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「献血血液の研究開発用での使用に関する指針」の一部改正(平成27年4月改正)

 血液製剤は、国民の善意の献血によって得られる血液(以下「献血血液」という。)を主たる原料とする貴重なものであり、「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和31 年法律第160 号。以下「血液法」という。)においても、その適正な使用が求められている。血液製剤は、本来、患者の治療を目的として製造され、使用されるものであるが、血液製剤の製造に伴って副次的に得られたもの及び本来の用途に適しない又は適しなくなったものも含め、輸血の有効性・安全性の向上のための研究、検査試薬の製造、品質管理試験等(以下「研究開発等」という。)に際し、使用せざるを得ない場合がある。
 献血血液が研究開発等に使用される場合にあっては、倫理的な観点からの慎重な配慮が求められる。また、献血血液の研究開発等での使用により、治療のために供給される血液製剤が不足して、医療に支障が生じることがあってはならない。
 一方で、検査で不適合となった献血血液や、有効期限の切れた血液製剤を研究開発等に使用することは、献血者の善意を無駄にせず、有効利用につながる意義もある。
このような状況を踏まえ、ここに献血血液の研究開発等での使用に関する指針を定めることとする。

第1 基本的な考え方

1 目的

本指針は、献血血液が、国民の善意によって得られる貴重なものであることを踏まえ、献血血液の研究開発等での使用について、関係者が遵守すべき事項を定め、献血血液が適正に使用されることを目的とする。

2 適用範囲

本指針は、献血血液を、研究開発等で使用する場合を対象とする。なお、医療機関における治療や臨床研究を目的とした、患者への血液製剤の適応外使用については、本指針の対象としない。

3 研究開発等に使用される可能性がある献血血液研究開発等に使用される可能性がある献血血液は以下のとおりである。

a 血液製剤の規格に適合しない血液

具体例:検査等により不適合となった血液、有効期限切れの血液

b 血液製剤の製造に伴って副次的に得られるもの

具体例:検査用検体の残余血液、保管年限(11 年)を超えた調査用の血液、血漿分画製剤の製造過程で得られた廃棄画分

c 血液製剤としての規格に適合する血液

4 献血血液を研究開発等に使用できる者

献血血液は、採血事業者により採血され、保管・管理されている。また、血液製剤(輸血用血液製剤及び血漿分画製剤)の製造過程にある原料血液は、血液製剤製造販売業者により保管・管理されている。そのため、献血血液は、採血事業者又は血液製剤製造販売業者が占有しているが、献血血液が国民の善意の行為によってしか得られないものであり、国民は患者の治療に役立てることを目的として血液を提供することに鑑みると、理念的には国民の共有財産とも考えられる。そのため、献血者の理解が得られ、かつ、血液製剤の有効性・安全性の向上又は国民の公衆衛生の向上に資する目的であれば、献血血液の研究開発等への使用については、一定の手続の下、可能な限り多くの者による有効利用が認められるべきである。

