報その他の啓発活動を行うとともに、18歳を超えて支援が継続できる体制を整備するものとする。

第8章 子どもの死因究明等

(重篤又は死亡事例の検証)
第25条 県は、法第4条第5項の規定に基づく検証結果を児童相談所、市町村及び関係機関等において職務に従事する者の研修に活用することその他虐待による死亡事例等の重大事例の再発防止に関する取組を積極的に進めるものとする。
2 県は、法第4条第5項の規定に基づく検証を行うに当たっては、第12条第1項の規定を準用する。この場合において、同項中「児童相談所長」とあるのは「県」と、「県の関係機関、県民」とあるのは「県民」と、「虐待に係る子ども又はその保護者の心身の状況、家庭環境等に関する」とあるのは「必要な」と読み替えるものとする。

(子どもの死因究明)
第26条 県は、成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律(平成30年法律第104号)第15条第2項の規定に基づき、同法第2条に規定する成育過程にある子どもが死亡した場合において、その死亡の原因に関する情報を検証し、効果的な予防対策を導き出し、及び必要な施策を行うことにより、子どもの安心して生きる権利の擁護に努めるものとする。
2 県は、前項の検証を行うに当たっては、第12条第1項の規定を準用する。この場合において、同項中「児童相談所長」とあるのは「県」と、「県の関係機関、県民」とあるのは「県民」と、「虐待に係る子ども又はその保護者の心身の状況、家庭環境等に関する」とあるのは「必要な」と読み替えるものとする。

第9章 雑則

(秘密の保持)
第27条 児童相談所等の職員及び関係機関等は、正当な理由がなく、その職務に関して知り得た虐待を受け、又は受けたと思われる子ども及びその保護者に関する秘密を漏らしてはならない。

(公表)
第28条 知事は、毎年度、虐待の発生状況及び虐待防止に関する施策の実施状況をインターネットの利用その他の方法により公表するものとする。

附則

この条例は、令和3年4月1日から施行する。

条例全文、概要

条例リーフレット