第2 献血血液を用いることができる研究開発等

1 以下に掲げる研究開発等については、第3以降に記載されている所定の手続を経ることにより、第1の3に記載された献血血液を用いることができる。

(ア) 血液製剤の有効性・安全性及び献血の安全性の向上を目的とした使用血液製剤の安全性については、採血時の問診、各種感染症に対するスクリーニング検査等、様々な取組がされており、その向上への不断の努力が求められている。また、血液製剤の製造・使用に関する新たな技術の導入に際しては、血液製剤の有効性が低下する可能性も否定できないことから、その影響を十分に確認する必要がある。このような状況を踏まえると、血液製剤の有効性・安全性及び献血の向上を目的とした使用については認められるべきであり、所定の条件を満たし、かつ、所定の手続を経た場合において、以下に記載する目的のため、献血血液を用いることができるものとする。なお、具体例に記載のないものであっても、その趣旨・目的等に照らし適切である場合には、献血血液を使用することができる。
a 研究開発
具体例:人工赤血球の開発、血小板製剤の有効期限に関する研究、検査機器の開発
b 品質管理試験
具体例:血液製剤の製造に必要な検査機器の精度管理用コントロール血清
c 検査試薬
具体例:血液型判定試薬、抗血小板抗体試薬、教育目的の検査実習での使用
d 疫学調査・研究
具体例:血液を通じて感染するおそれがある病原体の疫学研究
e その他
具体例:血液フィルターの性能評価、採血基準に関する評価
(イ)広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用人の血液の中には様々なたん白等の物質が含まれており、疾病の診断、病態の解明、疫学研究等、疾病の克服や健康状態の改善に重要な役割を果たしている。このような状況を踏まえると、広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用については認められるべきであり、所定の条件を満たし、かつ、所定の手続を経た場合において、以下に記載する目的のため、献血血液を使用することができるものとする。なお、具体例に記載のないものであっても、その趣旨・目的等に照らし適切である場合には、献血血液を使用することができる。
a 研究開発
具体例:新たな診断薬の開発
b 品質管理試験
具体例:新生児スクリーニング検査の精度管理用コントロール血清
c 検査試薬
具体例:体外診断薬の試薬
d 医薬品製造
具体例:培地への血漿の使用、安定化剤としてのアルブミンの使用
e 疫学調査・研究
具体例:過去の感染症の流行状況調査
f その他

第3 献血者への対応

1 インフォームド・コンセントについて

献血者は、自らの血液が患者への治療に役立てられることを期待し、献血を行うものであるので、献血者に対し、献血血液が研究開発等へ使用される可能性があることについて、献血の実施前に文書による説明を行い、同意を得る必要がある。また、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成26 年文部科学省・厚生労働省告示第3号)等の関連指針の対象となる研究を実施する場合においては、当該関連指針におけるインフォームド・コンセントに係る規定が遵守されなければならない。

2 個人情報の保護について

採血事業者及び血液製剤製造販売業者は、個人情報を取り扱う場合において、「個人情報の保護に関する法律」(平成15 年法律第57 号)を遵守し、研究開発等の利用のために献血血液を使用する又は第三者に提供する場合は、匿名化(連結不可能匿名化又は連結可能匿名化であって対応表を提供しない場合をいう。)を行い、献血血液から献血者を特定できなくするための措置を講じなければならない。ただし、血液製剤の有効性・安全性の向上及び公衆衛生の向上等の目的のため、個人情報の利用が不可欠である場合であって、インフォームド・コンセントの受領も含め、「個人情報の保護に関する法律」及び当該研究開発等に係る関連指針の規定に基づき実施される場合においては、この限りでない。
<注>
連結不可能匿名化とは、個人を識別できないように、その人と新たに付された符号又は番号の対応表を残さない方法による匿名化をいう。連結可能匿名化とは、必要な場合に個人を識別できるように、その人と新たに付された符号又は番号の対応表を残す方法による匿名化をいう。

3 ヒト遺伝子解析・検査等について

輸血による副作用を防止する観点から、献血血液に対し、赤血球型、白血球型(HLA 型)、血小板型及び血漿たん白に対する遺伝子検査を実施する場合がある。このような限定的な遺伝子検査を実施するに当たっては、献血者に対し、献血の実施前に文書による説明を行い、同意を得ることが必要である。また、献血血液を用いてヒトゲノム・遺伝子解析研究を実施する場合は、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(平成16 年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)を遵守しなければならない。

第4 献血血液の研究開発等への使用の手続

献血血液の研究開発等への使用に際しては、以下の手続を経るものとする。
1 薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会運営委員会(以下「血液事業部会運営委員会」という。)での事前評価
a 血液事業部会運営委員会における事前評価を必要とする場合
以下のいずれかに該当する場合は、当該使用の可否について、血液事業部会運営委員会において事前に評価を行う。ただし、血液製剤の安全性の向上のための技術開発及び献血者の保護等を行うことは、血液法で定められた採血事業者及び血液製剤製造販売業者の責務であることから、血液製剤の有効性・安全性又は献血の安全性の向上を目的として採血事業者又は血液製剤製造販売業者が使用する場合は、この限りでない。

  1. 使用目的が、第2の1(ア)dの「疫学調査・研究」又は第2の1(イ)の「広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用」に該当する場合。
  2. 使用者が、営利を目的とした者である場合。
  3. 使用する献血血液が、第1の3cの「血液製剤としての規格に適合する血液」に該当する場合。
  4. 使用方法に、ヒト遺伝子解析・検査等が含まれる場合。
  5. その他、血液事業部会運営委員会での評価が適当と思料される場合。

b 血液事業部会運営委員会での評価事項
血液事業部会運営委員会では、特に以下の観点から、献血血液の研究開発等への使用の妥当性について、評価を行う。

1. 使用目的

(留意点) 血液製剤の有効性・安全性及び献血の安全性の向上又は広く国民の公衆衛生の向上を目的とした使用であることが明らかでなければならない。

2. 使用する献血血液

(留意点) 血液製剤としての規格に適合する血液の使用は限定的でなければならず、使用する場合においては、その目的を達成するため、当該製剤以外では代替できないことが明らかでなければならない。また、献血血液に対する感染症検査が陽性となった血液については、感染拡大防止の観点から、血液製剤の安全性向上を目的とした使用を除き、原則、用いてはならない。

3. 使用量

(留意点) 血液製剤としての規格に適合する血液を使用する場合においては、血液製剤の安定供給に支障が生じないよう特段に配慮しなければならない。検査等により不適合となった血液や血液製剤の製造に伴って副次的に得られるものを用いる場合においても、特定の者に使用量が偏ることがないよう、配慮しなければならない。また、使用量が多くなることで、採血事業者及び血液製剤製造販売業者に過度の業務負荷がかかり、血液製剤の供給の遅滞等、医療に支障が生じることがあってはならない。

4. 使用者

(留意点) 本指針及び関連指針等を遵守し、献血血液の使用が適切に行われる体制が整備されていなければならない。なお、使用者とは、研究開発等の主たる実施者であり、共同研究等の場合においては、研究代表者を意味する。

5. 献血者からのインフォームド・コンセントの受領状況

(留意点) 当該使用に係る献血者からのインフォームド・コンセントの受領が、本指針及び関連指針等の規定に照らし、適切にされていなければならない。

6. 倫理面への配慮

(留意点) 研究対象者に対する人権擁護上の配慮がなされ、かつ、人を対象とする医学系研究が行われる場合は「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が、ヒトゲノム・遺伝子解析研究が行われる場合は「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が、その他の研究が行われる場合はその関連指針に規定する事項が遵守されていなければならない。
c 血液事業部会運営委員会での評価方法
血液事業部会運営委員会での評価に際しては、必要に応じ参考人を招致することができる。また、企業の営業上の秘密等に配慮し、必要に応じ、使用者を匿名化することや、評価を非公開とすることができる。
【細則】
評価結果は、次のいずれかによる。
(1)承認、(2)修正の上で承認、(3)却下、(4)既承認事項の取消、(5)保留
血液事業部会運営委員会事務局は、厚生労働省医薬食品局血液対策課に置き、次の事項について採血事業者又は血液製剤製造販売業者に速やかに評価結果通知書をもって通知するものとする。
(1)評価対象の研究、(2)評価日、(3)当該研究に対する血液事業部会運営委員会の評価結果、(4)「承認」以外の場合の理由等、(5)その他必要事項
d 血液事業部会運営委員会での評価を要さない研究開発等
第4の1aに掲げる場合以外の研究開発等への使用については、必ずしも血液事業部会運営委員会での事前の評価は必要としない。このような場合、採血事業者及び血液製剤製造販売業者においては、第4の1bの評価事項を参照に、献血血液の研究開発等への使用について自ら評価を実施するとともに、その使用状況について、定期的に血液事業部会運営委員会に報告するものとする。
2 使用の申請方法
献血血液の研究開発等への使用を希望する者は、採血事業者又は血液製剤製造販売業者に対し、使用を希望する旨の申請書を提出する。採血事業者及び血液製剤製造販売業者は、献血血液の研究開発等への使用を希望する者からの申請を受け付ける窓口を設け、第4の1aに掲げる場合の申請については、採血事業者又は血液製剤製造販売業者の見解を付して、厚生労働省に送付するものとする。第4の1aに掲げる場合以外の研究開発等への使用については、使用目的や使用量等を踏まえ、採血事業者及び血液製剤製造販売業者において評価を実施し、適切に対応するものとする。
【細則】
献血血液の研究開発等への使用を希望する者は、各施設における倫理審査委員会の了承及び施設長の許可を得た上で、申請書(様式1)に必要な資料を付して、採血事業者又は血液製剤製造販売業者に対して申請するものとする。
研究計画に変更又は追加がある場合においては、変更・追加申請書(様式2)に変更した研究計画書を付して、採血事業者又は血液製剤製造販売業者に対して申請するものとする。
また、その使用状況及び研究成果については、研究終了時、及び、関連指針に準じた頻度で定期的に、採血事業者又は血液製剤製造販売業者を通じて、血液事業部会運営委員会に報告書(様式3)を提出するものとする。
なお、献血血液の研究開発等への使用に関する公募及び事前評価を行うため、血液事業部会運営委員会における事前評価は適宜開催する。事前評価を必要としない研究については、採血事業者及び血液製剤製造販売業者が適宜評価し、その結果を血液事業部会において報告するものとする。
3 費用の徴収
採血事業者及び血液製剤製造販売業者が、献血血液を第三者に提供する場合においては、実費程度の費用を徴収することができる。

第5 その他

1 市場に流通している血液製剤を用いた研究開発等

市場に流通している血液製剤が研究開発等に使用される場合においても、血液法の基本理念に鑑み、適切に使用されなければならず、また、血液製剤の安定供給に支障が生じることがあってはならない。血液製剤の製造販売業者においては、当該使用に疑義が生じた場合は、厚生労働省に適宜照会するものとする。

2 残余血液が生じた場合への対応

献血血液を研究開発等に使用する者は、当該献血血液に残余が生じた場合、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45 年法律第137 号)等の関連法規を遵守し、適切に処理しなければならない。また、採血事業者又は血液製剤製造販売業者から提供された献血血液を、無断で第三者に譲渡してはならない。

3 危害の防止のため報告

献血血液を研究開発等に使用する者は、当該献血血液により保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知ったときは、直ちに厚生労働省に報告しなければならない。

4 不適切な使用への対応

献血血液の研究開発等への使用において、本指針に照らし不適切な使用等が認められた場合は、必要に応じ、血液事業部会運営委員会において対応につき審議する。

5 献血血液を使用した疫学研究の実施に係る留意事項

献血血液を使用した疫学研究の実施は、血液の安全性の向上のみならず、医学の発展や国民の健康の保持増進に多大な役割を果たすことが期待される反面、多くの献血者の血液を用いる必要があることや、その結果が献血者へ及ぼしうる影響に鑑みると、特段の配慮が求められる。そのため、献血血液を使用した疫学研究を実施する場合においては、以下の点が遵守されなければならない。
a 「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の対象となる疫学研究を
実施する場合においては、当該指針が遵守されること。疫学研究であって、ヒトゲノム・遺伝子解析研究を実施する場合においては、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」が遵守されること。
b 血液の安全性の向上を目的とした研究にあっては、研究の実施者に採血事業者又は血液製剤製造販売業者が参画していること。
c 当面の間、採血事業者、血液製剤製造販売業者、国若しくは地方自治体が設置する研究機関により実施される研究又は公的補助金を受け実施される研究であること。

6 細則

本指針に定めるもののほか、必要に応じ、本指針の施行に関る細則を別に定める。

7 指針の見直し

必要に応じ、又は施行後5年を目途として、献血血液の研究開発等への使用状況を踏まえ、本指針の見直しの検討を行うものとする。

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